委員長に向いてるのは
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委員長は

朝のHRにて先生も朝の大騒動になんだかうんざりしているそうだ。
それと昨日の戦闘訓練の公表は先生らしい公表でした。

「さてHRの本題だ…急で悪いが今日は君らに…」

相澤先生が朝からこんな話をするのはまさかまたテストか…と身構える皆。
一番後ろだから見えるけど、面白い…

「学級委員長を決めてもらう」

おお、学校っぽいの来た。
なんだ、委員長決めかと思っていたら皆勢いよく手をあげ自己主張し始めた。
百も手挙げてる…あ、焦凍は手を上げてない、てか手を上げてないのは私と焦凍だけか。まあ、ヒーロー科では集団を導くっていうトップヒーローの素地を鍛えられる役だから仕方ないか。
でも、爆豪くんとかは止めた方がいいと思う、絶対に。

「静粛にしたまえ!」

手を挙げたまま飯田くんが大きな声を上げた。

多"をけん引する責任重大な仕事だぞ…!やりたい者がやれるものではないだろう!!周囲からの信頼あってこその責務…!民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら…これは投票で決めるべき議案!!!」

「「「そびえ立ってんじゃねーか!! なぜ発案した!!」」」」

なんか、皆のつっこみが聞こえてきた。
結局彼の発案によって投票で委員長を決めることになったけど、誰に投票しよう。
まさか全員自分に投票するとかないはずと思った琉音は百の名前が浮かんだので彼女の名前を書いた。
このクラスで数日過ごしてきた。百は発言力があって皆が納得できる意見を述べる事が出来るし、何より周りをよく見れる。私の事も気にかけてくれるし、うん。

投票結果は、ほとんどの人が自分に票を入れて、百といずちゃんに3票ずつ。
先生がじゃんけんしろというの持ち込んだらいずちゃんが委員長になり、それに続き副委員長に百がなることになった。

飯田くん、自分には入れなかったんだ。真面目。
投票の名前の中にふといない名前がいた。焦凍だ。
彼を見ると同じ事を思っていたのか琉音を見てきた。
そんな彼に琉音は笑った。

お昼になって今日は焦凍と2人でランチルームでご飯を食べることになった。焦凍と一緒に食堂で昼食を食べていた琉音はそういえば、と焦凍を向く。

「焦凍は投票誰に入れたの?」

「八百万に入れた。お前もだろう。」

「うん」

お互い、彼女を選んだ理由は一緒。
でも、それを語ることは…多分ない。

「あら…琉音、轟さん御一緒しても宜しいでしょうか?その、席が空いていなくて…」

「うちもいい?」

「いいよ。ね、焦凍」

「ああ。」

周りを見ると混雑いていて殆どの席が埋まっていた。4人席であるここに今まで誰も座りに来なかったのが不思議な位に。
しかし、なんで百も響香ちゃんも気まずそうにしているんだろう?
琉音が首を傾けた時、遮る様に耳朗が声を上げる。

「そういや、八百万は副委員会だったんだよね。」

「ええ…じゃんけんで負けてしまいましたわ!」

少しむすっとする百可愛い。
すると百が琉音と焦凍をみる。

「琉音と轟さんは自分に投票しなかったんですね」

「私は目立ちたくないし、中心に立ってるようなタイプじゃないから。」

「俺も」

「あら。戦闘訓練の授業ではお二人とも最前線にいましたわ。十分に目立っている気がしますし、それにこれからヒーローになるのにそれはどうなんですの?」

少しジト目で見られているが琉音と焦凍はスルー。耳朗は自分は関係ないとカツ丼を食べている。え、美味しそう。

「私は、自分がいいと思った人に投票入れたの。素質はあると思う。」

「…どちらに投票しましたの?」

目をパチクリし、彼女を見ると知りたそうに気にしてる素振りの顔がみえる。
それが可愛く見えた琉音はクスリと笑う。

「…ひみつ。」

「そんな!」

贔屓目なしに決めたんだからと内心楽しく思いながら、琉音がうどんを口にしたと同時に学校内に警報が鳴り響いた。


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