高校の入学は
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「わぁ…あの爆発くんレスキューポイント0で1位かぁ…緑の少年もヴィランポイント0で7位…なんか、面白いね」

「レスキューポイント0、ヴィランポイント0…対照的だな」

「うん。…あのね、緑の少年のあの個性何処かで見たことある気がする」

「俺は見てねぇから分からねえけど、気のせいじゃねぇのか?」

「うーん…やっぱりそうかなぁ」

今日は雄英高校の入学式。琉音は焦凍と2人で電車に乗り、雄英高校までの道のりを歩いていた。2人が見ているのは入試の演練のテストの順位。
焦凍は爆発の人、琉音は緑色の人をそれぞれ気にしていた。




そして雄英高校へとたどり着く。
雄英高校ヒーロー科。全国各地にあるヒーロー科の中で最も人気かつ最も難しいとされる最高峰のヒーロー養成校だ。
オールマイトやエンデヴァー、多くの名の知れたヒーローはここを卒業してる。私の"お父さん"もここを卒業したらしいし。

「うわぁ…広い…」

「ほら、置いてくぞ」

本当に無駄に広い。
さっさと歩いていく焦凍について行かないとすぐに迷いそう。
琉音はきょろきょろしながら歩いていく。歩くスピードを遅くして琉音に合わせる焦凍。
昇降口にたどり着くまでも時間がかかるのは流石雄英高校と言うべきか。2人が靴を履き替えている時、一人の青年が入ってくる。

「あ、緑の少年!」

「え、緑のしょ、僕?」

「そうだよ。あの試験の君が凄くヒーローみたいだったから気になっていたの」

ニッコリ微笑む琉音。女の子に慣れていなく顔を赤くした緑谷がヒーローみたいと言われ、さらに顔に集まった熱が首まで広がっていくのが感じた。

「私は響吹琉音」

「ぼ、僕は緑谷出久。よ、宜しく…!」

「うん。これから宜しくね、いずちゃん。あ、私の事名前呼びでいいよ」

「………琉音行くぞ」

「分かったー。ごめんね、先に行っている」

ホケーとしている緑谷は琉音に話しかけた焦凍が緑谷を睨んでいた事に気付かなかったのは幸せな事だろう。
緑谷がはっとした時には、彼女は既にいなくなっていた。

「何組だったんだろう…」







「しょーとー何か怒ってる?」

「…別に怒ってねぇよ」

「やっぱ怒ってるよ」

「怒ってねぇって…ほら、着いたぞ」

焦凍が指差す先には1年A組と書かれた扉。ただし、かなり大きい。
琉音はそこを気にせずにキラキラと目を輝かせて焦凍の腕をつかんで向かう。
焦凍は琉音の気を反らせた事にほっとした。

「ん…百?」

「琉音、これから宜しくお願いしますわ!」

「うん。よろしく!」

ふにゃりと嬉しそうに微笑む琉音。またもやキューンときた百。
琉音は百の後ろの席に座り、焦凍はその斜め前へと座る。
百と話しながら周りを見る琉音。自分の席の列の前から2番目にあの爆発くんがいた。腕が6本あったり、透明人間だったり、尻尾があったり、肌がピンクだったりと面白そうな個性を持つ人がいる。

「あ、いずちゃんきた。」

「いずちゃん?」

「あそこの緑色の髪の人。」

緑谷を見ながらふにゃりと笑う琉音。その表情にほんわかするが、シャーペンをボキッと折った焦凍を見た百は少々引きつった表情を浮かべる。

「そうなんですの。…先生は一体誰なんでしょうね。」

「ん…私的にはボイスヒーローのプレゼント・マイクがいいなぁ…」

「おまえらいつまで騒いでんだ」

 廊下に横たわる巨大な芋虫…いや寝袋を被った人物。彼は静かにそれを脱ぎながら相変わらずのポーカーフェイスで続ける。
 突然の寝袋人間の登場により呆気に捉われた生徒達は、琉音を含めて全員言葉を失ってしまったのは仕方ない。

「ハイ静かになるまで8秒掛かりました。時間は有限。君達は合理性に欠くね」

 淡々と続けられた言葉は先生のようだけどやる気がない。
雄英の教員はすべてプロヒーローだから、つまりこの人物もプロヒーローだよね。

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

だるそうに言う姿は先生にまったく見えない。相澤はすぐに寝袋の中に手を突っこみ、ゴソゴソと漁ってから目当てのものを引っ張り出すと、生徒全員に見えるようにそれを掲げてみせる。雄英指定の体操服だった。

「早速だが、コレ着てグラウンドに出ろ」

 生徒達は皆それぞれ不思議そうに顔を見合わせさえしたものの、とりあえず更衣室へ向かう。
男女更衣室は別な為、琉音は百と更衣室へと向かう。その途中でクラスメイトの女子とぶつかる。

「あれ、大丈夫?」

「大丈夫大丈夫。私耳郎響香。あんたは達は?」

「響吹琉音、よろしくね。」

「八百万百と申しますわ。よろしくお願いします。」

やった、百以外の新しい女子友達が出来た。
3人で着替えながら嬉しそうに琉音は笑った。
因みに、着替えていた時に高校生ばなれしたナイスバディな百と琉音に発育の暴力だと耳郎は思ったとか。



面白そうなクラスメイトでこれからが楽しみ
 


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