政宗様といっしょ | ナノ
\六爪の持ち方について/
『政宗様、政宗様。お聞きしたいことがあります。』
「Ah?」
『政宗様は戦場で六本もの刀をどうやって持って戦うのですか?』
自室で政務中の城主にお茶を差し出しながら問うのは名前姫。
伊達領内の豪族の娘で花嫁修業の名目でこの城にいらっしゃる。
そんな今更な事を聞くのかと見据えるご城主に『だっておなごの私は戦場に立った事がありませんもの』と言う。
言われてしまえばその通り。ご城主は政務に使用していた筆を三本指に挟みます。
「Ah〜こうやって持ってんだよ、You see?」
『え?無理でしょう!だって刀って一本一本が重いですよね?それを三本同時?いや無理ですって!』
「No problem!俺の握力は人並み以上にあるからな。」
『人並み以上の基準から大いに逸脱してると思います。』
殿方の手にしては綺麗なこの手があんなに重々しい刀を同時に六本も持つとは…!もしかして石とか握り潰したり出来るのではなかろうか。
見慣れた手が何やら荒々しいものに見えてくる。
「名前、」
『…え?』
見つめていた手が彼女の顎を掴みクイと上げられると隻眼の麗しい顔(かんばせ)
その整った顔で見つめられると胸の鼓動は自然早くなる。
「この手に掴んでるものはrusticなもんばかりじゃないんだぜ?」
『ま、政宗様…?』
ご城主の顔が近づく。彼女の頬に彼の髪が触れて思わず身じろぐ。耳元に寄せられた唇から吐かれた息がくすぐったい。
「柔らかくて暖かい、honeyの心と身体だ。」
◇◇◇◇◇◇
『小十郎様ぁあああ!政宗様が御乱心ンンンン!』
「名前様、あなたは政宗様の許婚。仮にも夫君である政宗様が乱心などと…」
『違うもん違うもん!私は身分相応のところに嫁ぐ為、花嫁修行に来てるだけだもん!父上が行ってきなさいって言ったんだもん!』
「Ha!いい加減諦めろhoney。その行って来いはwifeになって来いって意味だ。you see?」
一目惚れして半ば強引にお城に入れたけど無理強いしない筆頭。
再録2015.2.19 吾妻
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