Title:ずっとずっと先の小話
4th May,2020 Mon 10:38
今更、だとか、無意味だとか散々言ったけれど、学ぶ事に無意味等無い。知識を蓄えると色んな道が見えてくる、世界が広がる。私は善逸にもっともっと色付く世界を知って欲しい。そう諭され泣く泣く学生という枠に嵌められた。
20代の遅い入学に周りの視線はかなり痛々しかったが、確かに勉強は楽しかった。知らなかった事を知れる、分からない事が分かると言うのは不思議な喜びを善逸に与えてくれた。楽しい。そういうと彼女はとても満足げに「良かったね善逸」と微笑んでくれた。

その時間の中で善逸は音楽と出会った。一度聞いた曲はその楽器の鳴らし方が分かればすぐに弾く事が出来た善逸は大学生活で異国の諸々の楽器に触れる機会が増えた。そしてその中でも気に入ったのがピアノだった。バイオリンも好きだったが鳴らす際、音が近くて善逸の良すぎる耳には負荷がかかり長くは弾けなかった。好きこそ物の上手、という諺があるように善逸はピアノにのめり込み腕を上げ、阿蘭陀から来たという外国人が欧羅巴で本格的に学んではどうかという話まで持ち上がった。