「……此方へ来い。」

彼はそう言って私の腕をグイグイと引っ張って荒々しく歩きだした。元親達はその様子を苦笑いで見るだけで止めようとはしない。私は反抗する余裕さえもなく、吃驚している間に連れ去られた。

「ねえ、痛いよ、放してよっ。」
「…………。」

私の言葉を無視したままグイグイと引っ張って、気付けばもう十分ぐらいこうしてる。ああ足も痛くなってきた。本当に彼は一体何がしたいのだろうか。気難しいっていうか、何考えているかよく解らない。
やっとこさ足を止めたかと思えば、眉間に皺を寄せ、睨むに近い目付きで私を見てきた。その彼があまりにも怖くて私は目を反らすことも出来ずに、ただただじっと彼の目を見たまま、動けなかった。

「あ、あのー…。」
「…………。」
声をかけても彼は何にも反応せず動じない。だが確りと私の腕は掴んでいる。痛くて痛くて目を握られた腕に向けたら、腕はじんわりと紅くなっていた。

「…何故あんな奴と楽しそうに話してた。」
「えっ?……ああ、何でって言われても……。」

普通に世間話していただけなんだけどな。それが一体彼どこを刺激し、こんなにも怒らせたのだろうか。ただの束縛なんかじゃあない。なら何なんだろう。解らない、解らない。

「…我以外の男と話すな、目を合わすな、触れるな、関わるな――」
「は……?」

彼は久しぶりに視線を下に向けると、掴んでいた手を放した。そして今度はその手を腕ではなく私の手を掴み、握った。

「――……笑顔を見せるな…。」
「………元就、」


妬きもち上手


ねえ、これって所謂ヤキモチ??