一瞬固まった澤村だったが、嬉しそうにに笑った。隣にいた菅原が嬉しそうに藍音の頭を撫でる中、聞き耳を立てていた田中がうおおおおおお!!!と大声で喜んで縁下と成田と木下が冷たい目で田中を見つめる。 藍音が未だに菅原に撫でられ戸惑っておろおろしている時、澤村が月島に話しかけていた。
「あの…」
「ん?どうしたんだべ?藍音ちゃん」
「…あ、えっと…そろそろ頭…」
何時もは潔子と同じ様に冷静でほわほわとした笑顔を浮かべている藍音が目を反らしながら戸惑っている姿は本当に可愛らしい。
田中に冷たい視線を向けていた縁下まで、いつの間にか藍音の頭を菅原と撫でる。
「いや…あの…」
「そろそろ止めたら?」
潔子の鶴の一声で菅原と縁下は頭を撫でるのを止めた。あまり慣れないからほっとする藍音。 その時、澤村を呼び止める日向と影山。 二人は入部届けを澤村に渡す。
「清水、アレもう届いたよな?」
頷いた潔子は藍音を呼ぶ。二人で協力してダンボールを運んだ。中には黒のジャージ。[烏野高校排球部]の文字。
1年のジャージだ。
サイズは潔子が決めたらしい。 藍音が、1年の朝練に付き合ったりなどの間に潔子はこっちの準備を進めてくれていたのだ。
それぞれがジャージを着て、それを微笑ましそうに見ていた藍音。
「ほら、藍音ちゃんのもあるよ」
「えっ…私の分もあるんですか?」
藍音の言葉に菅原や澤村が目を点にして、それからぶはっと大きな声を出して笑った。
「あったり前だべ!」
「藍音もちゃんとバレー部の一員だからな!用意してるよ」
ぐちゃぐちゃーと澤村と菅原に頭を撫でられる。
「ふふ。ありがとうございます!」
本当に嬉しそうに笑った藍音はジャージを着て1年達の所に向かう。
「ふふ、じゃーん!」
「及川も入部したんだな!」
「うん。これからよろしくね。…あ、同じ部活だし名前で呼んで」
日向に笑いかけてから、影山を見渡して話す藍音。皆も名前でいいと答え、全員と名前呼びになる。
「でもヒナちゃんはヒナちゃんね」
「…雛だから」
「そう。よく分かったね、蛍くん」
いまいち藍音と月島の話している事を理解しない日向と影山は首を傾げるが、理解した山口は可笑しそうに笑う。 その光景を見ていた2年3年は微笑ましそうに微笑んでいた。 その時、
今年から勤務になった、バレー部顧問の現代文の武田一鉄先生が急いで体育館にやってきた。
「組めたっ……、組めました……!!練習試合!!」
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