雪鳴り

さくさく、さくさくと雪を踏みしめて歩く。今年は暖冬だと天気予報は言っていたのにこの雪は何なのか。まさか地元でもこんなに雪が積もってるだなんて思いもしなかった。


『さぶ』


地元には高校を卒業して6年ぶりに帰ってきた。
雪は止み空には満天の星空が煌めいている。
これ以上は進めないとタクシーから下ろされて家までの道を一人歩いていた。キャリーが雪に引っ掛かって歩きづらいことこの上ない。


「名前?」


マフラーに顔を埋めて足元を確認しながら歩いているとふいに自分の名前を呼ばれたような気がした。
立ち止まり周りを確認しても人影はない。
雪だけが静かな世界を支配している。


「名前、上だ上」


気のせいだと結論を出して歩き出そうとした瞬間だった。さっきよりも少しだけ大きな声が静けさを破って頭上から落ちてくる。
確認してみれば懐かしい顔が一軒家の二階の窓からこちらを見下ろしていた。


『じゅん、た?』
「ここオレんちなの覚えてない?」
『あぁ、そっか』


言われてみればそうだ。見慣れた道のはずなのに雪が積もってるだけで知らない道のように感じて全く気付かなかった。
記憶を辿り思い返してみれば、そこは紛れもなく純太の家だ。
モノクロになっていた思い出が艶やかに色付いていく。


「ちょっと待ってろ、直ぐに降りてくから」
『え』
「いいから待ってろよ」


記憶の中の純太よりも少し低めの声色が耳を掠めた。あれから6年経つのだから変わっていても何らおかしくはない。私だって変わったのだ、純太だって変わって当たり前だ。
久しぶりに帰ってきたその日に純太と会うなんて運が良いのか悪いのかどっちなんだろう。


「お、ちゃんと待ってたな」
『うん』
「家まで帰るんだろ?荷物持ってく」
『え、いいよ。寒いでしょ?』
「里帰りしろって親がうるさいから帰ってきたものの暇なんだ。だから気にすんなって。それに久々に会ったから話したかったし」


否定も肯定も出来ずにいると純太は私の手からキャリーを拐っていってしまう。
正直この雪の中キャリーを引いて歩くのは大変だったから助かるけど。
困ってる人がいると手を差しのべてしまうところは変わってないらしい。
背丈はあの頃とそう変わらないけど顔付きは違う。大人になっている。
当たり前のことだと言うのにその変化に何故だか泣きそうになった。
私の知らない純太が目の前にいる。
その事実に胸がぎゅっと苦しくなる。


「こっちに全然帰って来てないんだって?」
『そうだね、忙しかったから。純太は?』
「オレはなんだかんだ毎年顔出してる。まぁ就職先が近いってのもあるけど」
『そっか』


涙をぐっと堪えて気取られないようにして歩き出した純太の横に並ぶ。
聞きたいことも聞きたくないことも沢山あった。大学では自転車競技を続けたのか、今は何の仕事をしてるのか、彼女は出来たのか。
鬱々とした想いが言葉にならず深い所へととぷりと沈んでいく。


純太とは物心付いた時からの腐れ縁だった。小中高と同じ学校に通った仲だ。
小学校低学年までは一緒に遊んだし中学高校だって仲良くしていたと思う。
気付いた時には友情が愛情へと変わっていた。
この感情に気付くのが遅すぎて私は結局純太に気持ちを伝えれないまま大人になった。
好きだと伝えるには成長しすぎたのだ。幼い時に気付けていれば良かったものの私が彼への恋心を自覚したのは高校3年のことだった。


