舞台上の観客 | ナノ
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「サスケ君も、この予選止めた方が良いわ…!」


――中忍試験、第三次。
というか本選の予選らしい。

巻物争奪戦を無事クリアした私達は、到達先だった死の森の中央の塔の中に居る。

月光ハヤテという人が、これから直ぐに始まる試験の参加不参加を聞いている時に、後ろからそんな言葉が聞こえてきた。


「今でも痛むんでしょ…?!そのアザ…。――このままいけば…!」


月光ハヤテさんが何か話している最中だけれど、思わず振り返った。
そしてサスケの首元を見る。


アザ……確か私が強風で飛ばされて、戻ってきた時にはあったから、一日目の夜に付けられたんだろうけど…。


「お願い…お願いだから止めて…!私、怖いの…」


ていうかサクラ可愛い…!
すごい可愛いぞ、これ。
もう私にやけるとか通り越してガン見してるものな、凝視してるものな。


「今のサスケ君はまともに戦える状態じゃないわ!」
「黙れ…」


え…あ、ああ…、ここでもサスケはツンなのか…。
涙目で震えているサクラを前にしてこのツンなんて…ただ者じゃないとは分かっていたけど、まさかこれ程とは…。


「私には分かってる!ずっと我慢してるじゃない!」
「静かにしてくれ…」


でもサスケも非情な男と見せておいて、後でどんでん返しを喰らわせるからな…。
あれ、あの…一次試験の時の幻術の時!

「サクラ、どうだ?お前なら気付いてる筈だ。お前の分析力と幻術のノウハウは、俺達の班でかなり伸びているからな」

あれは凄まじい破壊力だった…本当に。


「…このアザのことは黙ってろ」
「っ、どうして強がるの?!ずっと苦しんでるサスケ君なんて、見たくない!私はサスケ君が…!」


わ、私はサスケ君が、何?!
いや、その答えはもう決まっている…!
けれどこんな公衆の面前で告白…するのか…?

でも今回は、ベストポジション、ゲットだぜ!



「お前には関係ねえだろ。余計なお世話なんだよ」



………………。
…………ふっ、何だか、サトシが何時まで経ってもポケモンマスターになれないのが、少し分かった気がするよ…。

――良いポケモンをゲットしても、それが勝利に繋がる訳じゃあないってね…。

いや私の場合は良いポケモンじゃなくて、良いポジションなんだけれどね。


「俺は強いのか…。ただその答えが欲しい。ここで強い奴と闘いたかっただけだ…。そしてそいつらは、ここに居る!いくらお前でも、俺の道を奪うことは許さない…!」


はい、えー、こちら試験会場の名字です。
たった今入った情報によりますと、うちはサスケくんがデレたようです。
いくらお前でも、と然り気無くデレた模様です。


――…少し、デレたな…。
一次の時程の衝撃は無いけれど、然り気無くデレを練り入れてきた…。
流石としか、言い様が無い。




「もう、ナルトっ!肝心な時に役に立たないんだから!――名前っ。名前は反対よね?サスケくんがこの試験に参加すること…!」
「…え、あ…わ、私…?」


必死な表情で頷くサクラ。
ナルトは、サスケに戦いたいと言われて喜んでいてサスケを止める気は無いようで。
サスケを見ると、真剣な目でじっと見られた。


う、うーん…、サクラの気持ちは痛いほど分かるけれど、サスケの意思は変わらないだろうし…。


「サクラ、その…サスケの好きなようにした方が、良いんじゃないかな」


するとサクラは、えっ…?!と声を上げて、サスケはにっと目を細めて口角を上げた。


「な、何で?!名前ならサスケくんのことを考えて、反対してくれると…!」
「…サクラがサスケのことを想ってのことなのは、分かってるよ。私も本当は、サスケは出ない方が良いんだろうなって思ってる」


じゃあ何で…!と言うサクラに、困ったように笑った。


「サスケは頑固だからねえ」
「…何か言ったか?」
「あ、いや、…何でも」
「(…そうか。私、サスケくんのこと考えて、サスケくんの体調を考えるのがサスケくんの為だと思ってた…。けどそれは、サスケくんの意思を考えてなかったのね)」


落ち着いたらしいサクラに、にこっと笑った。


「大丈夫だよ、サクラ。サスケがここまで言ったんだ。きっと大丈夫だ」
「……う、うん、そうね」



――そうして中忍試験の第三次、受験者が出揃った。



「では早速ですが、第一回戦の二名を発表しますね…」


月光ハヤテさんが言うと、前にある大きな掲示板に受験者の名前がランダムに表示され始めて――、



名字名前 vs ギジ・セイド



一回戦の組み合わせが、決まった。







110508.