BASARA/現代/元就

自慢するわけではないが私の旦那様は見目が良い。しかも頭も良い。沈着冷静でいつ如何なる時でさえ物事を冷静に把握し判断して処理をする。全てにおいて計画性重視。突発的ハプニングが起ころうとそんな事は想定内とばかりに対処する。すごぶる理知的且つ優秀な人間である。

結婚に至るまでのフローチャートすら彼の策のうちらしかった。お見合いして三回会って正式にお付き合い開始。だいたい1ヶ月に2、3回のデート。ひと月後にはキスをして、半年後には彼の部屋にお泊まり。そしてそのふた月後にはプロポーズ。そうしてちょうど一年、式を挙げ婚姻届を出した。

あれよあれよと流された感は否めないけど体の相性も悪くないし、冷たい怖いとか言われる元就さんが案外優しかったり、子供っぽいとこを見つけたり悪くないなぁ、なんて思う頃には多分好きになってたと思うし、元就さんがガチガチに緊張しながら指輪を出してプロポーズの言葉をくれたのには素直に嬉しかった。ま、それすら「我の策のうちよ」とどや顔で宣った彼だが如何せん子供が「どう?僕すごいでしょ?」みたいだったのでお腹の中で笑っておいた。あはは。

さて、そんな元就さんですので結婚後の予定というか計画もばっちりな訳で。

子供はおおよそ3年後で(何故かというと二人でベタベタしたかったとかそんな可愛いことをゴニョゴニョ言ってデレを発揮してた)それまでに貯蓄をして郊外に庭付き新居を購入、子供は一男一女。当然子供には英才教育を施し、妻には専業主婦にて家を守らせたあったかい家庭を作り、自分は会社で昇進しまくり、全社員を駒にするつもりらしい。それって乗っ取りではなかろうかというツッコミは無しで。

老後は若い時から掛けまくってた保険と年金などなどで優雅に過ごし最後は孫や子供に囲まれ私よりちょっと先に死ぬ予定だそうです。(置いてかれるのが嫌だとかデレ2を発揮)

計画と言うか元就さん自己のわがままが多少投影されてるけれど基本、家族が中心なこの考えは元就さんの愛情の形なのだ。







ですが予定は所詮未定を予想しただけであり計画とはうまくいかないものである。物事には一つの事柄で10も20もの道筋に分かれてしまい当然結果も良きにしろ悪しきにしろそれぞれ違ってくる訳で。しかしそれをも想定してあるべく結論に導くのが「出来る人間」だそうな。
「こ、これはなんぞ…!」

テーブルに置いた冊子を見て一瞬目を見開き眉間に皺を寄せた元就さん。そうしてるとどこかの片倉さんみたいですが、それは言わずにおこうと思います。


『え、見て分かりませんか?いや、わかってますよね元就さん。わかってての確認ですか、そうですよね。だって3年はイチャイチャしたかったですもんね。まだ1年すら経ってないのにもうお父さんですもんね。』

「わ、我は別にイチャイチャをしたいとか言っておらん!まだまだ名前を独り占めした…はっ!?ちがっ!ええい!論点をずらすでないわ!我が言いたいのはそういう事ではない!」

『元就さんて可愛いですね。真っ赤。』

「っ!?かっ、からかうでない!」

元々色白な為、紅潮するとわかりやすい。こんな感情の高ぶりを他人に(主にお友達の眼帯コンビに)見られた日には一日中弄られること必須でしょう。
ま、それはともかく。母子手帳と書かれた冊子を凝視する彼の頭の中はめまぐるしく動いていることだろう。3年後の予定があと約8ヶ月に迫った訳だから。


『早かったから、困る?』おずおず尋ねてみれば、彼のスーパーコンピューター並みの頭がカシャカシャカシャチーン!と今後の答えとか修正案などをはじき出したのだろう。

「フン、そのような事なんの問題もないわ。」


先ずは保険の見直しぞといつもの不敵(どやぁ)な顔。ちょっぴり不安だったからほっとする。よかったよかった、これで心おきなく赤ちゃんを迎えてあげられる。

たま○クラブでも買わなきゃね、なんて言ってたら、そんなことよりと、元就さんが俯いて小声でゴニョゴニョ。


「……我の子を、そ、その、感謝する」

『……はい』



どうしようこの人かわいすぎる!

……このツンデレめぇぇぇっ!可愛いいぃぃ!

と私が胸中で悶えまくった瞬間である。



お題《確かに恋だった》様より
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私の中の元就様はツンデレデレ仕様です。
その後想定外で三つ子とか生まれて就様がおんぶとかして眼帯コンビが想定外な就様に驚けばいいとか思う。

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