鉄朗と研磨に報告しないと。 面白い友達が出来たって。 谷地と別れた藍音はほんのり微笑みながら廊下を歩いていた。………まではよかった。
「………ここ、どこ?」
いつの間にか知らない場所へと来ていた。近くに見えるのは体育館。 そこに入っていくなんか少し黒い雰囲気を纏った男の人。先輩かな。 ……取り敢えず道を聞いてみよう。 そう思った藍音は体育館へと向かう。
「もう一度あそこに行く。」
さっき入っていった男の人の放った言葉。
その瞬間、バサァと飛び立つカラス。
何でか分からないけど、何かが起こる…そんな予感がした。
その時、体育館から放り出される男の子二人。体育館の中にいる男の人の一人が藍音に気づいたらしく柔らかく微笑んだ。
「もしかして…マネージャー希望かな?」
「ぬおおおおおおおおお!!!」
柔らかく微笑んだ男の人とは別で、スキンヘッドの男の人が藍音を指を指して大声を出す。……二人を追い出した男の人に頭を叩かれたが。
「怖がるじゃないか」
「すいやせん!じゃ、なくて!この子っすよ!今年の新入生で学校一の美少女じゃないかって噂されてる子!」
妙に熱弁するスキンヘッドの男の人。困った様子の藍音に気付いたのか柔らかく微笑んだ男の人が藍音を見る。
「俺は菅原孝支だべ。よろしく…えっと…」
「私は、及川藍音です。」
「うん、藍音ちゃんよろしく」
優しく笑った菅原に藍音も微笑む。スキンヘッドを怒っていた男の人も藍音の方へとくる。
「俺は澤村大地。烏野高校男子バレー部の主将だ。あれは田中龍之介。よろしくな」
「よ、よろしくお願いします!」
「…で、及川さんだっけ。男バレのマネージャーになるつもりはない?」
やっぱりバレー部だったのか。 渋い表情をしている藍音に気付いたのか澤村は困った笑顔を向ける。
「ごめんな。無理にとは言わないから」
「……1週間」
「ん?」
「1週間、仮マネージャーやります。それで、これからもやりたかったは入部して…いいですか?」
なんで自分でもああ言ったのか分からない。
バレーに関わりたくなかったはずなのに、なんで、また自分から関わろうとしたのか分からない。
けれど、
"もう一度あそこに行く。"
その言葉に心の何処かが動いたのは確か。
「分かった!1週間よろしくたのむな」
「ぬおおおおおおおおお!!!仮でも天使なマネージャーきたああああああ!!!!」
「田中…俺も藍音ちゃんが仮入部してくれて嬉しいべ。」
「っ……これから、1週間よろしくお願いします!」
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