政宗様といっしょ | ナノ




\両手離しな馬の乗り方について/
『政宗様、政宗様。政宗様はどうやって馬を操っておられるのですか?』



遠駆けから戻ってきましたご城主と腹心の従者をお出迎えした許嫁の名前様(ご本人は力一杯否定中)

遠駆け、城下の見回り、出陣、帰陣。手綱を持たずいつも馬上で腕を組んでいるご城主の姿。
どうやって馬捌さばきをしているか不思議でなりません。


「Honeyの質問は突然だな。せめてwelcome homeぐらい言ってくれよ。」


馬から颯爽と降りた奥州筆頭様が話す南蛮語に首をひねりながら片倉様をみれば「恐らく「お戻りなさいませ。」、かと…」と助言をいただきました。


『お戻りなさいませ政宗様。で、お話を戻しますけど手綱を持ってないと速さを緩めたり向きを変えたり出来ないじゃありませんか?』

「Ha!相変わらずだなhoneyは。手綱を持たなくったって鐙で馬の腹を押さえたり腰の僅かな動きを馬が感じ取ってspeedの調整も方向のchangeも可能だ。」

『長い時間それをずっとし続けるのは大変なのではございませんか?』

「俺のwaistはそんな柔じゃねぇよ。」
なんなら試してみるかhoney?と妖しく微笑まれ南蛮語が分からない彼女にも良い意味でないのが汲み取れました。


『えーと、ご遠慮申し上げます!』

「Restraint!ほら行くぜ!」


いきなり抱き上げられてよもやこのまま寝所にでも連れられるかと身を固くしていたら、ヒョイと乗せられたのはご城主の愛馬の背中。
何が何やら分からぬうちにご城主がすかさず彼女の後ろに跨ります。


「俺の乗馬っぷり、説くと味合わせてやるぜ。」


Are you ready honey?


ニッと笑うご城主とサァーと青ざめる許嫁様。

城主のかけ声と女性と思えぬ悲鳴を残し人馬は再び城門から消えて行きました。

もちろん竜の片割れが慌てて追いかけたのは言うまでもありません。






◆◆◆◆◆◆◆




『もうやだ!もうやだ!めちゃくちゃ腰とか背中が痛い!』

「ソ、Sorry、honey.honeyが喜ぶからつい調子に乗っちまった。」

『喜んでないもん!怖いって叫んでた(つもり)だけだもん!政宗様なんて大嫌いいっ!』


床の中で拗ねて丸まる彼女にどうしていいかわからないご城主。


「名前様、今日の夕餉はこの小十郎めが作った野菜の煮物でございます。」

『…』

「召し上がって頂けませぬか?」

『食べる…。』

「…」


小十郎のフォローを素直に喜べない筆頭様。


再録2015.2.19 吾妻

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