越前 side


『桃先輩!お疲れ様です!』
「おーお疲れさん!今日も頑張ったな椎名ー」
『せ、先輩!髪の毛ぐしゃぐしゃになっちゃうから止めてください!』
「ははっ!悪い悪い!お前小さいからつい撫でちゃうんだよなー」
『小さいは禁句です!』


またやってるよあの二人。
いい加減誰かあの二人に何か言ってやればいいのに。
俺は面倒臭いから何もしたくないけれど。


『越前ー桃先輩が子供扱いしてくるんだよー』
「小さいのは事実じゃん」
『越前だって小さいじゃん。エージ先輩におチビって呼ばれてるし』
「椎名よりは大きいけどね」
『ぐ』
「んじゃ俺自主練して帰るから」
『あ、ドリンクはー?』
「用意しといてよ」
『オッケー』


桃先輩、そんな顔でこっち見ないでもらいますかね。
俺は別に椎名のこと何とも思ってないってこないだも説明しましたけど。
つーかそれに対しての返答が「いきなり変なこと言うなよ越前!」ってのがまたもや面倒だ。
自分の気持ちに鈍感過ぎるんだよあの人。
マネージャーは椎名以外にも二人いるけれど桃先輩があぁやっていちいち構うのは椎名だけだ。
周りはとっくに分かってんのに当の本人達だけが無自覚で余計にタチが悪い。


「おチビー」
「どうしたんスか菊丸先輩」
「凛ちゃんって桃のことどう思ってんの?」
「さぁ?俺に聞かれても」
「にゃははー!おチビに聞いてもやっぱり分かんないかぁ」
「アイツ天然ですよ」
「そうなんだよねぇ。でもさでもさ!嫌いではないよね?」
「それはそうだと思いますけど」


かと言って椎名に嫌いなヤツなんているんだろうか?
他校にはいるかもしれないけど(こないだ山吹と練習試合した時に千石さんにナンパされて困ってたし)青学には居ないと思う。


「なんかさ、見ててもどかしいんだよね最近」
「そうッスか?」
「俺達もうすぐ引退でしょ?その前になんとかしてあげたいじゃん!」


「だからおチビも協力してよ!」と俺の返事も聞かずに菊丸先輩は去っていった。
協力した所であの鈍感桃先輩と天然椎名が俺達の企みに気付けるんだろうか?
まぁ乾先輩もいるだろうし大丈夫か。


「と言うことで今日の議題は桃城と椎名についてだ」
「桃先輩は?」
「凛ちゃんと備品の買い出しに行ってもらったよん!」
「エージ先輩やるッスね」
「俺が椎名と桃に頼んだからな」
「あぁ、大石先輩の言うことなら裏無さそうッスもんね」
「俺はさっさと自主練がしたいんスけど」
「海堂、そんな冷たいこと言わないでさ。桃に彼女が出来たらアイツもきっと落ち着くから」
「ならいいッスけど」


タカさん、そんな出鱈目なフォローいれて知らないッスよ。
桃先輩に彼女出来たら絶対に海堂先輩をそれ関係でからかう未来しか想像出来ない。


「それで、エージは何か良い案あるの?」
「それが色々考えたんだけどなーんにも浮かばなかったんだよねー」
「それで俺達に相談したと言うことか」
「うんうん、困った時はみんなで助け合わないとね」
「手塚が竜崎先生と打ち合わせで居なくてちょうど良かったな」
「さすがに手塚は手を貸してくれそうに無いからね」
「では具体的にどうしていこうか」
「桃先輩が自覚しないことにはどうにもならないと思うんスけど」
「確かにそれは大事なことだね」
「あのバカが自覚出来ると思わねぇ」
「そこをどうにか自覚させないとねぇ」
「さて、何かいい案はあるかな?」
「あ、じゃあさ!手塚にも手伝って貰おうよ!」
「エージ、それ手塚に後から怒られないかい?」
「だいじょぶだいじょぶ!手塚には黙っててもいいから!」
「で、どうするんだい菊丸」
「簡単だよ!それはね━━━━」
「それ本当にやるんスかエージ先輩」
「ふふ、英二も面白いことを思い付くね」
「手塚怒らないかなぁ?」
「いいデータが取れそうだ」
「く、くれぐれも手塚には話が伝わらないようにみんな気を付けよう」
「フシュ〜」