「名前は志望大学決まった?」
『うん…まだ迷ってるんだけど』
「なんだよそんな不安そうな顔してさ」


インターハイ優勝をした純太と夏休みに課題を一緒にやってる時のことだ。
純太は早々に志望を洋南大学に絞った頃だったと思う。私は未だにしっかりと志望大学を決められずにいた。
何校か候補はあったものの第一志望を決めかねていたからだ。一番行きたい大学は千葉から遠く離れた北海道にある。
妥協すれば純太と同じ静岡の大学へと行けた。けれど単なる腐れ縁と言うだけの私が純太と同じ県の大学に進学してどうなると言うのか。
あっさり彼女が出来た報告をされるくらいなら死んだ方がマシだ。
それでも、近くの大学に行きたいと言う気持ちをなかなか捨てきれずにいた。


『一番行きたいなって思った大学北海道にあるから』
「北海道かー、遠いよなぁ。ん?それって偏差値がキツいってことか?」
『ううん、それは多分大丈夫なんだけど遠いから不安で』


純太のことが好きだから悩んでるなんて今更言えない。気持ちを押し込んで別の理由を告げた。これだって嘘ではない。見知らぬ土地に一人で飛び込むのも正直怖かった。


「でも名前はその大学に一番行きたいんだよな?」
『そうだね、そこが一番だと思う』
「なら迷わずそこの大学志望しろよ」
『うん、…そうだよね』
「何かあったらオレが話くらい聞いてやるからさ。駆け付けてやるって言ってやりたいとこだけどまぁそれは正直キツい」
『何それ、そこは冗談でも駆け付けてやるって言うとこじゃないの?』
「悪い、残念ながらオレは出来ないことを出来るとは言えねーんだわ」
『ふふ、純太らしいね』
「オレは応援するからさ、チャレンジしてみろって。オレも静岡で頑張るから。まぁ北海道よりは静岡のが実家に近いけどな」
『純太はまず洋南に合格しないとだよ』
「あぁ、わかってる。だから名前に頼み込んでこうやって一緒に勉強してるんだろ」
『そうだったね』


純太に背中を押される形で私の志望校は決まった。今でもこの時の会話は忘れない。色褪せても私の中で大事な大事な思い出になっている。
そうして受験戦争を乗り越えた私達は晴れて第一志望の大学へと進学した。


北海道に行ってからは純太に連絡をしなかった。時々連絡は来たもののそれに返事をするのは怖くて出来なかった。
純太の近況を聞いて彼女が出来ただなんて知ったら遠い北海道で頑張れる気がしなかったからだ。あの夏の会話だけを支えになんとか頑張っていた。
それでも年始の挨拶や私の誕生日に純太は欠かさずメッセージを送ってきた。
私が返事をしなくともそれはずっと続いている。


「お前何かあった?」
『どうして?』
「向こう行ってオレに連絡返さなくなっただろ。電話かけても出ねーし」
『忙しかったから』
「ちゃんと元気してたのか?」


久しぶりに会ったと言うのに、連絡を一切返さなかったと言うのに、純太の態度はあの頃と少しも変わらない。
久しぶりに会ったのが嘘かのように私を責めることもなく会話が続いていく。


『うん、元気だよ』
「仕事は?やりたいことやれてんの?」
『まだまだ新米だけど何とかやれてると思う』
「そっか、ちゃんと夢叶ったなら良かった」


私の返答に純太は心底ホッとしたかのように微笑んだ。その笑顔に胸が騒がしくなる。
どうやら久しぶりに会ったと言うのに私の恋心はまだ純太のことが好きらしい。
そのせいで余計に純太のことを聞けずにいる。
知りたいのに知りたくなくて、必然的に口数は少なくなった。


「疲れてんの?」
『うーん、移動疲れかな。仕事も忙しいからそっちの疲れもあるけど』
「北海道からだもんなぁ。まぁ飛行機飛んで良かったよ」
『1日遅かったら帰って来れなかったかも』
「あぁそうそう、もう飛行機動いてないらしいぞ」
『そうなの?』
「何かそうやって夕方のニュースでやってた」


1本か2本遅い便だったら帰ってこれてなかったのか。純太と会うならそれでも良かったのかも…そんなことないか。こうやって久しぶりに純太に会えたのはやっぱり嬉しいことだ。切なくもなるけれど会えて良かったんだと思う。
相変わらず純太のことを好きなことが判明して辛いけど、会えないよりは会えた方がいい。


