彼奴の誓いには
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「なあ琉音、このあと暇か?」

「ん?」

 HRが終わったあと、琉音の席まで来て尋ねてきた切島に、首を傾げる。
切島の後ろから顔を覗かせた瀬呂が続けて言った。

「切島と戦闘訓練の反省会しようと思って」

「反省会?」

「おう! あ、けど用事あんなら別に大丈夫だぜ!」

「うーん…やりたいけど用事があるんだよね。明日反省会について教えて貰ってもいい?」

ごめんね、と手を合わせながら伝えるとと、彼は大丈夫だぜと笑顔を見せる。

「おっけー。じゃあまた明日な!」

瀬呂も琉音に笑いかける。
その時、近くを通っていた蛙吹が来る。

「あら、私もぜひ参加していいかしら」

「もちろんいいぜ!」

 切島は快く了承し、大きく頷いた。するとそんな声を聞きつけたのか

「うちも参加していい?」

「私もいいー?」

「俺も混ぜてくれないか」

とメンバーが集まっていく。
焦凍はその間に切島らに自分も参加しないと伝えていた。

「焦凍もいいの?」

「俺は自分の個性について把握はしているからな。それと職員室に寄ってくから少し待ってろ」

「んー、昇降口の所にいるね。」

「おう」

琉音が昇降口の近くの陰で待っていた時、緑谷が急いだ様子で昇降口を出ていった。
気になった琉音はコソッと後ろから付いていく。
そこにいたのは緑谷と爆豪の2人だった。

「…なに話しているんだろ?」

みた感じ緑谷が何かを言い訳している様。
爆豪はそれに対してイライラしている。

…なんか、2人の問題だから昇降口に戻った方がいいかも。
この2人の関係って何なんだろう。
私と焦凍の関係は"あの時"から何も変わらない。失くしてしまったものを埋め合うかのように、傷の舐め合いのように過ごしてる。
ずっとこのままでいられないことも変わらなければいけないこともわかってる。だけど、もう少しだけ…

「こっからだ!俺はこっから!俺はここで1番になってやる!」

ばっと後ろを向く。
叫んだ彼は、彼の声は泣きそうで。
そして、確かな誓いで

「…爆豪勝己」



初めて呼んだ彼の名前は風に消えていく。
呼んだ彼女の表情は夕暮れの影に隠れて分からない。



彼なら、少しは分かってくれるかな。



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