舞台上の観客 | ナノ
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「#年下攻め」のBL小説を読む
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ペインとの戦闘後、チョウジが走っていく音を聞きながら、息をつく。
動けない状態の中、見上げた空はボヤけていた。


まあ、どうやら俺も、ここまでのようだよ、…オビト、リン。


そうして自然と、目が閉じられていった時、けれど視界に、黒地に赤雲の模様が描かれた外套のようなものがうつって、俺は少し目を見開いた。
いや、どちらかと言えば驚いたのは、暁が現れたからじゃない。

どうせ暁には、もう今から死に行く俺をわざわざ殺すなんて義理は、ないだろうから。
けれど、俺が驚いたわけは、その暁の装束を身に纏った奴の髪が、懐かしい琥珀色だったからで。


「名前、」
「カカシ、先生…」


出した自分の声が酷く掠れていて、少し喉が痛い。

そして名前が呼んだ俺の名前は、震えていた。
…名前は硬い顔のまま、地面に膝をついて、動けない状態の俺と目線を合わせる。

俺は、もうチャクラも無いから力無くだけれど、笑った。


「名前…会えて嬉しいよ」
「…、…」
「なあ、名前。この未来は、視ていたのか?」


すると名前は、ビクリと肩を揺らす。


「もし視ていたのなら、教えて、くれないかな。俺は今ここで、死ぬのか?」
「――!カ、カカシ先生は、死にませんよ」


けれど名前の声は変わらず、震えていて。

俺は少し前、角都と飛段を倒した後のことを思い出す。


「私は確かに、時空眼を持つ一族です。そして時空眼は、過去や、未来が視える」
「名前…!」
「けれど未来なんてものはまったく決まっていなくて、現在の状態から起こりうる未来は何通りもあるんです。いわば時空眼は、その何通りかを予測出来る眼といっても、おかしくはない」


「別に、今この状態からそこまでして、生にしがみつきたいわけじゃないよ。もう指先とか、感覚ないしね」


そうしてもうそろそろ、話すこと、目を開けていること、…生きていること全てが、限界だ。


「ただ、俺はね、名前…死ぬなら言っておきたいことが、あるんだよ」


声を発する力も無くなってきて、息の割合が多くなる。
それでも、笑うさ。
だって俺は、嬉しいから。


「里を抜けて、暁に、入っちゃったとしても、…俺のこと、カカシ先生、って…呼んでくれて、ありがとう」


また視界がボヤけてきて、耳に入ってくる音達も、同じく曖昧になる。
身体の機能が、動かなくなってきている。


「カカシ、…先生…!」


けれど、名前が泣いていることは分かった。
そしてやっぱり俺を、先生、って…呼んでくれたことも。










「カカシ先生、先生…私のことなんて、信じないで良いんです」


私の、この時空眼の視る未来は、不確かなものだから。


「けれど、ナルトを、…信じて下さい」


――三つ目の未来、ナルトの捕獲は出来ず、そうして、長門さんが輪廻転生を行う道。
そしてもし、三つ目ではない未来の道が、現実になったとしても、その時は…。


「大丈夫です、先生」





120202