舞台上の観客 | ナノ
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
テマリさんが扇子を開き、カンクロウさんがチャクラ糸を現し、私を真っ直ぐに見る。
我愛羅は腕を組んだまま、そうして同じように、私を見ている。


「…名前、俺は、お前が暁に入ったわけが、昔も、そして今も、分からない」


私は、我愛羅の言葉を聞きながら、一方で考える。


「だが、お前が暁にいようとすることと同じように、俺達は、お前を暁から連れ戻したい」


体術…は、三人相手なら分が悪い。
得意なわけでも、苦手なわけでもないけれど…なにより相手は、この三人だ。


「名前、お前と私達の想い、どっちが強いかは勝負で決めようじゃないか」
「そういうことなら、手加減は出来ねえじゃん」


忍術…私の響遁が扱う術の天敵は、きっと、我愛羅。
それならやっぱり、私が使えるものは――。


「行くぞ…!」
(――時空眼!)


我愛羅が両手を前に出し、瓢箪から砂が飛び出す。

それと同時に私は、時空眼の作用を三人に――かけ、ようとした。
けれどその瞬間私のポーチから、時空眼についてが記された巻物が飛び出してくると、私を中心に螺旋を描き、それは開いた。

三人が驚きに声を上げ、目を見開く。

そして私は、巻物から発せられる光に、顔の前で腕を交差させた。












「――どういう、ことだ?」
「名前が巻物の中に、消えちまったじゃん」


――目の前で起こった出来事に、呆然とするテマリ、カンクロウ、我愛羅。

光を発すると名前を吸い込んだ巻物は、空中で再び自動的に閉じると、床に落ちる。
すると何か行動する間も無く、その落ちた巻物の近くの空間が、歪む。

三人が眉を寄せ見る中、歪んだ空間からは、時空間忍術を使ったマダラが現れた。


「お前、暁の奴かよ」
「雷影の言葉を真似するわけじゃないが、確かに、侵入者を少し許し過ぎだな」


カンクロウとテマリの言葉に、マダラは三人を見る。


「お前は、風影の我愛羅、か…それに砂の護衛役だな」


警戒など見せずに、というか余裕がもたらす平常さを雰囲気に纏ったマダラは「おい」と三人に向かって続ける。


「お前達、名前を知ってるな?…俺は名前の気配を探ってこの部屋にたどり着いたんだが…どこに行った?」


マダラの問いに、無意識に視線が、地面の巻物に落ちる。
マダラはそのことに少し眉を寄せると、自身もゆっくりと、下を見た。
そして時空眼についてが記された巻物だと分かると目を見開き、拾おうと手を伸ばす。


「――!」


するとその時、我愛羅の砂の攻撃がマダラの腕を狙い――そうして、すり抜けた。
テマリ、カンクロウ、我愛羅が目を見開く。


「惜しかったな、我愛羅」


一度我愛羅を見たマダラはそう言うと、巻物を拾い、少し眉を寄せながら見定めた。
そして「いったい…」と低い声で呟くと、巻物を自身のポーチに入れる。


「待て!名前は…!」
「安心しろ。この巻物については、お前達より俺の方が詳しい…とは言っても、今回の事態は想定外だがな」
「意味ねえじゃん!」


カンクロウのツッコミを気にせず、マダラは続けた。


「風影、それに護衛役もだ。元いた、会談場所に来い…話がある」












――閉じた瞼で感じる光が弱くなって、私は恐る恐る、なんていう風に目を開ける。


「――!?」


そして、場所が変わっていたこと――というか、いったいどこからどう行けば、こんな場所に来れるのか――何もない空間に、私は腕を下ろして困惑した。

白、黄色、桃色…確実に分けられはしないけれど、おおよそそんな色で出来ている空間は、奥がどこまであるのかまったく分からない。
同じように、高さも。


確か、テマリさんやカンクロウさん、そして我愛羅に、時空眼で作用をかけようと思ったら…巻物が、現れて…。


「いったい、これは…」
「名前のチャクラが極限まで減った時、この巻物の中に呼び寄せられる、っつうようにしたのは良いけどよ…そりゃ、娘のボロボロの姿見るっつうことだよな、ったく」
「――!」


すると後ろから、本当にいきなり、声が聞こえて。
息をのんで振り返った私は、目を見張った。


「けれどこの巻物の中に来たということは、やっぱり、時空眼を開眼したのね…名前」


そこには、私と同じ琥珀色の髪を持つ女の人と、私と同じ琥珀色の瞳を持つ男の人が、立っていた。





120517