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「とにかく、こんな夜中に何の用ですかニートさん」 「ふふ、ニートさん、ねぇ 今日は君に伝えたいことがあってきたんだ」 「………伝えたいこと?」
その男の人、もといニートさんは、よっこいせ、という言葉と共に月光の射す窓際に腰掛けた。
「うん、どうしても君に伝えたくて」 「?」
俺は全く訳がわからなかった。今日初めて会った得体の知れない人間(しかもニート)が、俺に伝えたいことなどあるのだろうか?
キョトンとした俺に、ニートさんは手招きをした。
「今は言葉の意味がわからないかもしれない、でもいつかわかる日が来るから」 「はあ」 「僕は、君を待ってるよ」
そう言いながら、ニートさんは俺を抱き締めた。いきなりの出来事に俺の脳は処理が追い付かない。
「…っ!?」 「いつまでも、ずっと、ね」
先程より力がぐっと入る。何でだかはわからないけれど、俺もニートさんの首に腕を回していた。
ふと注意を向けるとニートさんから、とくん、とくん、と生きている鼓動が伝わってくる。 どこからどうやって入ってきたかもわからないこの人のことを、正直サンタクロースか何かと同じものだと思っていた俺には、その音がひどく心地よいものに感じられた。
⇒つぎ
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