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「#幼馴染」のBL小説を読む
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でこぼこと、明らかに一度掘られたりしたと分かる、柔らかくなった土が一面に見られる、学園内のとある庭。
その前に名前が立ち、地面を見下ろしていた。

――違う場所で既に穴掘りを再開していた喜八郎は、けれど名前が場所へ向かう姿を見て、慌てて戻って来ていた。
名前の後方、学園の壁に寄りかかり気づかれないように立つ喜八郎は、鋤を持つ手に力を入れた。


いっぱい、掘った。
隙間は少しだけしかつくらないで、掘った。
でも、名前先輩が別にこの道をどうしても通らなきゃいけないことなんて、ない。
いざとなったら、天井とかでもいいわけで。
…やっぱり、落ちてくれないかな。
それに最近、上手く掘れてないし、タコちゃん、ぐちゃぐちゃだし、


――すると、ザッと土が滑る音がして、喜八郎は目を見開いた。
動けない状態の中、鋤だけが手から滑り抜けて、地面に転がり落ちる。


「――喜八郎」


どこか遠くから自分を呼ぶ声が聞こえた喜八郎は、慌てて動きだす。
そして、さっきまでは無かった、地面に空いてある穴を、覗きこんだ。


「名前、先輩」
「久しぶりだね、喜八郎。タコちゃん、柔らかくなった」
「名前、先輩」
「罠師としては咎められるのかもしれないけど、落ちる側としてはこれくらい柔らかいほうが、」
「名前先輩…!」


喜八郎は、飛び込んだ。
自らが掘り、そしてここ数日まったく罠にかかってくれなかった相手がいる穴の中に、飛び込んだ。


「喜八郎が落ちてくる仕様のは、変わっていないんだ」
「名前先輩、先輩…!」


笑いながら頭を撫でてくれる名前の首に、すがり付く。


「――名前、先輩…?」


――すると上から声がして、名前は見上げる。
そこには滝夜叉丸が居て、信じられないものを見るように、穴を見下ろしていて。


「滝夜叉丸も、久しぶりだなあ、って、待って、三人はさすがにキツいと、」


ぼろっと目に涙を浮かべた滝夜叉丸は、さきの喜八郎と同じように穴へと飛び込んだ。
――ぎゅうぎゅうと狭い中、喜八郎と滝夜叉丸は泣き、名前はそんな二人の頭を撫でながら目を細め、笑う。


「ごめんなさい、ごめんなさい…!」
「謝らないでよ滝夜叉丸、ね?ほら、仲直りしよう?私の方こそ子供で、ごめん」





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