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合同任務…今回は、とある村の乱争に参加すること。
けれどもう乱争はほとんど終わって、今は荒れ果てた村の中心から、学園へと向かって、村のはずれを歩いているところ。

不眠二日目の私は、身体を蝕む眠気とダルさに、深く短く息をつく。


さすがに二日目はキツい…。
昨日あれから保健室に行って、気まずさに耐えながらも伊作先輩に睡眠薬をもらって…それなのにまた、寝られなかった。
――何日間も短い睡眠しか取れないことには、慣れている…長期の、任務とかで。
けれどそういう時はきちんと、短いながらも深い睡眠を取っている。
だから今の、浅くて、けれど眠る時間はとれる状態が、一番キツい…。


――するとどこかから、小さく、泣き声が聞こえてきた。


「――は…?どこだ、ここ」
「おとうさん…?」
「おかあさん…!」
「なに…するんだよ!やめろ!こっち来るな…!」
「っ、いやだあああ!!」


泣き声が聞こえている方に顔を向けて目をこらせば、林の中で、ボロボロの着物を着て泣いている、小さな男の子を見つけて――いつかの自分と、姿がかぶる。
辺りを見回すと、任務が終われば後は各自学園に戻ればいい、という雰囲気で、バラバラと自由に歩いている。

私は方向転換をすると、その男の子へと向かって歩き出した。


「――どうしたの?」


――声をかけると、目を真っ赤にして涙をためながら、私を見上げる男の子。

私は膝を折って、男の子と目線を合わせる。


「両親とはぐれたんだろう」


すると答えたのは、もちろん、男の子じゃなくて…後ろから三郎がそう言ったから、私は少し目を丸くしながら振り向き見上げる。


「三郎、それに、みんなも」
「今回の、村の乱争とはいっても戦ったのは武士とかで、一般の人は避難しているから、その場所に連れていけばきっと、お父さんもお母さんも見つかるんじゃないかな」


雷蔵がにっこりと笑う。
兵助が私の隣に、同じように膝を折ると


「お前の両親は、武士やら何やらではないか?」
「ぶ、し…?」
「つまり、刀とか使ってたり、あー、父さんと母さんの仕事、じゃねえな…二人はいつも、何してるんだ?」


ハチが色々と回り道をしながら結局たどり着いた問いに、男の子はパチリと瞬きをすると


「やさい、売ってる」
「へえ、野菜屋さんか!それじゃあ少年よ、君の両親も君を探して心配しているだろうし、俺達が君をご両親のもとへと連れて行こう!――ということで、ハチ!」
「おう、任せろ!」


勘ちゃんの言葉にニッと笑ったハチは、男の子を持ち上げると肩車をした。
男の子が高い声を上げて喜び、笑う。


「けど、ハチが肩車をして…坊主、髪が痛くはないか?」
「兵助ひでえ!いくら俺の髪だって、そこまで、」
「それじゃあ私がハチの変装をして肩車しようか」
「もう三郎、それじゃあ結局同じことじゃない」
「雷蔵もひでえ」


ハチが肩車している男の子に問う兵助、三郎に笑う雷蔵、そして雷蔵の言葉にカラカラと笑いながらハチを指差す勘ちゃん。

私は思わず、吹き出した。


「名前…」
「ご、ごめん、ふふ」
「名前…!」
「うわっ、ちょっ」


すると三郎に抱きしめられて、思わず押し返す。

すると三郎は焦った顔で直ぐに離れると、


「わ、悪い、その…名前は私がおぶろうか!」


三郎の言葉に私は、目を丸くする。


「私をおぶる必要は…」
「あるよ、だって名前、任務中からふらふらしてたから…隈も出来てるし、もしかして寝れてないの?」


続く雷蔵の言葉にまた私は目を丸くして、そして三郎は何度も頷く。


「勘ちゃん」
「うん、任せて」


すると兵助に優しく腕を引っ張られて勘ちゃんの背中にあたったかと思えば、勘ちゃんに背負われて。


「か、勘ちゃん、私は別に大丈夫、」
「名前、お願い…俺に背負われててよ」


ね?と勘ちゃんが振り向いて笑う。

私は言葉を詰まらせて、そうして勘ちゃんの柔らかい髪に顔をうずめた。





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