舞台上の観客 | ナノ
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「ええーっ!?」


茶屋どころか里全体に響き渡りそうなナルトとサクラの声に、質問に答えた私のほうが驚いた。
辺りを見回せば案の定、他のお客さんたちは何事かというように私たちを振り返っているし、茶屋の外を歩いていた人たちも数人、興味深げに店内を覗き込んでいる。
視線を戻せば、サイも珍しく目を丸くしている。

私は慌てながら三人に訊いた。


「ど、どうしたの三人とも?そんなに驚いて」
「いやいやだって、驚くってばよ!そりゃあ!」
「そうよ!まさかあのカカシ先生が……!」
「まだ名前に、手を出してなかったんだね」


困惑しながらも頷けば、ナルトはサクラは再び声を上げた。
けれど今度はサクラも周りの視線に気がついたのかはっとすると、ナルトの頭を殴って、申し訳なさそうに笑いながら辺りの人たちに頭を下げる。




そう、どうして三人がこんなに驚いたのかというとーー先ほど四人での任務が終わったのだが、それが少し大変なものだったこともあって、簡単にだけれど、茶屋で打ち上げをすることにしたのだ。
ちなみにナルトは一楽がいいと言っていたんだけれど、サクラの鶴の一声というか、まあそんなもので茶屋になった。


「ーーへへん、俺ってばこの後、ヒナタと会うんだ」
「私だって、今夜にはサスケ君に会えるの」
「ええ!?サスケってば今日木ノ葉に来るのか?」
「そうよ、手紙にそう書いてあったの」
「それじゃあ僕はいのに会いに行こうかな」


そして繰り広げられる微笑ましい会話に、必死で咳をして、にやけて崩壊しそうになる顔面を手で隠していたとき、サクラが言った。


「名前はカカシ先生と会うんでしょ?」


話が自分に振られたことで冷静さを取り戻した私は笑って首を振った。


「ううん、カカシ先生は今、中期任務に出てるから。帰ってくるのは予定だと明日、だったかな」
「そうだったのね。ーーそれより名前、まだカカシ先生のこと、先生、って呼んでるの?恋人なんだし、もういいんじゃない?」


私は苦笑するように笑う。


「実はカカシ先生にも同じこと言われてるんだ。だけどどうにも、先生は先生、っていう感じがして……もちろんカカシ先生と付き合ってるっていうことは、最近ようやく、実感もしてきてるんだけど……」


するとナルトがにやりと笑って口許にわざとらしく手をあてた。


「にっしっし、けどもう名前とカカシ先生ってば、ただの教師と生徒じゃないってばよ」
「そうだよね、恐れ多いけれど、私がカカシ先生の恋人なんだもんね……!」
「恐れ多いって。ーーいやまあつまり俺が言いてえのは、もう恋人らしいことしてるんだろ?名前とカカシ先生も」
「ちょっとナルトーー」


サクラはナルトを禁め掛けて、唐突に私に向かって手を合わせた。


「ごめん名前、私も知りたい!」
「知りたいってーー」


瞬くと、サイがにこりと笑って言う。


「ぶっちゃけ、名前とカカシ先生はどこまで進んでるのかっていうことを、二人は訊きたいんだと思うよ」


そうして瞬きながらも現状を説明したところ、二人は驚きの声を上げたのだった。




ーー私は首を傾ける。


「そんなに驚くことかな……」
「そりゃそうだってばよ!」
「だってカカシ先生よ!?」
「公道でエロ本読んでるような人だもんね」


エロ本?と更に首を傾げて、思い当たった私は笑う。


ーーそうか、サイはイチャイチャシリーズを、エロ本だと思ってるんだな。
確かに十八禁だし、タイトルにイチャイチャと付いているのだから、エロ本だと思うことは当然のこと。
だがしかし、忍は裏の裏をかけーーだ!


