舞台上の観客 | ナノ
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BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -
「イタチさん、私…運命なんてものは、信じません…それは私が時空眼で、いくつもの予測される未来をこの眼で視ているからで…」


眉を寄せて、目を伏せる。


「けれど、時空眼を開眼した時からずっと変わらない未来がひとつだけ、あるんです」
「変わらない、未来」
「はい…現状が変われば、予測される未来も変わります…それでも変わらない、一番多く視る、未来」


変わらず眉を寄せたままイタチさんを見上げると、イタチさんも私を真っ直ぐに見る。


「その、未来は――」


すると足音がして振り向く。

そこには人柱力を肩に担いで歩いてきている鬼鮫さんが。


「戻ったか」
「鬼鮫さん、お帰りなさ…」


すると右目が疼いて、思わず息をのんで手でおさえた。


「名前?大丈夫か」
「は、はい、すいません」


――今、鬼鮫さんの目を見た瞬間に、右目が勝手に時空眼になろうとしたような…。


「鬼鮫さん、お帰りなさい」
「ええ…殺さずに生け捕るってのが、少々めんどうでしたがねえ…名前はこれからは、どうするんです?」
「私はしばらくは単独行動で良いと言われました」


すると耳元で、ノイズ音。


「――呼び出しか」














「――大蛇丸が殺された」


――耳元で聞こえたノイズ音…呼び出しの合図によってシルエットで暁が集まる。
そうしてリーダーが言った言葉のあと、洞窟内に、鬼鮫さんの笑い声が響いた。

私は思わず身を固くする。


「しかし、あの大蛇丸を倒すとは大した手練れですねえ…誰が殺ったんです?」
「――うちはサスケだ」
「ふん、やりますねえ、さすが、イタチさんの弟だ」


――イタチさんと…サスケの戦いは、サスケが、大蛇丸を殺してからのこと…つまり、イタチさんの…イタチさんにとっての幸せな未来が、もう直ぐそこまで、迫ってきている、ということ…。


「けれど、時空眼を開眼した時からずっと変わらない未来がひとつだけ、あるんです」
「変わらない、未来」
「はい…現状が変われば、予測される未来も変わります…それでも変わらない、一番多く視る、未来」


暗闇の中に光る、紅い瞳を横目でうかがう。


「螺旋丸!!」「千鳥!!」


そうして視線を地面に戻して、唇を噛みしめ手を握りしめた。





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