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「………」 「そろそろ勘弁してくれないかな、」
御剣に頬を摘まれたまま見つめ合って早30分。時間の流れとは早いもので、気がついたら30分経っていた、というような感じだった。摘まれた頬がビリビリと痛む。
「…勘弁、とは此方の台詞なのだがな」 「ごめんってば、ね?」
事の発端は、僕が今日の1ヶ月記念日だということをすっかり忘れた上に、携帯を放ったらかしにして書類と睨めっこしていたせいで御剣の連絡を全部無視していたからであった。
夕方に事務所へやってきた御剣に初めにすごい剣幕で捲し立てられたことで気がつき、僕はすぐさまちゃんと御剣に謝罪しはずなのだが(謝ればいいというわけではないけれど)、相当頭に来ているのだろうか、いきなり「君なんか、こうだ!」と頬を摘まれたまま沈黙を決め込まれてしまい、そして今に至る。
「な、痛いよ御剣」 「………」 「ああもう、どうしたらいいかな…」 「(確かに忘れていた僕も悪い。だけどここまで細かく気にする御剣もどうかと思う、なんて口が裂けても言えるわけないよなあ)」
途方に暮れて、ため息をついた時。急にそれまで摘まんでいた手がぱっと離され、御剣が立ち上がる。
「み、つるぎ?」 「…私が気にしすぎたのかもしれんな」 「!」 「貴重な時間を30分も使ってしまうだなんて、」 「じゃ、じゃあ、」
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