研磨と嘘つきな年上幼馴染み
彼女は、よくおれに嘘をつく。
「私、本当は甘いものって苦手なんだよね」
ちゃぽん、白く甘い塊がそう言った彼女の手元のカップに落とされるのを視界に捉えながらふーんと生返事を返して自分の手元にあるアップルパイにフォークを突き立てる。甘いものが苦手だと言いながらも彼女は、甘い塊を加えるのをやめない。自身の手で角砂糖三つ分も甘くした紅茶をくるくるとスプーンを回してから一口飲んだ彼女の表情は、変わることはない。
「……それ、甘いんじゃないの?」
「飲んでみる?」
微笑んで首をかしげる彼女はとてもその紅茶に対して苦手意識を持っているようには見えない。首を振って断れば、その答えを予想していたのか気にした様子もなくまた一口カップに口をつけた。それに釣られるようにおれも自分の飲み物であるオレンジジュースのストローへと口を運ぶ。
「で、ここのアップルパイどう?」
ごくり、オレンジジュースを喉に通してからおいしいと呟けば彼女は嬉しそうに笑った。
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企画サイト様への提出用に書いてたけど没にしたもの。
本当はこういう話を書きたかったんですが、設定をぐるぐる考えすぎて何がしたくなったのかわからなくなってきた上に、着地点が見えなかったので敢えなく没。無念。いつかリベンジしたいです……。
2015/04/14
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