( Side:Doflamingo )





最近気になる女がいる。

彼女と出会ったのは半年前、行きつけのバーでひとりで飲んでいるところを俺から声をかけた。それはほとんど常連しか来ないようなあの店にいた見慣れない彼女に興味をもったからだったが、話しをしてすぐに彼女のもつ魅力にとりつかれてしまった。



「なぁ、隣いいか?」

「…どうぞ」


静かに返事をした彼女は、その可愛らしい見た目に反して落ち着いた声をしていた。その声も、薄暗い光の中で艶めく髪も、グラスにつけた赤い唇も、すべてが俺好みだ。


「あんた、ここ来るの初めてだよな」

「ええ、久しぶりにお休みがとれたので」


でもここはちょっと敷居が高かったかな、なんて言って笑う彼女に心臓がことりと動いた。

もっと彼女が知りたい。
彼女を俺だけのものにしたい。

そんな欲望がふつふつと沸き上がり、名前を尋ねずにはいられなかった。


「なぁ、名前なんていうんだ?」

「…名前、ですか?」


そりゃあ初めて会った得体の知れない男に名前を聞かれて答える女は少ないだろう。そもそも名前なんて自分から名乗るのが礼儀だ。でもここで俺が名刺を出したところで変に気取ってるみたいだからやめておく。さすがに会社のを出すってのはなぁ…。


「別にどうしようってわけじゃねぇよ。どうせ今夜だけの付き合いだ」


そんなもの大嘘。この俺が、一夜だけの相手の名前を聞くなんてあるはずがない。今夜だけじゃ済まさねぇよ。


「そうですか…」


呟いた彼女がこちらを向く。


「わたし、ミアといいます。今夜だけなら、下の名前だけでいいですよね」


ミア…

そう心の中で呟いて、今までの人生で一番痺れた。もう何年もまともに女を意識していなかったが、今まさに忘れていたかのように心臓が脈打ち始める。これは、恋ってやつか?


「俺はドフラミンゴだ。よろしくな、ミア」


目の前で微笑んだミアを見てますます独占欲が募った。でも焦りは禁物。どうせ長い付き合いにするんだ、ゆっくり行こうじゃねぇか。じわじわ攻めるのも悪くない。

とりあえずは夜景でも見に行って、いい雰囲気にでもしようか。



結局俺のその作戦は失敗に終わるのだが、それによって思わぬ関係性を手に入れたのだから調子に乗って飲みすぎたこともあながち悪くはないだろう。俺の強引とも言えるアプローチによって見え始めた本当のミアにも虜になってるしな。無理矢理渡すプレゼントをしぶしぶ受けとる姿が可愛すぎて、毎回緩む口許を隠すのが大変だ。


さぁ、ミア。
いつまで強がっているんだ?

早く俺を見ろよ。俺だけのことを。

お前は俺のものになる運命なんだ、だったら早く俺に染まっちまえ。















自信家染色犯


それはきっと、

想像の何倍もたちが悪い



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20130401





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