>> 1th text


ピピピ…


「ん?これは…」


それは一枚の"政府"からの便り。


「ま、まさかっ……!」


顔色を変えた彼ーー審神者は立ち上がる。
脇目を振らずに、今までにない程に走って居間に向かう。
その様子に歩きながら談話していた者達、仕事をしていた者達、もただ事ではないとついていく。
ばっと居間への襖をあけた審神者。

「あ、主…?」

「どうしたの!?何かっ…」

「ぼ、ぼく達、どうすれば…」

心配そうに駆け寄る刀剣男士達に、少し遠くに座っているが不安そうに審神者を見つめるお鶴。
審神者は俯かせていた顔を上げ、"政府"からの便りを皆に見せる。









「…明日、海いくぞ!!!!」
















***



「主って本当に馬鹿だよねー?」

「………解せぬ」

頭にたんこぶをつけながらパラソルの下にいる審神者。
そんな彼をみて、ため息をついた乱は肩より下まであるお鶴の髪を編み込みし、纏めていた。

「主?頭、大丈夫…?」

「心配してくれんのはお鶴だけかよ!!」

なんでだよ!!と叫ぶ審神者。
の、後ろに現れる人影。

「常日頃の行いが原因だろう…ね?」

「はっはっは。主は懲りないものだな。」

「ガハハハ!海もなかなかよいものだな!」

「あるじさまはほっといて、つるねぇもいっしょにあそびましょう!」

石切丸、三日月宗近、岩融、今剣……今はまだこの本丸にいない小狐丸を除く三条達が審神者達の目の前に現れる。
ついでにいえば、それぞれをモチーフした海パンを穿いて。
ここまでの道のりは長かった。石切丸は破廉恥だと加持祈祷をしようとして…三日月宗近は何も着ないで裸で向かおうとして…岩融は大きすぎて岩融モチーフの海パンが穿けないという事態がおこって…今剣は現代でいう"アルビノ"という容姿の為に連れ去られそうになって…それ全てを止めて的確に対処したオカ…歌仙と燭台切はまじパネェです。
審神者はその間、いつ買ったのかス●ラトゥーン水鉄砲を構えていて、身だしなみを気にする燭台切の顔面に掛ける…つまり死亡フラグであった。
その結果は今でも痛々しく残るたんこぶでお察しである。
え?深刻そうに言ったからの刑だと思ったって?あれは海老吊るしの刑に遭いました。審神者なのにね。


「えー!お鶴姉さんは僕と遊ぶの!」

「むぅ…つるねぇとあそぶってよやくしてないじゃないですか!」

「それは今剣もじゃん!」

「今剣、乱、みんなで遊ぼう?」

こてんと首をかたむけたお鶴。相変わらずの無表情だが、その表情がキラキラして見えるのは気のせいとは思わない。今剣と乱はお互いを真顔で見つめ合い(その間0.1秒)、お鶴に抱き付いた。

「うんうん!一緒に遊ぼう!」

「そうですねっ!さよたちもよんできます!」

短刀だからこその機動で短刀皆を集めてきた今剣。お鶴と遊ぶ事を誰一人として反対はしていなく、海で和気あいあいとお鶴と遊ぶ短刀達の姿がそこにはあった。
宗三左文字と一期一振という兄ズはその姿を熱心に撮ったり録画しており、ナンパしようとする男女は話しかけられなかったという話である。

「ふぁ…んじゃ、そろそろ俺もイタズラ仕掛けるか!」

「はあ…主も本当に懲りないね。……しかし、政府も何を考えているんだろうね。一般市民がいる海に行くなんて。」

「あー…いつも頑張ってるご褒美でいいんじゃね?」

「そうしとこうか。なにもなけれないいねっ…て!三日月!短刀達とお鶴が遊んでいる所に行こうとしては駄目だよ!」

「あなや」

その"なにもなければ"がフラグになるのは数時間後の話であったりする。











「わ、」

「へへ、お鶴姉ちゃんどうだ!」

「も…愛染」

「わっ!お鶴姉ちゃんも強いな!」

何があったのかって?
ふふふ…教えあげるのが世の情け!
愛染きゅんに水を掛けられて仕返しに水を掛けたんだよ!分かるかい?お互いに笑いながらだぜ?どこぞのあははうふふのバカップルの様にさ!
愛染きゅんなら本望よ!!!!