「外さみー」
『薄着で出てくるからだよ』
「急がないと名前が行っちまう気がしてさ、上着着るの忘れたわ」
『…風邪引いても知らないよ』


鼻を擦って純太が笑う。さらりと何気なく言った言葉だというのにその些細な言葉にときめいた。
年が明けたら私はまた北海道に戻る。純太のことが好きだって感情は持ってない方が良いのに全く捨てれそうにもない。
まるで奥深いところに刺さって抜けない棘のようだ。


「さみーけどすっげぇ星が綺麗だな」
『空気が澄んでるんだろうね』


あんぐりと口を開けたまま純太が空を見上げるから釣られて自分も顔を上げる。
空には変わらず星が煌めいている。北海道ではよく見る光景だけど千葉でこんなに沢山の星を見るのは初めてかもしれない。


「なぁ」
『何?』
「お前やっぱどっか無理してね?」
『そんなこと』
「そんなことあるって。昔みたいに笑わねーだろ」
『それは…』
「夢追っかけんのも大事だけど疲れたらさ、帰ってこいよ」
『え?』
「ま、休憩すんのも大事ってことだ。帰る場所はあんだからあまり無理すんなよ」


仕事は自分で選んだ。小さな頃からの夢で、それを追いかけてるのも純太は昔から知っている。
けれど理想と現実のギャップで少しだけ疲れていた自分もいた。だからこそ久しぶりに帰ってきたのだ。
やっぱり今日純太に会えて良かった。この言葉だけで私はまた頑張れる。


『寒かったのにごめんね』
「気にすんなって。それより連絡は返してくれよ」
『うん、なるべく返すね』
「こっちは何かあったのかって気が気じゃなかったんだぜ。正直親に借金でもして北海道に行くか悩んだこともあったんだからな」
『うそ』
「これがほんとの話なんだなぁ。それとなくうちの親が名前の親に様子を聞いてくれたからなくなったけど」
『それはごめん』
「オレもういつでも北海道行けるから連絡は返すように。じゃねーと北海道乗り込むから」
『…善処する』
「…じゃあ、またな名前」
『うん』


家の前に辿り着いて、今日初めて純太と正面から向き合う。大人になったものの眼差しは昔と少しも変わらない。
ふっと純太が表情を崩して頬笑む。純太が笑うから私も精一杯の笑顔を作って応えた。
さくさくと純太が遠ざかっていく足音だけが静かに響く。その音が聞こえなくなるまで立ち尽くしていた。
「またな」を思い出して一粒涙が溢れ落ちた。


年を越して三が日を過ぎたところで北海道へと戻った。
純太に会えたことでよりリフレッシュ出来たような気がする。
連絡の返信はポツポツしていたものの、初詣の誘いは断って戻ってきた。
私にはもうあの会話だけで充分だったから。
必要以上に純太と関わってしまったら北海道に戻ってからが辛くなる。
だからあの夜以降純太には会わなかった。


「名前、あんた今年は本当に帰ってこないの?」
『忙しくて』
「仕事ばっかりじゃないの。他に何かしてないの?良い人はいないわけ?たまにはちゃんと息抜きなさいよ」
『わかってる』
「とにかくお正月はもう仕方無いけどゴールデンウィークには帰ってきなさいよ。わかった?」
『うん』
「そうそう、あんた今家にいるの?」
『いるよ』
「1人なの?」
『家に来るような友達も恋人もいないから』
「あらそ、わかった。じゃあゴールデンウィークにね。約束よ」
『わかった』


あっという間に1年が過ぎる。純太への返信のペースが落ちつつある年末に母親から電話があった。
頻繁に実家に帰ればその分純太のことが頭から離れなくなる。仕事にもだいぶ慣れたからと理由付けて今年は帰るのを止めた。
結局こんな風に純太のことを考えてしまうのだから帰っても帰らなくても一緒だろう。
ふっと息を吐いて窓の外を眺めれば一面の雪景色だ。風鳴りがして雪が舞い踊っている。


