「名前ちゃん!」
「…あ、紅先生。お久しぶりですね」
「え、ええ…って、そうじゃないわ!」
――波の国から帰って来て、今日も私達には任務がある。
もちろん、波の国の時のようなものじゃないけれど。
そしてカカシ先生がやっと来て遂に任務開始、という時に紅先生が来た。
顔を赤く染め何故だか焦りながら私の肩を掴んで揺らす紅先生に首を傾げる。
そして実際紅先生の可愛さにダムが決壊しそうだ。
普段結構気丈な人が顔を赤くして焦っている姿なんて、もう最高だ。
まあヒナタは常にそうだとしても、それも最高な訳で。
「名前ちゃん、ちょっと来てくれるかしら?」
「ちょっとちょっと、俺達これから任務なんだけど」
「これから、なんてよく言えるわよね」
「うんうん、ホントはもっと早くからだってばよ」
「………………」
サクラとナルトの言葉に、紅先生がにっこり綺麗に笑ってカカシ先生を見る。
カカシ先生はうっと少し詰まると、けれど腕を組んだ。
「けど任務は任務。勝手にウチの班員を連れてってもらっちゃ困るね」
「…それは分かってるわ。でも、大事なことなのよ…。名前ちゃんは重要機密を掴んでいる重要参考人…!」
「「「「?!!」」」」
じゅ、重要機密…?
重要参考人…?
紅先生、何言ってるんだ…?
第七班のみんなが私を驚きの眼差しで私を見てきていることに気付いたけれど、私も訳が分からないから、眉を寄せて紅先生を見上げる。
「だから、ちょっと来てもらうわよ、名前ちゃん」
「…ちょっと待て、その重要機密ってのは一体何だ?」
「言えるわけないでしょ!」
カカシ先生の問いに、紅先生はまた顔を赤く染めて息荒く返す。
普段冷静な紅先生のそんな姿に、みんなはもちろん、カカシ先生までもが微かに目を見開いた。
重要機密…重要機密…。
…………もしかして紅先生の言ってることって…――、
「分かりました、紅先生」
「…心当たり、あるわね?」
「はい。確かに大事なことですね…」
「ええ。…じゃあ、悪いわね。借りていくわ」
真剣な顔で頷いて、第七班のみんなに一礼する。
そして私と紅先生は、その場を去った。
「それでね、その…」
「…………」
「あ、あの、名前ちゃん、その、あのね…」
「ぶっ げほっ…!」
「だ、大丈夫?そうよね、名前ちゃん、身体が弱いってヒナタ達から聞いてるわ」
「はっ…はあっ… ぐっ…!だ、大丈夫、です」
いやホント、何だろう。
何なんだろう、紅先生。
可愛すぎるだろう。
これはもう、兵器レベルだ。
演習場の休憩場所、今は人気もなく、少し冷たい風が木々を揺らす音が聞こえる。
木のベンチに二人で座って、お互いを向いて話をしているんだけど…。
「あのね、その、何で名前ちゃんは、…その」
紅先生可愛すぎる。
もう直視出来そうにない。
アスマ先生に見せたい。
そしてその現場を見たい。
…そうだ、紅先生が可愛くて思考回路がショートしていたけれど、重要機密を話さなきゃ。
「あの、紅先生。昨日なんですが、キバ達と、紅先生の恋愛事情についての話になったんです」
「れっ…!」
「それでですね――、」
「なあ名前、お前はどう思う?」
「名前に話をふっても直ぐには答えられない。何故なら名前は話を聞いていなかったからだ」
「…あ、あはは。…で、何の話か、な」
「ったくちゃんと聞いとけよぉ!俺らの先生って、彼氏居んのかなーって」
「く、紅先生美人だから、そういう人居るのかなって…」
「紅先生…?彼氏かどうかは分からないけれど、あの、あれ、アスマ先生が好きなんだよね?」
「って言っちゃったんですよね…」
「………………」
「あ、あの、すいません。キバ達が気づいてないとは思ってなくて…」
「それよ、それ…!」
「え…?」
「何で名前ちゃんは、…っ」
「…ああ、紅先生がアスま゛ぐぶっ」
「名前ちゃん!重要機密だって言ったじゃない…!」
ああ、じゃあつまり紅先生は何で私が、紅先生がアスマ先生のことを好きなことに気付いているのか。
それが不思議なのかな。
「あの三人には上手く誤魔化しておいたわ…ちょうど直ぐに任務だったし…。でもね、何で名前ちゃんが気づいているのかが…――」
紅先生は私の顔を見て言葉を途切れさせた。
きっと私が物凄く笑顔だからだろう。
だって、嬉しいんだ。
いくら気付いていて、それが確信めいたものであっても。
「やっぱり紅先生は、アスま゛ぐぶっ」
110428.