舞台上の観客 | ナノ
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「#年下攻め」のBL小説を読む
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ーー現実世界へと戻ってきたナルトたちは、まるで水の中から起き上がるようにして目を覚ました。
時間の停止した名前や、気を失ったナルトたちが寝ていた傍で、地面に腰を下ろし待っていたオビトがはっとする。


「戻ってきたか。解決策は見つかったかーー」


言い差して、オビトは目を見開いた。


「どうしたんだ。ーー何があった」


起き上がったサクラは名前に駆け寄ると、腹の傷にそっと触れながら、涙を流している。
カカシが空を見上げてから、オビトを向く。


「俺たちが過去を見に行ってから、経って半日くらいか?」


ああ、と困惑気味に答えたオビトに、カカシは複雑そうな顔で頷いた。


「話はこれから、砂隠れに戻り影全員に話す。だがその前に、サスケーー」
「名前の記憶を、俺たちに戻してくれってばよ」


カカシの言葉の先を言ったのはナルトだ。
やはりそうだったのかーーというオビトの視線に、カカシが首肯した。
言われるまでもなく、サスケは既に、名前の傍へと膝を折ると写輪眼を開眼する。

ーー写輪眼は時空眼に作用を掛けることができる。
そのことも同様に、過去を見に行き、知ったことだった。


「ーー解ーー」


薄く開かれた名前の時空眼が巻き戻しの作用を掛けていく。
人々の脳の中で一度は小さくなり、消えた記憶の種が再び花開いていく。
ーーそして世界に、名前の記憶が戻された。










それから名前は、木ノ葉隠れの奥深く、厳重に警備された結界内で眠ることとなった。
名前の体が消えようとしている原因は、一人の人間を消したからーーそれは代償であり罰だった。
罰をなくすためには、犯した罪もなくさなければならない。
だがカサネを復活させることは許されない。

忍たちは名前の救済に明け暮れた。
写輪眼の幻術、超再生など、ありとあらゆる手段を尽くしたが、めぼしい結果は得られない。

それでも忍たちは諦めなかった。
毎日名前の元を訪れ声を掛け、傷ついたままの姿の名前を目に刻み、もう二度と忘れないと心に誓う。
それは月日が流れ、時間が止まったままの名前と、ナルトたちの年齢が開いていっても変わることはなかった。


そんなある日、男は現れた。
強力な幻術を使い、警備を突破しーー名前の元に。


「お前、どうして生きているんだってばよ……!?」
「生きる?何のことかな」


男は首を傾げ、真実不思議そうにする。


「お前は名前が、存在を懸けて消したはずだーーカサネ……!!」


現れた男は、かつて何度も世界を滅ぼそうとし、名前を破滅の道へと誘った張本人ーーカサネその人だった。


「さっきからいったい何を言っているのかは分からないけれど……光栄だ。まさか世界の英雄と名高い、七代目火影に、名を知られているなんて」


カサネは口許に笑みを浮かべる。
とぼけているわけでなく、本当に身に覚えのない、という様子のカサネに、ナルトは訝しげに眉根を寄せた。
やがてはっとする。

時空眼の禁術ーー相手を消せば、その代償に自分も消える。
その罰に抗い、償わずに、自分だけ在り続けることは許されない。
もしも術者が消えないのなら、それは術が掛からなかったことと同じことになってしまうのではないだろうか。
だから消えた相手がーーカサネがこうして、再びこの世に現れ出ている。

そうだとしたらーーとナルトは息を呑んだ。


「だが、あなたが救ったこの世界は間違いだ。私が今からそれを、正してあげよう」


名前が生きれば、カサネも生きる。
ーーカサネを消すためには、名前も共に、消すしかないのだ。


「名字名前!私に力を授けたまえ!」


カサネが名前に幻術を掛ける。
時空眼が煌めいたのを見て取ったナルトは、やめろ、と声を上げ、カサネを倒そうとした。


ーー時空の力はまだ、か……逃げきれないな。


カサネは思い、時空眼に目をやると、唐突に笑みを浮かべた。
ナルトが不審に眉根を寄せる前で、カサネは叫ぶ。


「名字名前!私をーー過去に飛ばせ!」


息を呑んだナルトに笑みを残し、カサネは現代から消え去った。











「ーー名字名前だな」


過去に飛んだカサネは言う。


「あなたはいったいーー」


困惑気味に問う名前は、これから起こる壮絶な未来をまだ知らない。


「私はカサネ。今この世界で唯一あなたのこと知る者だ」
「ーーどうして」
「私は未来から来たんだ」


目を丸くする名前に見つめられて、カサネは恍惚としながら言った。
ーー時空眼、やはり、素晴らしい。


「あなたから力を授かったおかげだ。あなたのその、時空眼から」



そして世界は、繰り返される。



「どうして私をーー時空眼のことを知ってるの」






150315