「もしかしてカカシ先生って、ヘタレ?」


するとナルトが言って、私は目を丸くした。
ナルトは、だってさ、と言う。


「カカシ先生ってば、誰がどう見ても、名前にベタ惚れだってばよ。すんげー可愛がってるし、隙あれば名前にくっつこうとするし」
「それなのに一線は超えられない……確かにヘタレかもしれないわね」


あくまで真剣に頷くサクラが何だか可笑しくて、笑いそうになりながらも、私は慌てて両手を振った。


「それは違うよ」
「僕も、カカシ先生はヘタレとかじゃないと思うな。冷静な人だし大人だから、理性が強いんじゃない?」
「カカシ先生もちゃんとした大人だったってこと?」
「それじゃあカカシ先生は、こう、頭が真っ白になっても、そういうのを抑えられるってことか?」


ナ、ナルトはヒナタに対してそうなる時があるのか……!?


「げっほぉーーぐはっ」
「ナルト、あんたと比べたら誰だって理性的にーーって名前大丈夫!?」
「ご、ごめんサクラ……大丈夫だよ」 


言いながらも実際私は何も大丈夫じゃなかった。
……ナルト、その気持ちよく分かる……!
ヒナタはとても可愛いから、そのあまりの魅力に、頭が真っ白になるんだよね……!


思って私は、はたと止まった。


「本当に?無理しちゃ駄目よ」


息を吐きながら笑ったサクラは顎に指を添えながら天を仰ぐ。


「でも、そっか。カカシ先生が名前に手を出さない理由って、これもあるかもしれないわね」


これ?と首を傾げるナルトに、サクラは言う。


「体が弱いこと。任務でも何でも、名前に無理はさせたくないと思ってるだろうから。……まあそれは、私たちも同じなんだけど」


話を続けていく三人の声が耳の横を通り過ぎていく。
焦りから、背中を嫌な汗が伝った。


そ、そうか、私は今とても幸せだから、深く考えたことはなかったけれど……普通はもう、もっと恋人らしいことをしていて然るべきなのか!
げんにナルトたちは、言い方からして、もうそういったことは経験済み。


「ーーげほっ」


けれど私とカカシ先生はまだそういったことはしていない。
当たり前だ!
だって私に、魅力がないんだから!
……ちょっと考えれば分かったことのはずだ。
それなのに私は一人幸せに浮かれて、いわゆる自分磨きなんてことを考えもしなかった。
カカシ先生は私を好きだと言ってくれるけれど、恋人らしいことをするには、私に魅力が足りなすぎるんだ。
……い、今からでも間に合うのだろうか。
というか磨いたところで、それが私じゃ光らないんじゃないだろうか……?


考え込んだところに、どこか遠くから鳥の鳴き声が聞こえてきた。
三人に断りを入れて店を出て、空を見上げると思った通り、私を呼び出す用の鳥が旋回している。
ーー五代目様がお呼びのようだ。
私は再度三人に断りを入れると、火影邸へと向かって駆け出した。










「色任務、ですか」


呆気に取られながらオウム返しに呟けば、綱手様は眉をしかめた。


「心配するな。色任務と言っても、別に本格的なところまでしてくれと言ってるんじゃない。ただ情報を聞き出してきて欲しいんだ」
「ーー情報」
「ああ、ーー相手は火の国でも有数の資産家の一人息子だ。こいつがまた駄目な男で、親の金と権力を使っては悪さばかりしてるような奴でな。まあ悪さと言っても、やっていることは取るに足らないような、下らないものばかりだったんだが……最近妙な噂が耳に届くようになった」
「悪さが限度を超えてしまったんですね」
「聞く限りではそのようだな。とある小国の転覆を目論む組織に武器を提供している女商人と繋がりがあるらしい。それが真実なのかどうかを、お前に確かめてきて欲しいんだ」


