舞台上の観客 | ナノ
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「暁が強い未来…暁に入っていた方がいずれ、自分の立ち位置として有利…なら、里を抜けて、暁に入るのは当たり前の…!」
「嘘だ!!」


言葉を遮ってナルトが声を上げて、私は驚いてナルトを見る。


「名前ってば結構、馬鹿なんだな」


するとナルトがにっと笑ってそう言ったから、私は思わず固まった。

ナルトの周りのみんなも、少し目を丸くしている。


「そんな嘘は、全然!まったく!通用しねえってばよ」
「う、嘘なんかじゃ、」
「いいや、嘘だってばよ…さっき、紅先生も言ってた」


「誰かのことをとても想う、あなただから…!!」


「それに昔っから、名前は自分で、言ってただろ?」


「ん〜…でもなあ…みんなが幸せなのが私の幸せだから、つまりそれって私の為になっているんだよ?」


「名前は、自分のことなんて全っ然考えないで、俺達のことばっかり気にして、考えて、行動する、馬鹿だから!」
「ナ、ナル、ト」
「だから、自分の立ち位置が有利とか、とにかくそういうのは嘘!そんなの、嘘だってバレバレだってばよ」


にっと笑っていたナルトは、少し真面目な表情になると私を見据えて


「俺には、なんで名前が暁に入っちまったのかなんてことは、分からねえ。――俺も、馬鹿だからな!」
「……」
「それに、サスケは…」


するとナルトの口から、サスケ、という言葉が出てきて、思わず肩を少し揺らした。

サクラが息をのんで、ナルトを見る。


「サスケがなんで里を出てったのかは、名前、お前が里を抜けた理由よりかは、少しは分かってる」
「ナルト…」
「けど、理由が分かってたって分かってなくたって、俺は、サスケも名前も、木の葉に連れて帰りてえ!」
「私の、ことは」


声が、震える。

ナルトは眉を寄せると、


「復讐は、終わらねえ。暗くて冷たい渦の中でずっと、もがかなきゃならねえ。――暁に居たらそれだけで、色んな奴に、狙われる」
「私、は」
「大事なやつがそんな中に居たら、引きずり出したいって、連れ帰りたいって思うことは、当たり前のことじゃねえのかよ!」


――するとその瞬間、私の足を誰かが掴んだ。


「名前、時空眼デ自分ノ時間ヲ止メロ…!」


驚いて飛び上がるような気持ちで下を向けば、足をつかんでいるのはゼツさんで。


「しまった、暁が他に…!」
「おい、待ちやがれ!この…トゲトゲアロエやろう!」
「ゲホッ、ゲホッ…!」


こんな状態だけれど、ナルトの言葉に笑いそうになった。
危うく咳をしながら、私は、少しの戸惑いとともに時空眼で言われた通りにする。


「お前、ふざけんな!名前を連れてくなってばよ!それに名前は、お前ら暁…!」
「ナルト!少し黙れ…!」
「な…なんでだってばよ、カカシ先生!」


ゼツさんの身体が地面からだんだんと出てきて、そして私の身体はだんだんと地面へ消えていく。


「名前、待って!行かないで…!」
「サクラ…」
「行って、どうするっていうのよ!――また、ひとりで泣くの…?」


その言葉に、この場所で泣いていたことを思い出す。
――私は目を伏せて、ゼツさんの胸の中に飛び込んだ。
目を閉じれば、サクラの私を呼ぶ声が遠くに聞こえた。





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