ゴールデンウィークに帰るって約束したけどやっぱり帰れそうにもない。
この1年辛いことがあると純太との会話を思い出して乗り越えてきた。
眠れない夜は純太の「またな」を思い返して心を落ち着けた。
きっと次に純太に会ったら気持ちを抑えられないだろう。そんなことをして私と純太の関係を壊したくはなかった。


『インターホン?』


ぼうっと窓から雪を眺めていたら来客を告げる音がした。時刻は夜の21時を過ぎている。
こんな時間にうちを訪ねてくる人などいない。訝しく思いつつもモニターを確認するとそこには思いがけない人物が立っていた。


『え、純太?』


わけがわからなくて一瞬混乱した。ここは紛れもなく北海道で純太は関東にいるはずだ。目を擦り何度確認してもそこには純太が見える。
どうしたものかと悩んでいたら急かすようにもう1度インターホンが鳴った。
全身雪まみれの純太が体を震わせている。
何が何だかわからないものの応答することに決めた。


『…純太?』
「さっみーな!北海道の冬舐めてたわ。オレこのままだと凍え死ぬから早く中に入れろって名前」
『わ、わかった』


オートロックの解錠ボタンを押すとモニターから純太の姿が消える。
家のインターホンが鳴るまでその場から動けなかった。この状況まさか夢じゃないよね?


「逆に部屋ん中かなりあったけーな」


雪まみれになった上着を渡したハンガーに掛けながら純太は部屋中を見回している。
私も初めて北海道の冬を過ごした時に似たようなことを感じた。それを思い出して1人笑ってしまう。
キッチンで紅茶を入れて純太の元へと運ぶと、胡座をかいて座ってるものの未だに部屋を見回していた。


『そんなに珍しい物は置いてないよ』
「や、なんか高校の時と雰囲気違うなと思ってさ」
『シンプルにはしてるかも。その方が部屋の掃除が楽だから』
「そっか。あーあのさ、突然来て悪かったな」
『連絡もなかったから驚いたよ』
「だよなぁ。でもオレ言ったろ?連絡返さなかったら北海道乗り込むって」
『確かに言ってたけど本当に来るとは思ってなくて』


純太はこんな年の瀬にわざわざ北海道まで何しに来たんだろう?飛行機の料金だって安くはなかっただろうに。仕事のついでだろうか?だとしても一言連絡をくれたら良かったのに。
そしたら私、きっと純太に会わないように実家に帰ってた。
こうやって訪ねて来てくれたことは嬉しい。けれど手放しで喜ぶわけにはいかない。
明日からまた寂しくなるに決まってるから。


「返信のペース明らかに減ったろ、母さんに確認してもらっても彼氏が出来たとかじゃないみたいだし」
『うん、それはないよ』
「ならいいかと顔見に来てみた。オレが来る前におばさんから電話あったろ?」
『何で知って』
「あれもお願いして聞いてもらった。誰か居たらさすがに会いにいけねーしな。ま、元気そうで良かったわ」


純太の言葉の意味がわからなくて困惑した。何かのついでじゃなくて純太は私に会いに来たってこと?や、そんなはずはない。連絡を取っていたけど心配させるようなことは一切伝えていないのだから。
視線をテーブルの上に落として考えてみてもどうして純太が私に会いに来たのかわからなかった。


「名前、オレ春に転職すんだわ」
『…え?』
「去年からずっと考えてたんだけどさ、良い機会だと思って。オレお前の近くにいることにした」
『……は』


1人考え込んでいたら耳を疑う言葉が飛び込んできた。冗談かと思って顔を上げれば真剣な表情と純太と視線が重なる。その目は冗談を言ってるようには見えない。
口を開けたものの何からどう聞いていいのかわからなくて言葉が出て来なかった。
そんな私を見て純太はふっと表情を和らげる。


