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「…やだなぁ」
お父さんが亡くなって数年。
何にも縛られない様に、哀しみを打ち消す様に自由に生きてきた数年間がもう終わる。
あの人達もそれを許してくれたから私は今まで自由に旅をしてこれた。
「めんどくさい…」
けれど、お父さんが何だかんだお世話になった人の頼みだから無視は出来ない。
あの人達がそれを知ったらきっと呆れた様に笑うんだよなぁ。
……戻りたくなったかも。あの人達に会いたい。
まあ、自由でいてもいいと言われたし。
つくりたい時につくればいいという条件をくれたから。
「何やってんだ、お前は」
「小次郎さーん…日本に帰るね!」
「はぁ!?いきなりすぎだろ!!」
うわあ。面倒くさい。
よりによって何でこの場所にいる時に連絡がきたのやら…
ニューヨークシティー・マンハッタンロイヤルホテルVIP専用レセプションホールとか色々な国からの依頼は私の信頼出来る人に頼んで気分で来たのが悪かったのかな。いや、私が気分屋って知っているし仕方ない。
あー日本に行ったらあの人のチャーハン食べたい。
ま、取り合えず、ギャーギャーうっさい小次郎さんには例の通知を見せよう。
「くっ……俺の店で働かせる計画が…!」
「やだかんね」
小次郎さんしつこい。
私は自由がいいの。
自由に生きるのが大好きなの。
まあ、そんな私の性格を知ってる小次郎さんは強く物を言わないけど。
「……久しぶりに、戻るかぁ」
日本に……遠月学園に。
その前に、あの人…の料理食べに行くけど。