ネジさん(結局師匠や仙人やその他諸々は断られてしまった)達の班は早々に去っていって、話していた木陰から戻ろうと振り返った瞬間、サスケと目が合った。
ムッとサスケが顔をしかめてこちらへと歩いて来るのを見た瞬間、光の速さで逃げたくなった。
絶対怒られる……!
さっきのサクラとの熱い抱擁…は少し語弊があるけれど、まあそれが瞬時に脳裏に蘇って血の気が引くのを感じた。
けれど次の瞬間、身体に大きな衝撃が走った。
「名前ーっ!!」
「げぅ、っ…?!」
横腹に何かが勢いよくタックルしてきて、私はそのまま地面に倒れ込む。
視界の端に映った透けるような金色を理解して、私は息をのんだ。
「ナ、ナル、ト」
「名前ってば何処行ってたんだってばよ!戻って来たら名前居ねェし、…っ誰かにやられてたらどうしようかと思ってたってば!」
「あの、ええと、風で大分飛ばされちゃってね、はは、その、ナルト、」
サスケの視線がヤバい…!
人ひとり殺せそうだぞ…?!
というか確実にそれって私のことだろ!
サ、サスケくん、いや、サスケ様…?
本当にすいませんんん!
「ご、ごご、ごめんなさ、」
「?あ、謝ることじゃないってばよ。名前が無事だったならそれで良いってば!」
「…!あ、ありがとう!ナルト!」
するとナルトがにっと笑いながら退いてくれたので、私はほっと息をつき顔を輝かせてお礼を言った。
…はぁ、危なかった…。
サスケのあの視線…、下手したら写輪眼を開眼してたんじゃないだろうか…。
「――おい」
「っ…!サ、サス、ケ…」
びくっと肩が揺れた。
恐る恐るそちらを見れば、眉を寄せて額に筋を浮かべているサスケの姿。
ひい……!
や、やっぱり制裁は下されるのか…!
そ、そりゃあそうか…サクラに続いてナルトとも熱い抱擁…は少し語弊が以下略。
びくびくとしながらも、気分はさながら上官に怒られる一兵士のようで、私は背筋を伸ばして両腕を後ろに回した。
するとサスケはそんな私を見て訝しげに眉を寄せる。
「っ…、…あれ…?サスケ、その首…」
そんなサスケの首元に変わった模様があるのに気付いたので、右手を伸ばそうとして、そして慌てて左手に変えた。
包帯を巻いているけど、まだ少し血が出ているしな…。
するとサスケはギッと眉を寄せて私の左手を掴んで、木陰へと歩き始めた。
「え、サ、サスケ…?」
慌ててナルトとサクラを見たけれど、ナルトはシカマルとチョウジと、サクラはイノと話していて気付かない。
木陰へと来ると、肩を掴んで木に押し付けられた。
ヤ、ヤバい…!
サスケ、物凄く怒ってる…!
サスケは私の右腕を取ると、巻いてある包帯を雑にむしり取る。
腕には長く傷が走っていて、まだ血が滲んでいる。
そんな私の腕を見ながら、サスケは低い声で「これ…どうしたんだ」と聞いてきた。
って、あ、あれ…?
この傷のことが、どうかしたのかな…。
「ええと、別に…」
「隠すんじゃねえ」
「…あの、蛇にやられて…」
「……蛇?」
「う、ん。そうだよ」
「…毒は」
「毒はあったんだけど、ネジさんが毒抜きしてくれて…」
するとサスケは眉を寄せて舌打ちしたかと思えば――、
「いっ…、…?!」
千本の痕が残る傷口に、ガリッと噛み付いた。
「サ、サス、〜っ…」
ガリガリと噛まれて、痛みに自然と涙が浮かぶ。
反射的にサスケを抑えた左手は、いとも簡単に掴まれた。
ま、まさかこれが制裁…?!
な、何てドSなんだ…!
この傷付けられてからまだ数時間しか経ってないのに…!
「っ、ぁ…!」
神経にかすったのか右腕の中に針金があるように痛みが伝導して、身体がびくりと跳ねる。
するとサスケもびくっと肩を揺らして、顔を上げた。
「サ、サスケ……っ」
「…………」
「ごめ、ん、ごめん…痛っ」
本当にごめんなさいいい!
もうナルトとサクラと熱い抱擁…は少し以下略しませんからあああ!
荒い呼吸をしながら、涙で滲むサスケを見つめる。
するとサスケはふいっと顔を逸らした。
「…次は隠すな」
そう言ってネジさんがくれた包帯をぽいっと投げ捨てると、自分のポーチから包帯を出して巻いてくれた。
ツンデレ…!
と思いました。
あれ、作文?
110507.