三天王の会合

金田一の誕生日の次の日の昼休みにまっきーとまっつんを部室へと呼び出した。
岩ちゃんの誕生日の話をしたかったのと昨日の俺の勘が当たってるかの答え合わせをしたかったから。


「及川何だよ急にー」
「昼休みまで部室に来たくないんだけどね俺」


二人を個別LINEで部室に招集した。
ちゃんと来てくれて良かった。
岩ちゃん程じゃないけど二人もたまに俺のこと無視するからね。


「月曜の放課後ちゃんと予定空けておいてくれた?」
「なんだよ、その話かよ」
「岩泉の誕生日だろ?ちゃんと空けてあるって」


座っている俺の前に二人がどかっと座り込んで昼食を取り始める。
なんだかんだ面倒だろうとここで昼食を付き合ってくれるのは有難いことだ。


「つーかお前あれ本気でやるの?」
「うん、もう頼んであるし」
「岩泉ぶちギレるぞぜってぇ」
「一回やりたかったんだよねあれ」
「何で岩泉でやるかなぁ?」
「岩ちゃんにとっても良い経験になるよ!」
「まぁ俺達は別にいいけどさ」
「全部お前のせいにするからな」


みきもだけど何で皆俺の提案にはあんまり乗ってくれないわけ?
絶対に面白いと思うのに。


「で?これだけじゃないんだろ?」
「そうなの?」
「まっつんは相変わらず察しがいいねぇ」


岩ちゃんの誕生日の打ち合わせってのはただの名目だ。
俺が言い出す前にまっつんから聞いてくれた。
まっきーはまだピンときてないみたいだ。


「あれだろ?昨日の話だろ?」
「昨日って金田一の誕生日?何かあったか?」
「花巻って意外と鈍感だよな」
「お前が察し良すぎるだけだろ」
「当たりー昨日の話だよ」


牛乳パンを食べながらまっつんへと返事する。
牛乳パンと牛乳の組み合わせって何でこんなに美味しいかな。


「お前がその話をしてどうすんの?」
「え?」
「ちょっと!俺全然分かってないんだけど」
「そこは放っておいてやればいいんじゃないの?」
「松川!俺全然わかんねぇって」


まっつんから意外な言葉が俺に向けられた。
少し口調が強めだ。
まっつんの言うことも確かだとは思う。


「単に確認したかっただけ」
「お前ら俺の話少しは聞いてくれる?」
「花巻、及川が言いたいのは国見はみきちゃんのこと好きなんじゃないかって話」
「は?そうなのあいつ?」
「多分な」
「それを確認したかっただけだよ俺は。別に何にもしないよ」
「でもみきちゃんってずっと岩泉が好きなんだよな?」
「そう。だから俺昨日そうやって気付いた時に凄い驚いたんだよね」


まっつんは察していたからか落ち着いてた。まっきーはお弁当の玉子焼きをポロっと箸から落としてたけど。
ちゃんとお弁当箱に落下したから良かった。
食べ物は粗末にしちゃいけないからね。


「あいついつから好きなんだろな?」
「いつだろうね?みきが岩ちゃんを好きになった時みたいにもしかしたら中学の時からかもね」
「不毛な恋愛すんなあいつも」
「俺は中立だからな」
「え?まっつんどういうこと?」


中立って何が?
突然まっつんが放った言葉に疑問符しか浮かばない。
まっきーも俺と似た様に首を捻っている。


「及川は岩泉派だろ?だから俺は中立」
「え?何で!?」
「あぁそういうことな」
「岩泉だろうと国見だろうとどっちと付き合うにしろ幸せにはなれるだろ」
「みきちゃんが好きなのは岩ちゃんだし」
「まぁ今はな」
「んじゃ俺は国見派にしとくわ」
「まっきーまで!?」
「国見のが長いことみきちゃんのこと見てんだろ?あいつがまだ行動してないだけでさ」


二人とも何てことを言い出すんだろうか。
いや、俺だって別に国見ちゃんが嫌いなわけではない。
むしろみきがお世話になってるし可愛い後輩の一人だ。
でも俺の可愛いみきが好きなのは岩ちゃんなわけで。


「おい及川」
「ん?」
「面倒臭いこと考えんなよ」
「何が?」
「別に俺達は何かするってわけじゃないんだからお前もいちいち首を突っ込むなって話」
「あぁ」
「国見がもし動いても邪魔はすんなよ」
「……」
「返事は?」


まっつんが怖い。
もし国見ちゃんが動いた時俺は邪魔をしないでいられるだろうか?
まっつんみたいに中立だなんて言えなかった。
国見ちゃんは可愛い後輩だけどそれ以上にみきのことが可愛いから岩ちゃんと付き合うのがみきの幸せだとずっと思ってきたんだ。


「なぁ、俺思うんだけどさ」
「何?まっつん」
「お前って―――――――じゃねぇの?」
「松川何言ってんの?そんなわけ……及川?」
「だから納得いってねぇんだろ」



まっつんに言われた言葉が俺を揺さぶる。いや、そんなことないはずだ。


「何言ってんのさ!そんなことないよ」
「ならいいんだけど」
「及川がそれでいいならいいよ」
「よし、そろそろ教室帰るか」
「じゃあ二人とも月曜宜しくね」
「岩泉がキレたらお前の責任な」
「岩ちゃんが怒っても怖くないからね」
「慣れただけだろ」
「一日一回は怒られてるもんな」
「二人とも言い過ぎだよ!」


よし、月曜は岩ちゃんを盛大にお祝いしてあげよう!

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