確かにエージ先輩の言うことは手塚部長に間接的に手伝ってもらうことになりそうだ。
バレた時が少しだけ怖いけど。
ま、先輩達主導だし俺は大丈夫でしょきっと。


「んじゃおチビ宜しく頼むね!」
「は?」
「越前が一番適役だからな」
「さりげなく桃に椎名さんが手塚のことを好きって情報を流せばいいだけだからな」
「や、ちょっと俺は」
「頼んだぞ越前」
「おチビファイトだにゃ!」
「桃のためだからね」
「頼んだよ越前」
「くれぐれもさりげなく伝えることがポイントだからな」
「頑張れよ越前」


海堂先輩まで頑張れって言うんスか?
この流れは拒否権が全く無さそうだ。
つーかこないだ切原さんが似たようなこと言ってたな。
先輩達が結束すると後輩に拒否権は無いって嘆いてた気がする。
どこの学校も先輩後輩事情は一緒なのかもしれない。
渋々了承してこの日の会議は終わった。


「桃先輩」
「おーどうしたんだよ越前」


椎名と買い出しに行ったことでゴキゲンな桃先輩にこのことを伝えるのは凄い嫌なんだけど背中に先輩達の視線が突き刺さってるからさっさと伝えてしまおう。


「椎名って手塚部長が好きみたいッス」
「は?」
「そんな話を聞いたんで。桃先輩知ってたッスか?」
「や、聞いたことないけど越前それマジな話なのかよ」
「本人に聞いたわけじゃないですけど」
「椎名が手塚部長をねぇ。へぇ」
「噂ッスよ」
「おお」


コメント無しッスか桃先輩?
あ、駄目だこれ。俺の話もう聞いて無さそうだ。完全に上の空ッスね。
ちらりとエージ先輩達の方を見ると頷いてるからもう俺の仕事はこれで終わりだ。
後は桃先輩がどう気付くかッスよ。


菊丸 side


おチビは桃にちゃんと凛ちゃんが手塚のことを好きって噂を伝えれたらしい。
おかげで桃の調子はすこぶる悪くなっている。
これでちゃーんと桃が自分の気持ちに気付けたらいいよねぇ。


「桃ー最近何かあったの?」
「は?や!そんなことないッスよ!」
「でもテニスの調子悪くない?」
「たまたまッスよ!たまたま!」
「荒井に1セット取られてたじゃーん!今までそんなこと無かったでしょ?」
「それは…アイツも努力してるんスよ!」
「えぇ!何か悩んでるんじゃないの?」
「そんなことあるわけ無いッスよ!何言ってるんスかエージ先輩ー」


ありゃ?かわされちった。
これって俺じゃ駄目ってこと?
うーん、そしたらどうしようかにゃー?


「エージ、どうしたんだ?」
「桃が俺に悩み相談してくんないんだよおーいし!」
「エージに悩み相談しても解決しないからじゃないのか?」
「酷っ!俺結構頼れる先輩なのに!」
「まぁ今回のことに関してはなぁ」
「えぇ!まだ駄目なのー?」
「悩んでる自覚すら桃に無いんじゃないのか?」
「そっちかぁ。んーじゃあどうしよっか」
「俺が椎名さんと話してみるよ」
「凛ちゃんと?」
「桃が悩んでるって言ってみようかと思うんだ」
「お!おーいしそれナイスだよ!」
「椎名さんから言われたら自覚出来るかもしれないからね」
「さすが副部長だね!」


大石 side


エージに急かされたから早速椎名さんへと桃の相談をすることにした。


「椎名さんちょっといいかな?」
『大石先輩どうしました?』
「桃のことなんだけどね」
『桃先輩何かありました?』
「最近何かテニスの調子が良くないみたいでね」
『確かにいつもの元気が最近無いですね』
「エージが聞いたらしいんだけど何でもないって言われちゃったみたいなんだよ」
『エージ先輩桃先輩と仲良しなのに珍しいですね』
「だろう?だから椎名さんからも桃に聞いて貰えないかなと思ってね」
『分かりました!お任せください!』
「椎名さんも桃と仲良しだからね。頼んだよ」
『はい!頑張ります!』


桃と仲良しだよねって言葉を否定しないってのは良い兆候かもしれない。
さて後は椎名さんに頑張ってもらおうかな。


乾 side


と言うことで大石から情報を得て俺は今こっそり二人の会話を聞いている。
あくまでも盗み聞きではなく居合わせたという理由付きで。


『桃先輩!』
「お、おう。どうした?」
『最近何か変じゃ無いですか?』
「や、そんなことねーよ!」
『元気無いですよ?』
「そうかぁ?いや、んなことねーって!」
『そうなんですか?でも』
「大丈夫だって!心配させたんなら悪かったな!」
『あ!またそうやって頭ぐしゃぐしゃにするー!』


これは菊丸、作戦自体が悪かったかもしれないぞ。
作戦を修正する必要がありそうだな。


「と言うことで集まってもらったわけだ」
「昼休みくらいしか時間取れないからね」
「桃と椎名と手塚に知られないためには昼くらいしか話す時間が取れないからなー」
「おチビと海堂は良かったのー?」
「越前と海堂を呼び出すと目立つからなぁ」
「あ、そゆことね」
「と言うことで大幅に作戦の修正をする必要があるな」
「桃がここまで鈍感だったとはなぁ」
「ここまでとは想定外だったな」
「ふふ、俺達の力の見せ所だね」
「桃の気持ちは分かりきってるけど椎名さんは実際の所どうなんだい?」
「椎名は桃城程ではないだろうが俺の予測ではそこそこ高い確率で」
「え?そーなの?」
「乾がそうやって言うならそうなんだろうね」
「アイツは困ると桃城にまず声をかけるからな」
「確かに言われてみればそうかもしれないね」
「それで乾は何か良い案があるのか?」
「桃城を焚き付けて作戦が失敗に終わったのだから次は椎名だろう」
「椎名さんに?」
「凛ちゃんもかなりの天然さんだよー?大丈夫かにゃー?」
「この際荒療治といこうじゃないか」
「乾が荒療治と言うとは思わなかった」
「残った時間は少ないからな」
「じゃあ頑張らないとね」
「それで、具体的にはどうするんだい?」
「そうだな、この際椎名に自覚してもらうしかないだろう」


あの二人のことは3年マネージャー二人も心配していたからこの際手伝ってもらうことにした。「何でそんな面白いこと黙ってたかなー」と言われてしまったが協力してくれるらしい。
女子の方が上手く椎名を誘導してくれるだろうしな。
面白いって発言が少しばかり気にかかるがあの二人と不二ならば大丈夫だろう。


不二 side


「と言うことだから二人とも宜しく頼むよ」
「桃と凛ちゃんのためだからね」
「勿論頑張っちゃうよ!」
「で、どうするんだい?」
「不二達は回りくどいことしすぎなんだよ」
「こういうのは直球勝負だよ!」


そんなに回りくどいことしてたかな?
結構僕達も頑張った気がするんだけど。
まぁ二人に任せておけばいいんだろうね。
俺がこうやって考えてる間に二人は椎名を呼び出している。


『先輩達どうしたんですかー?』
「今ねー不二の恋愛相談に乗ってたんだけどねー」
「凛ちゃんの意見も聞きたくて」
『わ、私ですか?』
「うん、女の子の意見は貴重だからね」


僕の話をネタにするなら先に言っておいてくれても良かったんじゃないのかな?
別に話を合わせるだけだからいいけれど。


「それでね、凛ちゃんは最近好きな人とかいるの?」
『え?』
「あ!私も聞きたい!」
『ふ、不二先輩の話じゃ無いんですか』
「僕も椎名の話聞いてみたいかも」


あからさまに話の内容を変えてるけどこれでいいのかな?
椎名が僕達の話を疑うようなことはしないだろうけどさ。


「桃とはどうなんだい?一番仲良くしてるよね椎名は」
『桃先輩ですか!?』
「確かにー」
「不二よく見てるねぇ」
「僕だけじゃなくてみんなが椎名は桃と一番仲良しだって言ってるよ」
『え?え?え?』


僕達に言われて椎名は顔を赤くしている。
早く自覚してくれるといいんだけど。
じれったいよねほんとに。


「その反応だと桃のこと嫌いでは無さそうだね」
「凛ちゃん真っ赤になっちゃって可愛いー」
『桃先輩を嫌いな人なんて居ないですよ!』
「僕達が聞いてるのはそういう意味じゃないよ椎名」
「そうだよ凛ちゃんー」
『えぇ!?』
「じゃあこうしよう!桃に彼女が出来たとしたらどうする?」
「お、いいこと聞くね!」
『桃先輩に彼女ですか?』
「今まで居たことは無いけど桃もそれなりにモテるからね」


