「――これで二尾の封印は完了した、残りはあと四匹……解散だ」
――幻龍九封尽が終わり、地面に落ちた二尾の人柱力を眉を寄せ下げて見てから、ゆっくりと瞼を下ろす。
「ッゲホ、ゲホッ…!」
そうして時空眼を解いたと同時程に、身体を負担が襲ってきて――。
強く脈打った心臓に、思わず咳き込んだ。
「 名前、」
「ゲホッ…イ、タチさ…」
するとまた、いつもみたいにイタチさんが、外道魔像の指の上から降りてくると、私の背中を優しく撫でてくれて。
おさまってきた脈拍に、けれどまだ軽く咳をしながら、イタチさんを少し振り返る。
「す、いません…いつも」
「気にするな。それより、お前こそ無茶をし過ぎだ。幻龍九封尽を二日で終わらせるなんて……時空眼を酷使すれば、それだけお前に負担がかかるんだろう」
「あ、はは…まあ、そうなんです、けど…ゲホッ、…恐らく、三日かかってしまうと木の葉との交戦に、ズレが生じる可能性が…」
時空眼の影響で、心臓が締め付けられているみたいで、脈を打つ度、その窮屈さに息が詰まる、 苦しい。
けれど、シカマルやいの、チョウジのことを考えると、更にもっと、苦しくなる。
イタチさんを見上げて、にっこりと笑った。
「こんなの、ちっとも苦しくありません、大丈夫です」
ありがとうございます、すいません。
と眉を下げて笑えば、イタチさんは少し息をついて、私の頭に手を乗せた。
「名前ちゃんよお!」
「グエッ」
するとイタチさんを押し退けるような形で飛段さんが入ってくると、私の首に腕を回して引き寄せてきた。
「お前、ありがとなぁ、俺達の居る場所が雨だからって、二日で終わらせてくれてよぉ。おかげで今回は肩も凝らねぇし、万々歳だぜ」
「ぞ、ぞればよがっだでず」
「!?おいおいお前!声どうしたんだよ!?まさか…二日で終わらせるとか無茶したからそんなんなっちまったのかぁ!?」
「飛段、それはお前が名前の首を絞めているからだ」
喉を圧迫された状態の私の代わりに、イタチさんが代弁してくれた。
「飛段、少し強くやりすぎだ。お前と名前の体格差や、名前の体調のことをもっと考えろ」
「はいはいすいませんでした、っと。おら名前、早く帰るぞ」
「あ、イ、イタチさん!ありがとうございました!」
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