フィオの指が好きだ。

左手の薬指には俺とペアの銀のリングが光って、その繊細な形を際立たせている。
白くて細くて、強く握れば折れてしまいそう。
そんな指で俺の髪に触れてくるから、なんだかくすぐったくて起きてしまった。


フィオの肩が好きだ。

突然の俺の目覚めに少し驚いたような反応を見せた肩。
その滑らかな肌と鎖骨の影が作る美しさを知っているのは俺だけだと思うと、この上なく気分がいい。
毎晩のようにその肩に赤い華を咲かせて、俺だけものにする。


フィオの髪が好きだ。

ベッドに引きずり込んだ瞬間にさらりと肩から滑り落ちる。
同じシャンプーを使っているはずなのに、どうしてかフィオの髪はいつも良い香りがする。
その髪をフィオの体ごと胸に抱き込んで眠るのが1番安らげるということに最近気がついた。


フィオの睫毛が好きだ。

もう慣れた行動のはずのキスに緊張してか、ふるふると震えている長い睫毛。
にこりと笑って少し細くなった瞳を囲むそれも好きだが、朝露のような涙を付けたそれも好きだ。
もっともっと、求めて壊して、愛したくなる。
今もその衝動に駆られて、睫毛と同じく震える唇に舌を差し込んだ。


フィオの腰が好きだ。

残ったわずかな理性に従ってか俺から逃げる。
でもそんな抵抗はすぐに終わることを知っている俺は、腕を伸ばして引き寄せた。
ほら、予想通り。
あっという間に俺に身を任せてきた。


フィオが好きだ。

恥じらう頬も、
にじませる涙も、
怖ず怖ずと差し出す舌も、
俺の首に回す腕も、
久しく離れた二人の唇の間から漏らす吐息も、
全部全部、好きだ。


なぁ、フィオ。

お前はどこまで俺の物になる?

この育ち過ぎた感情をどうしたらいい?


















なぁフィオ、お願いだ。

俺から離れるな。
俺から目を逸らすな。
俺を好きでいろ。

お前のいない世界では、
俺はひとつの呼吸もできない。


----------------------

2012.3.2










[*prev] [next#]
back



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -