舞台上の観客 | ナノ
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「#お仕置き」のBL小説を読む
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――もう大丈夫です、と。
お礼の言葉と共に角都さんに告げて、自分の足で歩き始めてから、数分のこと。
私達三人は、シカマルの術によって、捕らわれていた。


「――影真似手裏剣の術、成功」


木の上から降り立つと、私達を振り返ったシカマルが口角を上げて笑う。

私はそんなシカマルから視線を下にズラして、自分と、そして角都さんの下に広がっている影を見た。


「野郎、影からは逃げたのにどうやって…!」
「――俺が投げたそいつは、チャクラ刀だ。吸収したチャクラによって、使用者の術に基づく効果を発揮する。ようはチャクラ刀自体が、俺の影真似の術を発動中ってことだ」


右の方に目をやれば、飛段さんを捕らえている影。


「――名前、お前なら、見覚えあんだろ」


またシカマルに視線を戻すと、シカマルは私と角都さん、そして飛段さんをそれぞれ捕らえている影の先に、視線を落とす。


「そのチャクラ刀は、アンタらにやられた、アスマの形見だ!」


私は――にっこりと笑った。


「そうか、私はちゃんと、アスマ先生にとどめをさせていたんだね」


言うと、シカマルは眉をキツく寄せる。
思い出したらしい飛段さんが、笑う。

でも、と私は口を開いた。


「こんな行為は間違っているよ、今すぐこの術、解いてくれないかな、シカマル」


間違いだよ、シカマル…。
――私と角都さんが、同じ影なんてね!
ここはどう考えても、角都さんと飛段さんが一つの影に在るべきだろう…!


「…間違ってなんかねぇよ。アスマの仇は、きっちり取らせてもらうぜ…!」


すると低い声で言ったシカマルは影真似のまま飛段さんを動かすと、私達に向かって攻撃を仕掛けてきた。

チャクラ刀の効果は未だに切れることはなく、私と角都さんを影で縛ったままだ。


「――角都さん、ここは私が、時空眼で」
「いや、待て」


――時空眼の、左眼の作用。

過去の時間軸に関わる作用で影を消そうとすると、角都さんに止められた。
不思議さから眉を寄せながら角都さんを見上げると、地面から角都さんの片方の腕が飛び出してきて。


「へへっ、よぉし!」


その角都さんの腕がチャクラ刀を地面から離し取り、シカマルの術が消えた。

飛段さんの攻撃を飛んで避けた私はそうして、角都さんの隣に着地する。


「角都さん、ありがとうございました」
「名前、お前はただでさえ身体が弱い。特に時空眼を使った時の負担は、今しがたまで身をもって実感していただろう」
「…?は、はい、…?」
「そうあまり時空眼を多用するな」
「……!…はい、角都さん」


私は震える唇で、そう、やっと返した。












『――これから三尾を封印する、最優先で飛べ』


――ペインさんからそう連絡が入ったのは、飛段さんがやっとシカマルの術から解けた、直後のことだった。


「ダァ?!待て待て!さっきからずっとやられっぱなしで、イライラしてんだぜ俺ァ」
「…角都さん、は、」
「今ばかりは、飛段に賛成だな。名前、お前は封印に必要だからな、先に飛んでいろ。直ぐに行く」
「――分かり、ました」


――待ってます、なんて。
絶対に、言えなかった。


笑う飛段さんにぎこちなく笑い返して、その場から離れようと走り出す。


「待ちなさい、名前!」


すると右の方からクナイが飛んできて、足を止めて場所を見る。

そこにはいのが、言葉じゃ表せられないような、色んな感情が混ざっているような表情で、私を見ていた。


「…これから大事な用事があるから、行かせてもらうよ」
「行かせないわ!」
「…いの、私は、暁を抜けるつもりはないから」


いのが泣きそうな表情になったから、私は少し慌てた。


ご、ごめんね、いの…。
アスマ先生を殺した相手を捕らえられないとなったら、そりゃあいのにとっては、泣きたいほど悔しいよね。


――でも、
「だから、私が憎くて仇をうちたいのなら、これからも暁を追えばいい」


そうして私は、瞬身の印を結んだ。





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