「カカシ班からお前の眼のことを聞いた時は、私は自分の記憶を疑ったよ」
「待てよ…消すと、とめる…消す、とめる…いや、」
「何か覚えが、ありますか」
「……いや、」
「けど、火影になる時の室の巻物整理の時に、見ていた記憶があったのさ」
そうして五代目は、私に向かって一つの巻物を見せた。
その巻物の題のところには時空眼、と、そう確かに記されてあって、私は目を見開く。
五代目が巻物を開いた。
「ここには、さっき言ったような、時空眼についての説明と、それから、とある呪印のようなものが記されてあってな」
「、呪印……?」
「それに手をかざし、自身のチャクラを流し込むと、時空眼を持つ者達のチャクラが現れるようになっている」
五代目は、右手の指の先に自身のチャクラを集中させると、そのまま巻物のとある部分に触れた。
巻物から、白緑色のチャクラが浮き上がって現れる。
「そしてこのチャクラは、お前のそれと同じだ」
――確かに、巻物から浮き出ているそのチャクラは、自分のと同じ、同じ性質のチャクラ。
それに、さっき五代目が言った、時空眼に関しての言葉。
「左眼は過去を視、過去に関わる時空間を操り、右眼は未来を視、未来に関する時空間を操る……そうして両の白緑が見えた時は現在の時空を支配する」
これも、確かに全て、本当のこと、だけれど――。
「時空眼に関する巻物が残っているなんて、そんなの…あり得ない…!」
――時空眼を開眼してからこの左眼が視てきたものは、みんなの過去だけじゃない。
私の、一族の……時空眼を持った人達の過去についても、同じように視てきた…。
――そしてみんな、歴史から消えてきた筈なのに……!
「やはり、お前は知っているんだな。時空眼を持った者達の、過去を。――おかしいだろう、これだけの瞳力を持つ一族を、誰も知らないなんてな」
「…それは…――望んだ末の、結果です…」
…それにしても、本当におかしいよ、この巻物。
時空眼のことが記された巻物が、残ってるなんて…。
「同じ班になった――だよ、これからよろしくね、チヨ」
…砂のチヨバア様は、時空眼の、時空眼を持つ一族に関しての記憶が確かに無かった。
「私は、綱手は自来也とお似合いだと思うけどな」
「おい、――!ふざけたことを言うな!」
…それにちゃんと、綱手様の記憶からも、一族に関することは無くなっている。
それなのに、どうしてこの巻物は…――。
「――これは、私にとっても危険な賭けだった。 実際、アスマ班のメンバーに、お前が言った通り、アスマは死んだと伝える時には、かなり迷った」
すると五代目がそう言って、私は顔を上げる。
五代目が口角を上げる。
「火影は、俺の夢だから!」
「でも、ここには賭けてみたくなる奴が居るのさ」
「分かった分かった。私も言い過ぎたよ。…何より、何人もから殺気を向けられちゃ流石の私も敵わん」
「それは、ナルトだけじゃない。――アンタを信じるこいつらの言葉に、私は賭けたのさ!」
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