「テマリさん!カンクロウさんも!お久しぶりです、私のこと覚えていてくれたんですね!」
「ふふ、当たり前だろ?」
「忘れるわけないじゃん!」
「でもびっくりしました。我愛羅と同じ班なんですね」
にこっと笑うと、テマリさんとカンクロウさんはギクッと体を強張らせる。
首を傾げると、二人はひきつった笑みを浮かべた。
「あ、ああ…私達、…き、きょう、だい…だからな」
「え…我愛羅とテマリさん達がですか?」
「そ、そうじゃん」
「そうなんですか!砂の里に居させてもらっていた時には気付かなかったです」
――私がまだ、居るのかも分からない家族を探していた時のこと。
当然、忍五大国の指に入る風の国にも行った。
強い隠れ里を持つ国は、伴って国も発展する。
それに私はその頃から自分が忍だと、それは分かっていたから当然、発展した隠れ里は回るべきだった。
そうして風の国、砂隠れの里に行った時、会ったんだ。
テマリさんと、カンクロウさんと、そして――、
離れた所で、壁に背を預けて目を閉じている我愛羅に目をやる。
――我愛羅と。
すると後ろからグイッと腕を引っ張られた。
「名前、どういうことだってばよ!」
「名前、あれ彼氏?さっすがデコデコとは違うわね〜」
「何ーっ!イノブターっ!」
「おい、…お前、アイツとどういう関係だ」
「何だか嫌な臭いがするぜ…なあ赤丸!」
「嫌な臭い?何かクセのある食べ物焼いてるの?」
「え…あ、あの…名前ちゃん、…その…」
「…………めんどくせー…」
「…お前らはもう静かにした方が良い。何故なら――、」
「静かにしやがれ!どぐされヤローどもが!」
「何故ならもう、中忍試験が始まるのだから」
――中忍試験の一次は筆記試験だった。
と言っても単純な知識を問うてるんじゃなくて、所謂カンニングをどれほど試験官に気付かれずに行うか。
情報収集能力を試す試験。
まあ何事も無く、とは言えないけれど、とりあえず新米下忍は全員!二次試験の死の森へと来たんだ。
「あ、居た居た〜っ」
「…いの、」
「さっきはうやむやになっちゃったからね。で?どうなのよ、そ・こ・ん・と・こ」
「え…、な、何がかな」
「はぐらかさないでよ〜。あの、砂瀑の我愛羅、だったっけ?」
いやにニヤニヤしているいのに感付いて、苦笑する。
「あはは…、もしかしていの勘違いしてないかな」
「ええ?彼氏じゃないの?」
「ああ、やっぱり…」
「…ちげーのか?」
「…シカマル、チョウジも」
いつの間にか第十班が揃っていた。
「我愛羅は友達なんだ」
にこっと笑うと、シカマルが「友達に抱き着くか…?普通」と訝しげに言った。
…まあそこは確かに私も驚いたんだよ。
あんなに照れ屋というか、恥ずかしがりやだった我愛羅が、久々の再会で抱き着いてくるなんて…!ってね。
「ああ、そっか。そういえば名前って転校してきたもんね。砂の里に居たことがあったの?」
「そうだよ、その時に知り合ったんだ」
「砂の里にも美味しいものあった?」
「あはは、うん、あったよ」
そうして少し話をしたいの達と別れて歩いていると、今度はキバに声をかけられた。
第八班が揃っている。
「おい名前!結局アイツとはどういう関係なんだよ」
「…あの、我愛羅のこと?」
「名前は答えるのをめんどくさがっている。何故ならついさっき、第十班に答えたばかりだからだ」
「あ、あの名前ちゃん…ご、ごめんね…」
「何だよシカマルかあ?!お前は!」
キバを宥めながらも私はさっきと同じことを第八班に説明する。
あ…それにしても、我愛羅もすっかり格好良くなっていたよな…。
感動したよ…!
まあ私が砂に居た時から我愛羅は人気だったからね、今は更に増えてるだろうな。
そういえば、砂の人達のツンデレは治ったんだろうか。
「あ!名前!やっと見つけたってばよ!」
「どこ行ってたのよ?」
「チッ、一次試験でまぎれてたぜ」
私はにっこりと笑った。
「以下略」
するとサスケにガシッと頭を掴まれた。
「い、痛いよ、サスケ」
「ウスラトンカチが」
「あ、あはは、ごめんね」
だって説明するの、ナルト達で三回目だぞ?!
もう以下略で済まさせてくれって思うよね。
まあそれでも結局は説明することになる訳で。
…そういえば我愛羅、額に愛と刻んであったな…。
も、もしかして、やっぱりまだ照れ屋なところは変わってないから、好きな人に言葉では伝えられないのかな…!
「げほっごほっ」
だから額を見せるのか…?!
けれど前髪が長くはないから常に見えているじゃないか。
…本当に好きな人に誤解されてしまう気がする…。
「これより中忍選抜、第二の試験!――開始!!」
次に会ったら、アドバイスしてみようかな。
110504.