舞台上の観客 | ナノ
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試験会場に入ると、そこには数え切れない程の人達が居て、しかも目付きは悪く、眼光鋭く私達を見ている。

まあ会場に入って来るライバル達を品定め兼、威嚇しているだけだろう。


「サスケ君、おっそーい!」


すると可愛らしい声で聞き慣れた名前を呼ぶのが右側から聞こえたので、そっちを向いて――、


「私ったら久々にサスケ君に逢えると思って〜ワクワクして待ってたんだからー!」


勢いよく壁に頭からアクロバティック!――は何とか寸前で踏みとどまった。


あ、危なかった…!
これ以上頭をぶつけるとか、酷使したら、間違いなく脳細胞が死滅する…!


見たいけれど、見ていたら自分の体が危ないので、みんなから少し離れた所へと歩いて来る。



――ガタッ、



すると前の方で音がして、反射的にそっちを見る。
数秒私はぼうっと見つめて、そして気がついて、思わず笑顔になった。







「次は――砂瀑の我愛羅」


今年の新米下忍「十人」に取り囲まれ説明している、眼鏡を掛けた灰色の髪の男――薬師カブトは言葉を続ける。


「すごいな、下忍でBランクか…。他国の忍で新人だから、これ以上詳しい情報はないが…、ただ任務は全て無傷で帰ってきたそうだ」


その言葉の意味するところに空気が静まり返る。
眉を寄せて何か考えた様子のサスケを、床に膝をついているカブトが見上げる。


「君が彼のことを知りたかったのは、彼が強いからかい?それとも――仲間の恋人だからかな」


ふふっと笑うカブトに、サスケを含めた新米下忍「十人」が眉を寄せて首を傾げる。
そんな十人にカブトは笑みを浮かべながら、すっと人差し指をある場所へ向けた。



そこには、今まさに薬師カブトのカードに写されている砂漠の我愛羅が、第七班の仲間、名前を抱き締めている姿があった――。







110503.