言われて私は眉を下げた。


「どんな任務でも、力を尽くしたいとは思っているんですが……その」
「カカシのことが気に掛かるか」


え、と目を丸くする私に、五代目様は色付いた唇で弧を描いた。


「お前たちのことは知っている。それに私だって、こんな任務はできることなら誰にも受けさせたくないさ。だけど親が息子可愛さに隠してるのか、調べても、一定以上の真実は出てこない。疑わしいというだけで、国に影響力を持つ資産家の息子を尋問したり、幻術を掛けたりすることはできないしな」
「だから色任務で上手く取り入り、本人から直接聞き出すんですね」
「ああ、その馬鹿息子はお決まりのように、女に弱いらしいからな」
「……で、ですが私にできるでしょうか」


何?と訊く綱手様に、私は申し訳なさを覚えながら言う。


「カカシ先生とのことが気に掛かるというより……私にはこの通り魅力がありません。恋人である先生にすら手を出されていないのに、まったくの他人に上手く気に入られるとはとても思えなくて……ですから任務を遂行できるかどうか」
「カカシの奴、まだお前に何もしていないのか」


頷けば、綱手様は驚いたような呆れたような顔をした。


「ずいぶんと大切にしてるんだな……そしてお前は相変わらず鈍いな本当に。そういうところは私の班員にそっくりだ。ーーこうした任務を受けさせて申し訳ないが、名前、お前には魅力がある。だから心配するな。それにお前はどんな任務でもきっちりこなしてくる。今回も同様に、心配はしてないよ」
「は、はあ」
「そしてこの任務にお前を選んだのには、ある一つの大きな理由があるんだ」
「大きな理由、ですか?」


訊いた私に綱手様は、ああ、と頷く。


「その男の好みが、ドンピシャお前のような女なんだ」
「そ、そんな変な人がいるんですか……!?」
「変な人って、お前は本当にーーまあいい、とにかくそうなんだ。琥珀色の髪に似たような目の色の女が好みらしく、武器商人の女もそうらしい」
「こういう色が好きなんでしょうか」
「どうだかな。ーーとにかくお前はその条件を満たしているし、何より人当たりがいい。この任務を任せられるのは名前、お前しかいないんだ。受けてくれるな」


私は覚悟を決めて、強く頷いた。


「分かりましたーー全力を尽くします」
「ああ、頼んだ。それじゃあさっそく準備をして、目的地へと向かってくれ」
「えっと、今からですか?」
「そうだ、今夜火の国のとある屋敷で行われるパーティーに、例の男が出席する。そこで接触をし、情報を聞き出せ。……連絡が遅くなって悪かったな。だがカカシが里にいるときには言えなかったんだ」


首を傾げると、五代目様は大きく息を吐く。


「あいつは色々と聡いからな、すぐに感づく。だがお前をこんな任務に出したと知れたらどうなることやら……。だからあいつが中期任務に取りかかっている間にやってもらおうと思ってな。ーーカカシに与えた任務は、先ほど言った、国の転覆を目論む組織の調査だ。そちらからも情報を奪うよう言っておいたが、関係している者は全員捕らえる。男の情報も必要だ。ーー頼んだぞ、名前」















ーー華やかなパーティー会場は、美しく着飾り、時節軽やかな笑い声を上げながら談笑する人々で溢れている。
そんな中で私は一人、憂鬱からため息を吐いた。


……綱手様はああ言ってくれたし、私も任務を全うしたいけど、果たして本当にできるかどうか……。
いくら琥珀色が好きだとしても、その中にも好みはあるだろう。
まあ、他の皆に色任務を受けさせるよりは、ずっとよかったんだけれど。


再度ため息を吐いたところに、後ろから声を掛けられた。


「そんな沈んだ顔してどうしたの?」


振り返って、微かに目を見張る。
そこには、資料に載っていた写真で見た人物ーー例の男が立っていた。


「そんなに驚いてどうしたの?もしかして、僕に見とれちゃったのかな」
「え?あ、はい」
「驚かせちゃってごめんね。でも悪気はないんだ。この美貌はどうすることもできないから」