「あー!愛染ずるいです!」

「ぼ、僕もいきます!」

そこに秋田きゅんとごこちゃんがきましたよ……ほんと、なにこれ。天国?私、死んでもいいよ?ふぁ!?ニキと厚くんが肩を組ながら笑いあってるだと………大将コンビがだよ!?!?この2人のコンビは最高だと思うの、まじで……ふぁ!?ごこちゃんの後ろからこそこそっと此方をのぞく小夜ちゃん!!!!警戒しているように見えるけど、私知ってるよ!あの表情は僕なんかいてもいいのかなって不安がっている事を!
なんで知ってるかって?ふっ…愛だよ。

「みんなー、お昼だよー!」

おおお、みっちゃんママンがお呼びですねぇ!屋台で買っていいとお金渡されたぜ…たこ焼、焼きそば、お好み焼き…ああ悩む!!!おお、短刀ちゃんたちは全員何にするのか決めたらしい!早いな、おい!

「そこのおねーさん!」

私は、あー…王道のたこ焼かな。外はカリッ中はトロッのたこ焼って最高だよね。銀●こでバイト募集あったら働こうかなとかおもったくらいには好きです。兄貴に馬鹿だろって頭を叩かれたけどさ、いいと思うの。私の心友とたこ焼パーティーした時なんかたこ焼を回すの上手だって褒められたんだかんな!う、嬉しくないからなコンニャローとかほわわんと脳裏に浮かび上がったね、あの時は!

「おーい、おねーさん?」

「わ、私…?」

やべぇ…完璧にスルーしてたわ。すまん、そこの兄さん達。なんというかモブ感が半端ない兄さん達。

「そうだぜ。綺麗なおねーさんさ、今ひとりでしょ?どう、俺達と一緒にいかね?」

「私、一緒にきてるひと、いるから…」

まさか…

「そんなこと言わずにさぁ…!」

「あの岩影とかどーよ?涼しくてきもちーよ。まあ、俺達がおねーさんを気持ちよくさせてあげるから、さ?」

まさか…

「ごめんなさい、そろそろ戻ってくるので、」

ナンパかな!?!?!?
この生きてたなかで初のナンパですって!?!?
いや、今生きてるのとかツッコミはアウトね。
初めてのナンパっ……海行くときはいつも兄貴が一緒だったからね!どこにいくにも、友人といくにも兄貴がついてくるんだぜ…それも自分の友人と一緒に来るなんて偶然を装って!兄貴はいつも何をしたかったんだろ…


「っ…大人しくしていりゃ、この女!」

「無理矢理でも連れてってやる!」

「や、はなして、やめて、ある…」




「はっはっは、おなごに対してなにをしておる?」



絶対零度の声。
え、まって、くそ怖いんですけど。
私もモブ兄さん達も首をギギギと動かすとそこにいたのは、三日月様。
更に言っちゃえばこの世のものとは思えない神々しさと神秘的なオーラを撒き散らす容姿をしときながら、今にも人を殺しそうな雰囲気を全面に出している三日月様。

「ひっ…」

「夜道には気を付けた方がいいぞ。…どうなってもしらんがな!」

「なっ…」

「ごめんね。この子は私達にとって大切な"こ"だからね………手出しは許さないよ」

「ご、ごめんなさぁ〜い!!!!」

なにがあったのか。
モブ兄さん達の肩に自分の腕を回して、耳元で話す岩融と肩にポンッと手を置いて話す石切丸。
に、泣きながら謝って逃げてていくモブ兄さん達。
え、え、え…………よわっ!!!!

「お鶴大丈夫だったか!あの者達は愚かだが、違うぞ。"あるじ"とよんだあの者とは違う…」

「うん、大丈夫。」

私、いつ"あるじ"って呼んだっけ?
あれ、呼んでないよねいや、でも、三日月様が言うなら呼んだのか?…呼んだのか。まあ、いいか。

「お鶴姉さん、いた!」

「はやくたべましょう!」

「うん、ごめんね」

探しに来た乱藤四郎と今剣に連れていかれたお鶴。
そんな彼らは三条の刀達に、小さく目配せをする。
にっこりそれぞれ微笑んだ彼らは主の元へと戻ってくる。

大切な"こ"に手を出そうとした"あれ"がどうなろうが知ったことではない。




1th参加ありがとうございます!
本丸の皆で海に行く、を書いてみました。演練話はお鶴ちゃんではないですが書いたので…けれど、少しにもう1つのリクエストを交えてみました!惚れたじゃなくてナンパですけど!!!
本当はもう少し違かったんです…もっと明るい最後だったんです…な、夏だからホラーでもいいかなと…
手直し大丈夫です!
これからも宜しくお願いします!


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