ローの髪が好きだ。

深い、深い、夜の海の色。
固いのかと思って手を伸ばすと
意外に柔らかくてさらさらしている。
なかなかローは触らせてくれないから、こうやって寝ているときにこっそり触れてみる。



ローの声が好きだ。

わたしの耳に響く、かすれた優しいテノール。
何してんだよ、なんて耳元で囁くからすごくぞくぞくした。
そうやって甘く囁く声も好きだけど、実は少し怒った強引な声も好きだったり。
わたしだけの秘密だけどね。



ローの手が好きだ。

DEATHなんて物騒な文字が彫ってあるけど、わたしを撫でるときにはびっくりするぐらい慎重なの。
その大きな手は何でも掴んでしまいそうで、いつか本当に彼の求める全てを手にしてしまうのだと思う。
現にほら、わたしなんかあっという間にベッドに引きずりこまれた。



ローの目が好きだ。

濃い隈は時々心配になるけど、何度言っても十分な睡眠をとってくれないからもう諦めた。
その上にはときに鋭く、ときに甘い二つの瞳。
その藍に捕まったらもう逃げられない。
バラされるか愛されるかのどちらか。
わたしは幸運なことに後者だった。
後者の特権、今は甘いその瞳を見つめ返す。
すると彼はニヤリと笑った。


ローの唇が好きだ。

少し乾燥した薄い唇。
ニヤリと笑うときに少し寄るしわにどきどきする。
そのどきどきに気をとられていると目の前が真っ暗になって、わたしの唇が温かくなった。
どんどん熱を持って溶けだす。
噛み付くように、だけど、優しく撫でるように。


もうだめだ。


腰が砕けるってこういうこと。
ずるずるとベッドに沈み込むわたしの体にローの腕がまわる。
わずかな理性で逃げる腰は引き寄せられ、苦しさで逃げる舌は絡めとられた。

もう頭の中がローでいっぱい。
他の何もわからない。
感じない。

もういっそ、溶けて溶けて、一つになってしまえばいいのに。

ばかな考えかな。
それでもいいや。
そのばかな考えも、ローに与えられたものだから。


あぁ、何でこんなに好きなんだろう。



好き、好き、好き、

ロー、

大好き。


わたしの全てをローで埋めて。
それが叶えばあとは何もいらないから。

















それだけじゃ足りないけれど、
愛してる、よりも
こっちがいい。


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2012.2.26







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