まさか向こうから話し掛けてくるなんて……これはチャンスだ。


「お声を掛けてくださりありがとうございます。こうしたパーティーには不慣れなもので、どう振る舞えばよいのか分からず、少し不安だったんです」
「気にすることないよ、君はとっても輝いているよ。でも、どおりで見慣れない顔だと思った」
「人を覚えるのが得意なんですね」
「いいや、そういうわけじゃないんだけどーー君のような魅力的な人のことは、忘れられるはずがないからね」


男は私の髪を一束取るとそこに口付け片目を瞑る。
その行動に瞬いた私は、けれど目を落とす。


「お上手ですね」
「真実を言ったまでだよ」


私は笑って首を振る。


「私には魅力がありませんから」


ーーそんなこと、大して気にしたことがなかった。
私は皆の物語を見るのが好きで、だから欲しいと思うのは、皆を守れる強さだった。
今もそれは変わってない、けれど自分に魅力がないことがカカシ先生に申し訳なくまた哀しい。


眉を下げれば、男がやや屈んで、私と目線の高さを同じくした。


「だから沈んだ顔をしてたんだね。だけどそんな顔、君には似合わないよ。ーー分かってないなら、僕が君に、その魅力を教えてあげる」


え、と目を見開いた私に男は笑うと、手を取って歩き出した。
会場を出て、屋敷の奥へと進んでいく。


「僕はーーっていうか僕の両親が、なんだけど、この屋敷の当主と知り合いなんだ。好きに使っていいって言われてるから、気にしないで」
「そうなんですね。あなたと二人きりになれるのは、私の願うところでもありますから嬉しいです」
「……意外と積極的なんだね」


そうして行き着いた部屋はこれまた豪華で、眺めていると、男は突然私を横抱きにした。

若干驚くが警戒はしない、男に戦闘技術はないと資料で知っているし、それでも一応観察してはみたが、手などにそれらしきタコはないし、動作にも忍や侍に特有の癖は見られなかった。

けれど意図は分からないので瞬いていると、男は私を、天蓋付きのベッドの上に寝かせた。
続いて彼も、私の顔の横に手をつくと覆い被さってくる。


「君は自分の魅力を分かっていないだけなんだ」
「えっと、こうしたら私も、自分の魅力が分かるようになるんですか?」
「そうだよ、安心して。力を抜いていれば、僕が優しく教えてあげる」


はあ、と頷いたものの、やはり意味は分からない。
ここからいったいどうやって、私の魅力が分かるというのだろう。
……というか駄目だな、私は。
私的なことに考えを遣りすぎている。
任務に集中しなければーーとは言っても、果たしてどうやって男に取り入ろう。
彼が魅力を教えてくれるというなら、ありがたくそれをさっそく使わせてもらおうとも考えたのだが、何やらさっぱり、彼のやろうとしていることは分からない。


仕方ない、と私は息を吐いた。


悩殺(物理)させよう。
もしくは悩殺(忍術)だ。
私は幻術は使えないが、響遁で相手の聴覚に働きかけて脳を麻痺させることができる。
上手くいけば、術によりぼうっとしたところに質問を問い掛け、答えさせることもできるかもしれない。


そうと決まれば、と印を結ぼうとしたとき、濃い殺気と気配を感じて息を呑んだ。
咄嗟に飛び上がるよりも先に、私の上にいた男が吹っ飛ぶ。
え、と体を起こしたところに、男の首を掴んで持ち上げているーーカカシ先生の姿が飛び込んできた。


