――三人一組を作り、担当上忍と顔合わせをした次の日。
つまり今日、私達第七班はサバイバル演習の為、演習場に来ている。
「ここにスズが3つある。――これをオレから昼までに奪い取ることが課題だ」
けれど、早速問題に直面している。
カカシ先生からスズを取れなければ、下忍の資格は無いとみなされアカデミーに逆戻りする事に。
けれどスズは3つ。
私達第七班は4人。
つまり誰か1人が必ず落ちる、――サバイバル演習。
まあけれど、誰か1人が必ず落ちるだなんて何の問題でも無いね。
私が落ちよう。
問題は解決だ、…けど、少し不思議だなあ。
誰か1人でも絶対に落とすのは、下忍になるにも厳しさがある、と。
そう意味しているのかな…。
…まあ、いいか、とりあえず3人と話し合って作戦を――
「よーい…始め!!」
…………?!
つ、つい隠れてしまった…って、あれ?
3人も隠れてる…作戦会議はまだなのかな…。
「………………」
驚いたことに、なんとナルトは一人でカカシ先生に向かっていってしまった。
慌てて止めようとしたけれど、一応隠れている身。
様子を見守ることにした。
まあ結局……、
「ナルト…」
「あ!名前ちゃん!」
ナルトはカカシ先生にあっさりとかわされ、大きな一本の木の枝からぶら下げられた縄に縛られている。
ちなみにカカシ先生は、私とは別方向に隠れていたサクラとサスケが逃げていった方へ悠々と歩いていった。
――そうしておよそ一分程経って、私は吊るされているナルトの元へと来た。
ザッと縄をクナイで切る。
「あ、ありがとな!名前ちゃん!」
「ううん…。…ねえ、作戦会議とか、しないの…かな」
「?作戦会議?」
あ、あれ。何でだろう。
思いきり首を傾げられてしまった。
ぽかんとされてしまった。
「そう、その、…だって今、みんな一人でカカシ先生に向かっていってるでしょう?」
「……もしかして名前ちゃん、全員でスズを狙うつもりだってばよ?」
「え?うん、……え?」
私…何か間違っていること言ったかな…。
「悪いけど、それは御免だってばよ!」
「え……」
「こんな演習くらい一人で出来なくっちゃ、火影になんかなれねェんだ…!」
そうしてナルトはグッと両手で握り拳を作る。
口を引き結んで、ぶるりと震える。
ナルト、と。
説得しようと名前を呼びかけてそれは途切れた。
ナルトはもう、闘志を燃やしに燃やして駆けて行っていたから。
「はあ…」
ため息をつくのはこれで、…何回目になるんだろう。
木々の上を渡って演習場を駆け抜けて、何だか無防備な気配があるかと思えば、気絶したサクラが居た。
名前を呼んで肩を揺すったけれど起きなかったたから、少し迷ったけど諦めて、今はまた木の上。
「……!」
降りた木の上から、とんでもないものが見えた。
サスケの生首だ。
いや勿論、土遁の術で埋められたっていう訳なんだけれど。
音を立てずに、サスケの近くに着地する。
驚いて見上げてくるサスケに、分かってはいるけれど、問うた。
「カカシ先生と戦ったの…?」
「…ああ。ちっ、あと少しだったのに…」
「……サクラも向こうで気絶して倒れていたよ」
「フン、だろうな」
……!
これはまさか…最近流行りのツンデレというやつか…?
いやでも別にデレてないよな…。
「そんなことより、出るのに手を貸せ」
「ああ、ごめんね」
ふ、ふふふ。
けれどまあ、やっぱり心配しているよね。
そんなことより、なんて言って。
早く出てサクラの所に行きたいんだろう?
表向きは冷たいけれど本心では強く思っている…ああ、いいねえ。
クナイでサスケの周りの土を掘っていく。
「なら、サクラは抜きにしても早く協力してスズを取らなきゃね」
「……は?何言ってんだお前」
「…え?だから、早く協力してスズを取ろう、って。さっきナルトに断られてしまったから、サスケも一緒に説得を、」
「俺はお前らと組むつもりはねェ」
「え……」
「お前らは、足手まといだ」
サスケのその言葉に反応するよりも前に、私は前方に注意しなくちゃならなかった。
風を切る音が聞こえて、地面を蹴ってかわす。
――カ、カカッ。
サスケから離れさせようとするかのように飛んでくるクナイ。
それから逃れて、奥へ奥へと私は入っていった。
110404