「まぁ、普通はそんな反応するわなぁ」
『それって、その』


小さな期待とそれを否定する感情が複雑に絡まりあって上手く言葉に出来ない。
私の反応に純太は少し困ったようだ。肘をテーブルに付いてがしがしと頭を掻いている。


「オレさ、結局ずっと名前のことが心配だったんだよ。大学入っても社会人なってもことあるごとに顔思い出して心配してた。でもそんなの言えねーだろ?連絡しても返事はこねーし名前は夢叶えるために頑張ってんだからさ」


ふっと息を吐いて頭を掻く手を止めた純太は顔を上げた。抑え付けた小さな期待が再び顔を覗かせる。それって、…それって。


「オレ名前のこと好きなんだよ。昔からずっとな。けど遠くに行くのにそんなこと言えないだろ?後から死ぬほど後悔したけど、あの頃のオレは言ってやれなかった」
『純太それ本当に?』
「ん、ほんと」


ひゅっと息を吸い込んで、そのまま時が止まった。想像もしていなかった展開に声が出ず感情が表に出てこない。


「名前、オレ春から本当にこっちだからさ。また絶対に会いに来る。だからイヤとか言うなよ」
『そんなこと言わない、よ』
「それなら良かったわ」


今私はどんな顔をしてるのだろう。まだ何1つ自分の気持ちを伝えていないのに純太は返答に満足したのか表情を崩した。


「っともうこんな時間か」
『え、…あぁそうだね』
「そろそろ帰るわオレ」
『純太死ぬ気?』
「は?」


純太の言葉で真剣味を帯びた空気が柔らかいものへと変わる。
来る時も大変だっただろうに覚えていないのだろうか。しかも今日は朝にかけて大雪の予報だ。見せた方が早いだろうとベランダのカーテンを開けて外を見せる。予測通り外から冬鳴りが聞こえてどこもかしこも一面真っ白だ。


「あーこれは死ぬ、かもな」
『朝になってからの方がいいと思う』
「マジか」
『うん』
「オレ帰る気だったんだぞ。ちゃんとホテルも取ってあったのに」
『私まだ純太と話し足りないから、…いてくれていいよ』
「はぁ、ほんとワルい。朝になるの待ってからのが良かったよな」
『大丈夫だよ』


純太があまりに情けない顔をするから笑ってしまった。おかげで少し気持ちに余裕が出来た。
窓際でがっくりと肩を落としてしゃがみこむ純太の隣へと座る。


『純太、会いに来てくれて嬉しいよ』
「そう言ってくれんのなら来て良かったわ」
『うん』


それから紅茶を入れ直して二人で雪を眺める。
床暖房に感動してる純太にまた笑ってしまった。
純太の話はどれもが楽しくて時間があっという間に過ぎていく。


「何かさ、落ち着かなかったんだよ」
『何が?』
「大学入ってずっと。名前が居なくて落ち着かなかった。やっぱずっと一緒だったろ?そういうのもあったんだろなぁ」
『…私もだよ。ずっと純太のこと想ってた』
「マジ遠回りしたわオレ」
『そんなことないよ、今ここに居てくれるから』


府と会話が止まり、部屋が静寂に包まれた。
外は相変わらず雪鳴りが続いている。
不思議に思って隣を向くとあたたかな手が頬に触れた。
手に添って視線を上げると純太は穏やかな表情をしている。視線を絡めとられて外せそうにもない。
そのまま純太の顔が近付いてくるのでゆっくり目を閉じると頬に柔らかな感触がした。


『頬?』
「いーんだって。今日はこれが正解な?」
『ふふ』
「名前が笑ってくれんならそれでいいわ」
『ありがとね純太』
「オレの方こそありがとな」


毛布にくるまって降り続く雪を二人で朝まで眺めた。
会話は少なくなったものの純太が隣にいる。それだけでなんだか穏やかな気持ちになれた。




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