「カ、カカシ先生!?どうしてここに!そ、それに何してるんですか!?」
「いやちょっと、土に還ってもらおうと思って」


何を言っているのか分からないけれど、とにかく焦る。
カカシ先生は笑って言ったけれど、その声は恐ろしく低いのだ。


「先生、とにかく待ってください!まだ情報を聞き出せてないんです!」
「いいよ、そんなの」


先生は言うと、男を床へと投げ捨てた。
男は床に横たわりながら気を失っていてーーそれでもその寝顔が安らかな笑顔であるのを見て、いついかなるときも美貌を気にする男に一種の尊敬の念を抱いたが、今はそんなことを考えている場合じゃない。


「カカシ先生ーー」


こちらへ歩いてきたカカシ先生の名を呼び掛けて、私は再びベッドへ沈む。
両手をそれぞれ強く掴まれて、ベッドへ押し付けられる。
思わず目を閉じていた私はカカシ先生を見上げると驚いた。
先生は怒りを抑えているようで、それでも抑え切れないものが、震えとなって現れていた。

言葉をなくす私に先生は低く言う。


「任務、だったんだよね」
「……は、はい。ーーカカシ先生が任務で調べることになった組織と、遠いですが繋がっている可能性が、彼にあって」
「うん……それは事実だよ。情報を入手した。だから俺も、任務に関わるところがあると思って、ここへやってきたんだ。……まさか名前がいて、しかもこんな任務してるとは、思ってもなかったけど」
「そ、そうですよね、私も驚きました」
「まあ、任務はもう終わりでいいよね」
「えっ?けれど綱手様からは、男自身から情報を聞き出すよう言われてーー」
「裏は取れたんだから、あとはあんな奴、幻術でも拷問でも掛ければすぐに吐くよ。悪い組織と繋がりがあった奴に今さら、資産家の息子だ何だと情けをかける必要もないしね。ということではい、任務終わり」


緩く言った先生に、いつものカカシ先生だと息を吐きかけたのも束の間、鋭い目で見られて息を呑んだ。


「せ、先生?」
「名前、これ脱がせていい?」
「ーー!?ど、どうしてですか?」
「似合ってないから」


言われて私は、今日ずっと考えていた、未だ手を出されていないことへの追撃を食らったような気分でショックを受けながらも謝った。


「お、お見苦しいものを見せて大変申し訳なくーー」
「違うよ、そうじゃなくてーーいや、ごめん。今のは名前の鈍さよりも、俺の言い方が悪かった。……名前は可愛いし、綺麗だよ。今の恰好だって、そう思ってる。すっごく可愛い。けど、似合ってない。あんな奴の為に着飾った姿なんて、全然ね。ーーだから、脱がせて。任務なら、俺も忍だから、それに対して何かは言えないけど、もう終わったんだからいいよね?」
「で、でもこれを脱いだら着るものがありません、任務服は宿に置いてきてますから」
「それじゃあ、宿ならいいの?」
「自分で脱げますよ、カカシ先生がそんな苦行を行う必要はありません……!」
「苦行って、名前ねえ」
「だって服を脱がせば、カカシ先生は私の裸を見ることになるんですよ……!?」
「それがどうして苦行になるのさ。相変わらず名前はーー」
「だって、私には魅力がないから。だからカカシ先生は今まで、私に何も、してこなかったんですよね。……すみませんでした」


眉根を寄せて、私は言う。


「だけどこれから、ちゃんと自分磨きをしますから……!だからそれまで、どうか待っててくれませんか……?」
「……名前今の状況と、自分が何言ってるのか分かってる?」


私は変わらずカカシ先生に組み敷かれたまま、首を傾げながらも頷いた。


「だってつまりそれって、その自分磨きとやらが終わったら、名前は俺に手を出して欲しーーあ、やばい」
「先生?どうしたんですか?」
「頭真っ白になりそう」


カカシ先生は言うと、私を見下ろして、そしてようやく笑ってくれた。


「今まで頑張って我慢してきたけど、その理由を名前に勘違いされてるんじゃ、意味ないからね。いいよ、もう、教えてあげる」
「もしかして、私の魅力を、ですか?」
「うん、それとーー俺がどれだけ、名前のことを愛しているかを、ね」




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