(ミツナル前提のオドナル)
「ふあ、ンッ、…ん、んう、っ!」 「…っ成歩堂さん、」
俺は、口を塞いで声を抑える成歩堂さんの腕を、無理矢理口許から剥がした。顔は上気しており、涙目の瞳が俺を見るなりぎゅっと閉じられる。 彼の赤く染まった顔は、快感だけではなく羞恥を含んでいるようだった。
「ね、声聞かせてください、ほら」 「やあっ、おどろきく、ああああっ!」
そんな表情に加虐心を煽られ、俺はそのままぐっ、と突いてやった。成歩堂さんは嬌声をあげて背中を仰け反らせる。
「もう限界なんでしょう? っ、」 「だ、だめ、うああああっ!」
ぎりぎりまで抜いてそこから一気に挿し込むと、成歩堂さんは一際高く掠れた声で先程より大きく仰け反りながら白濁を吐き出した。
本来ならば、俺は成歩堂さんと関係を持ってはならない。もちろん性別云々の話もあるのだが、成歩堂さんには俺よりももっと前に関係を持っている人がいるからだ。
それは、御剣検事である。
今でも御剣検事とは海外出張の合間に会っているらしく、成歩堂さんが朝に帰ってくる日は必ず紅い痣が残っていた。まるで私のものだと言わんばかりに、いつも見えるところ、首筋にわかりやすく。
俺はいつも、その痣を見ないようにしていた。その痣を見る度に、俺には入り込む隙間なんてないのではないかと思わされてしまうから。
「痣、」 「………っ、?」
まだ呼吸の荒い成歩堂さんの首筋にある淡い痣の跡を撫でた。
「そろそろ消えますね、」 「……そうだね」 「ちなみに、御剣検事は次はいつ帰国するんですか?」 「予定だと明日、かな」 「ふうん、」
………丁度良いのかもしれない。
俺はぐったりとする成歩堂さんの首筋に吸い付き、ぴったり御剣検事が痣をつけたところに同じように痣をつけた。
「……何してるの、オドロキくん」 「何って、わかってるくせに」
俺のつけた痣は御剣検事のそれよりももっとずっと紅く、成歩堂さんの首によく映えた。
「明日、御剣検事が帰ってくるの楽しみですね?」 「……君ってそんなに性悪だったっけ」 「はは まさか、」
嘘、本当の俺はきっとひどく性悪なのだろう。
「………程々にしておきなよ?」 「何のことですか?」 「! まったく、」
しかし、わかっていても拒まない成歩堂さんも充分性悪なのではないだろうか。 俺も、御剣検事のことも、手玉に転がして楽しんでいるのではなかろうか、と。
「おやすみなさい、」 「はい、おやすみ」
あれだけ執着している成歩堂さんを他人に汚されたと解ったとき、どのように思うだろうか。
俺は、御剣検事が成歩堂さんの首筋の痣を見たときの心情を想像して、ぞくぞくした気分で布団に潜った。
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