今まではテニスが俺の恋人!みたいな返事をして告白を断ってきたらしいけどね。
本当はそうじゃないってのを僕達はみんな知っている。
マネージャーの質問に椎名は考えこんでいるみたいだ。


『桃先輩に彼女出来たら今までみたいに仲良く出来ないですかね?』
「彼女優先だろうからねぇ」
「そうなるかもしれないねぇ」
『それはちょっと寂しいかもしれないです』
「やっぱりそうなる?」
『はい』
「じゃあそうやって桃に伝えるといいよ凛ちゃん!」
『え?』
「桃に彼女が出来るかもしれないんだって。越前が言ってたよ」
『え!そうなんですか?』
「出来るかもって話だけどね」
「まだ確定じゃ無いみたいだからさ」
『桃先輩に彼女…』


この話の流れ端から見たら絶対におかしいと思うけど天然純粋な椎名は気付かないんだよね。
どんどん話が別の方向に向かってるのにそれをすんなり受け入れる椎名はやっぱり天然だ。
可愛い後輩達には幸せになってほしいからね。
かなり強引な荒療治になりつつあるけど桃と椎名にはこれくらいしないと駄目だろうから仕方無い。
これだけ言ったら椎名から行動を起こしてくれるかな?
話を切り上げて練習を再開することにした。


大石 side


『大石先輩』
「椎名さん?どうしたんだ?顔色が悪いけど体調でも悪いのか」
『体調は悪くないです』
「じゃあどうしたんだ?」
『さっき不二先輩達が桃先輩に彼女が出来るかもって聞いて』


荒療治をするって言ってたけどそういうことか。
不二達も強引な話に持ってったなぁ。
桃に彼女が出来るとしたら椎名さん以外無いだろうけどね。
そんなこと俺が言っても解決にはならない。


「桃に確認してみたらどうかな?」
『桃先輩にですか?』
「出来るかもって話なら違うかもしれないだろ?」
『確かに』
「椎名は桃に彼女が出来るの嫌なんだね」
『えぇと、嫌とかじゃなくて寂しいなぁって』
「どうしてかな?」
『え?』
「彼女が出来て寂しいって思うのは桃だけなんじゃないかな?」
『…確かに』
「それってどういうことなんだろね」
『うーん』


とりあえず不二達の後押しをしてやることにした。
無自覚ってのも問題だよなぁ本当に。
まぁここまで言ってやれば大丈夫だろう。
うんうんと頭を悩ませながら椎名はマネージャーの仕事へと戻っていった。


河村 side


不二達が何を椎名さんに言ったのか詳しい話は知らないけれど最近桃達の様子が少し変だ。
逆効果だったんじゃないのかって思ってしまうくらい二人はギクシャクしている。
いったい何があったんだろうか?


『河村先輩』
「なんだい?」
『ロッカーの上のボール籠を取ってほしくて』
「いいよ。じゃあ取りにいこうか」
『ありがとうございます』


いつもだったら桃に頼むようなことも俺や他の部員に頼んでるしなぁ。


「桃と喧嘩でもしたのかい?」
『な、何でですか』
「最近話して無いだろう?」
『そうです、けど』
「椎名さんも桃も元気が無いからね」
『すみません』
「謝るようなことをしたのかい?」
『そうじゃないけど分かんなくて』
「分かんないって何が?」
『桃先輩に彼女が出来たら何で寂しくなるのかなって』
「うーん、難しいね」
『いきなりすみません』
「だからって桃とギクシャクする必要は無いと思うよ」
『ギクシャクしてました?』
「かなりね」
『心配させてすみません』
「桃と話してみるのが一番だよ」
『やっぱりそうですよね。一人で考えても分からないし私聞いてきます!』
「うん、それがいいよ」


ボール籠は俺が持ってけばいいしね。
これで二人が上手くいくといいけどなぁ。
思い立ったらしく椎名さんは部室を飛び出していった。
あ、でもまだ練習中だけどいいのかな?


