名前の瞳はまるで夜空に輝く星のようだと、キザな言葉を言い放って彼は酷く赤面した。無理もない。今時誰だってそんなこってこてのベターな台詞言わないだろう。だけどそのひと言が言葉にならないほど嬉しかった。うぶで恥ずかしがりやの幸村があの言葉を私に伝えるのに何れだけの勇気が必要だったかも、どれ程私のことを思っているかも言われなくとも分かった。幸村はさっきよりかは赤みが和らいだ顔をやや上に向け、薄暗い夜空を見ていた。幸いにも今夜は雲ひとつなく、澄みきった夜の空が見渡せた。夜空にはまあるいお月様と、目映いばかりの星たちが暗い夜の唯一の明かりになっていた。私は夜空を見ているふりをして、すぐ傍らに座って夜空を見上げる幸村の横顔を見ていた。彼の大きくて可愛らしい瞳には、星たちが小さく反射していてミニサイズの宇宙みたいだった。私の視線に気づいて彼は少し驚いていたが、フッと柔らかく笑うと口を開いた。

「今夜は夜空が綺麗でござるな。」
「うん。すごく綺麗だね。」

私がそう言うと幸村はその目を細めてまた私に向かって微笑した。瞳の中の星たちも細くなった。

「ねえ、幸村。」
「ん??」
「さっき幸村は私の目は夜空に輝く星って言ったでしょう?」
「むっ!……うむ。」

幸村はそのことを話すとまた顔を赤くした。相当恥ずかしかったらしい。気持ちは分かるけどね。

「じゃあ、幸村の瞳は宇宙だね。」
「う、ちゅう??」
「そう。黒くて沢山キラキラしてるか
ら。宇宙みたい。」

私がそう言うと彼はまたその目を細めて笑った。瞳のキラキラがより一層輝きを増した。


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