>> 1th text ここは木戸川清修中学。 休日だか、サッカー部が校庭で練習している姿が見える。アフロディの指導の元、今日も練習に励んでいる彼ら。 基礎練習に一息つき少し休んでいると、貴志部にクラスメイトの男子生徒が向かってくる。それも、頬を赤くして。 「お、おい貴志部!今ちょっといいか?」 「え、うん。監督、少し抜けます!」 「ふふ、行ってらっしゃい」 監督がにこやかに送り出して、男子生徒の後を追っていく。どうしたのか、と聞くと目の前に詰め寄ってきた。 「貴志部…てめぇあんな美人どこで捕まえたんだよ!」 「えっと……ん?」 「だからよ!」 「あら、大河くんを連れてきてくれてありがとうございますねぇ!大河くん、お久し振りだわぁ」 「あ、お鶴さん!」 「やっぱ知り合いかよ!…勝ち目ねぇ!」 吠えるだけ吠えたクラスメイトは去っていく。……何だったんだろ。 お鶴さんは監督に用事があったらしい。けれど、監督には学校に来るときは僕じゃなくて貴志部に案内お願いしてねとか言われたとか。 他にも神童の様子を聞いたり、今の様子を話したりして向かっていくと監督がにっこり微笑んでこちらを見ていた。 「照兄、これでいいかしらぁ?」 「ああ、勿論さ。流石は僕の可愛いお鶴だね」 「ふふ、照兄に褒められるなんて嬉しいわぁ…!」 何時も、思うけど距離の近い兄妹だよね。これが普通の兄妹なのかな?俺、妹居ないから分からないや。うーん…なんかもやもやする。何でだろ。 首を傾げた時、キャプテンの俺がまだ戻ってきてないから総介が呼びに来た。監督と話すお鶴さんに気づいた総介ははっと鼻で嗤う。 「雷門のマネがここに何の用だよ」 「監督の忘れ物を届に来たんだって」 「ふーん…マネは気楽でいいよなァ。サッカーやったことねえんだろ」 「おい、総介な…」 「あら、出来るわよぉ」 話を聞いていたのか頬に手を添えてくすくす笑うお鶴さん。総介は不意をつかれた表情を浮かべたが、すぐにニヤリと笑う。 「へぇ…有名選手の妹だからそれなりにか?」 「まぁ…今日は体調もいいものぉ。2対2での勝負はどうかしらぁ?」 「いいと思うよ。皆勉強になると思うよ。お鶴は僕の技が使えるから…手加減して負けるなんて駄目だからね?」 そう笑う監督によって勝負するとこが決まった。…あれ、いきなりすぎない? 「という訳で、今から2対2の試合をするよ。人選は僕だけど、選ばれなかった皆もちゃんと見ること。先にゴールを決めたほうが勝ちさ。」 アフロディの言葉に大きな声で返事か返ってくる。どうしてこうなったんだろ…と遠い目になる貴志部の肩をとんとん叩いて微笑むお鶴。 「よろしくですわぁ」 「うん、よろしく」 俺とお鶴さんで組んである。相手は、総介と快彦の滝兄弟。2人のストッパーな和泉が不安そうに2人を交互で見てるんだけど。跳沢が落ち着かせているけど。和泉は見た目に反してわりとオカンタイプだもんなぁ。 「それじゃあ、スタート」 監督の合図によって試合が始まる。最初にボールを運んでいくのは総介。ぐんぐんとゴールに向かっていくが、カットする。 「お鶴さん!」 返事をしたお鶴がかるやかにボールを受け取る。馴れた様子でいて、疑っていた訳じゃないけれどサッカー出来るんだなって、思う。 ゴール近くに走って行くと、総介のカットを交わしたお鶴さんがボールを渡してくる。ボールを受け取って走ろうとした時、目の前に快彦が現れるでボールを素早く奪ってくる。 とっさに奪おうとしたが、イリュージョンボールで抜かされる。 快彦が総介にパスして総介にボールが渡る。そして、総介がお鶴さんを抜かそうとする。 「さっきと同じ手にはのんねぇぞ!」 「ふふ、ごめんなさいねぇ!プリマドンナ!」 次の瞬間、周囲が唖然とする。そして、一気に笑い声が聞こえてきた。 俺も、近くにいる快彦も堪えきれずに笑う。 何故ならあの総介が、グラウンド上で踊らされたのだから。 地面に跪いて顔を真っ赤にしているのがここからでもよく見える。 総介が立ち直れずにいて、全員が笑う中、お鶴さんが進んでいく。いつの間にかゴール手前。咄嗟に快彦がゴールの前に立つが、お鶴さんが微笑み純白の羽を広げる。 「ゴッドノウズ」 光を纏うボールはゴールに突き刺していた。 *** 「お鶴さん、凄い!」 「ふふ、快彦くんも凄かったわぁ!」 ニコニコと微笑み合うお鶴さんと快彦。いつの間にか仲良くなってた。ふと、お鶴さんが総介を見る。総介もお鶴さんを見て、お互いにやっと笑う。 「期待に答えられたかしらぁ?」 「はっ……侮って悪かったなバァカ」 遅くなってしまい大変申し訳ありません!!!本当は和泉くんや跳沢くんを出そうとしたのですが、2人の技が分からない…性格をちゃんと把握できるのがこの3人だけでした。精進します。 いつの間にか貴志部目線の話です。アフロディは確信犯です。 参加ありがとうございました! back |