海堂 side


『桃先輩!ちょっといいですか!』
「お、おお。どうしたんだよ」


アイツら練習中に何やってんだ?
俺には関係無いが手塚部長に怒られるぞ。


「お」
「海堂!ちょっと今は駄目だよ!」
「菊丸先輩?でも練習中ッスよ」
「せっかくいいとこなんだから駄目ー」


注意しようとしたら菊丸先輩に止められた。
いいとこって部活終わってからにすりゃいいだろうに。


『あの、彼女が出来るって本当ですか!』
「は?」


俺も菊丸先輩の口からも「は?」って言葉が出た気がする。
つーか椎名の声がでかくてコートに響き渡ってんぞ。
アイツなんて答えるんだろな。


『急にご、ごめんなさい!でも桃先輩に彼女が出来たら寂しいなぁって思って。でも何で桃先輩に彼女が出来たら寂しくなるのか分かんなくてえぇとそれでぐちゃぐちゃしてて。でも桃先輩に彼女が出来るの嫌です私!』


桃城の顔すげぇことになってんな。
周りの1年達の顔も赤くなっている。
これだけ言われたらあの鈍感馬鹿もさすがに気付くだろう。


「や、椎名?ちょっと待て」
『急にごめんなさい!それだけですので!』
「ちょっと待てって」
『えぇ!』
「俺に彼女が出来るってそんな話誰から聞いたんだよ」
『出来るかもって噂で』
「そんな予定全くねーよ」
『そうなんですか?』
「ないない。全くない」
『じゃあ寂しい思いしなくてもいいですかね?』
「と言うか何で俺に彼女が出来たらお前が寂しくなるんだよ。お前って手塚部長が好きなんだろ。おかしくね?」
『え?』
「違うのかよ」
『えぇと手塚部長のことは尊敬してますけどそれだけですよ』
「はぁ?」
『え』
「なんだよそれ。じゃあ何で俺こんなもやもやしてたんだよ」
『何でもやもやしてたんですか?』


話が佳境になってるとこ申し訳ないが俺は今すぐここから逃げ出したくなった。
二人はまだ気付いてないが俺の視界には眉間に皺を寄せる手塚部長の姿が入っている。


「菊丸先輩どーするんスか」
「んーどうしよっかにゃー?」


手塚 side


部員達の動きが止まっているのに気付いてその中心を見にきてみれば桃城と椎名は何をしているのか。
他にも周りにレギュラーが勢揃いしている。


「お前達、練習中に何をしているんだ」
「ゲ、手塚部長!?」
『あ!すすすすみません!』
「痴話喧嘩なら終わってからやれ」
「や、手塚部長そういうんじゃ!」
『そうですよ!』
「お前達のせいで部員が練習に集中出来ないらしいからな、さっさと話を終わらせろ。後、他の部員はグラウンド10周だ」
「えぇ!?手塚本気なのー?」
「俺が冗談を言ったことがあったか?」
「そりゃないよ手塚ー」
「エージ、さっさと行くよ。じゃあ手塚あの二人のことは任せたよ」
「手塚宜しく頼むよ」
「後は手塚部長次第ッス」


各々好き勝手に言ってレギュラー部員が走りに出ていった。
最近何か裏でやっているとは思っていたがこの二人に対してだったとは。


「それで」
「えっ」
『えっ』
「話を続けろ。終わり次第桃城もグラウンドを走ってこい」
「話を続けろって言われても」
『そうですよね』
「もっとシンプルに考えればいいだろう。お前達はごちゃごちゃしすぎだ」
「シンプルって言われてもどういう意味だか」
「好きか嫌いか。付き合うか付き合わないかしかないだろうな」
「『!?』」
「これだけ周りに手間をかけたのだからしっかり二人で話し合うといい」


レギュラー部員達の気持ちが分からなくもないから思わず手助けをしてしまった。
仕方無い、俺も走りに出るしかないだろう。
戻る頃には何とかなっているといいがな。


「あれー?手塚も走るのー?」
「あぁ、そうだ」
「どうなった?あの二人」
「放っておいては話が纏まりそうに無かったから付き合うか付き合わないか決めろとは伝えておいた」
「手塚がそんなことを言うとは意外だな」
「新しいデータだな」
「手塚部長もお節介なことするんスね」
「たまたまだ」
「これで上手くいくといいなぁ」
「ここまで手塚に言われたら桃だって腹くくるよきっと」


鈍感馬鹿と無自覚天然の死ぬほどじれったい恋愛劇
レイラの初恋様より
長々とだらだら書きなぐってしまった(´・ω・`)
生誕祭なのに誕生日の話じゃなくなっちゃったし(゚Д゚≡゚Д゚)
周りが頑張ったよってお話。最後には手塚も巻き込んだよ(笑)
桃ハッピーバースデー!遅れてごめんよ!
2018/07/25

鈍感馬鹿と無自覚天然の死ぬほどじれったい恋愛劇

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