>> 1th text

休日の部活がオフのとある昼下がり。美白は照兄と暮らしていたマンションにいた。

「照兄」

「ん、何かな?」

眼鏡を掛けて、髪を耳にかけ流している照美が振り向く。そこにあるのはパソコンと積み立てられた資料。微笑むその表情に疲れが混じっているのが見てとれる。美白は持っていた紅茶の片方を照美に手渡す。

「ふふ、お仕事お疲れ様。照兄はウェッジウッドよねぇ」

「ああ、ありがとう。あと少しで終わるからね」

ウィンクをする照美。それも様になる辺り流石は美形。
嬉しそうに頷いた美白は自分が好むハロッズを口にする。今日は久し振りにお互いの休日が被り、尚且つ天気が良かった為、ピクニックに行く予定だった。
だが、照美に突然仕事が舞い込んできて、朝から少し遠出する予定が昼辺りに近場へピクニックになった。
申し訳なさそうに謝る照美に、微笑んで仕方ないと言った美白。照兄と居れるだけで幸せだと心からの言葉を口にした彼女。

照美が神の本気を見せたのは当然のことだろう。




「照兄!」

キラキラと目を輝かせて照美を引っ張る美白。仕方無いなぁと言いながらも頬を緩めて付いていく照美。
仕事を昼前に終わらせた照美が、少し遠い場所にある公園に美白と向かって今ここにいるのだ。

「あ、美白」

「なあに、照兄」

「あそこにアイス売ってるから買ってくるよ。美白は…超DX苺ミルクアイス?」

「勿論!あそこで待っているわねぇ!」

嬉しそうに頷いた美白が指差したのは鳩が集まっている噴水。そこなら人も多いし大丈夫だろうと判断した照美が頷く。
美白は噴水に向かっていき、それを見ていた照美はアイスを買うために並んだ。



***



「………どうしましょう」

小さく呟いた声は目の前にいる男性達に聞こえない。噴水で鳩と戯れていた時、一匹の鳩が何かに絡まったのかもがいていた。
それに気づいた美白が邪魔にならないように端で絡まっていたものを取り、照美と待ち合わせしていた噴水に戻ろうとした時に数人の男が美白に絡んできたのだ。

「お姉さん、可愛いねぇ…」

「どう?俺たちと遊ばね?」

「いえ、ですから、兄と待ち合わせていたので大丈夫ですわぁ」

「そうと言わずにさ!」

「ほらほら、こっちにおいでよ!」

ぐっと引っ張られそうになり思わず手を振り払った。手を振り払われた男が顔をしかめて、低い声でてめぇ…と言う。ピクッと肩を揺らしたのに気付かない男は止めようとする仲間を他所に手を高く上げる。咄嗟に美白が目を閉じたが、痛みは何時までたってもこない。
恐る恐る目を開けると、高く上げた手を後ろに回している自分の兄がいた。焦ったように照美を降り離そうとする男だか、自分よりも細い身体であるはずの照美がびくともしない。

「……ねえ、僕の妹に何しようとしてるのかな?場合によってはーーーーー潰す」



その、言葉に真っ青になった男達が逃げ出したのは仕方ない。





「……って事があったのよぉ!照兄本当にかっこよかったわぁ…」

「お、おお…」

「あの人、そんなに力あるんだ…」

「流石は、…美白ちゃんのお兄さん」

うっとりと話す美白に引きつった表情を浮かべる葵と水鳥。茜は安定のいつも通りだが。
近くで聞き耳を立てていたとある男の子が二つ結びの男の子に慰められていたの誰も知らない。



遅くなってしまい大変申し訳ありません!!!書きたい事、ありすぎて大変でした……最終的には無難にナンパで行こうとなったんですが、アフロディ様様です。タイトルの意味は………まあ、はい。
参加ありがとうございました!


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