ロマンス特急終着駅は君

榊先生も無茶を言うよね。
私はただ先生に個人的にピアノを習ってるだけだって言うのに。


「みょうじ、明日人手が足りないからテニス部の練習を手伝ってもらう」


昨日の夜に榊先生から電話がかかってきたと思ったら簡素にこれだけ告げて通話が切れた。
私には選択肢と言うものが無かったらしい。
その後に詳しい詳細がメールで送られてきたけれどマネージャーって沢山居なかったっけ?
と言うかマネージャーが居なくても後輩達にやらせたらいいんじゃないの?
そんな文句が飛び出そうになるのを何とか堪えて学校に向かう電車に揺られている。
下手に文句を言ってピアノの指導をしてもらえなくなるのは困るから。
と言うかわざわざ休みの日に神奈川から東京まで行くのも大変だし何で制服なんかで来ちゃったんだろ?
ジャージは一応持ってきたけど考えてみたら最初からジャージでくれば良かったよね。


対面には何やら運動部らしき生徒達が数人で座っている。
彼らも今からどこかに部活をしに行くんだろう。
あ、もじゃもじゃ頭の男の子が引率らしき人に怒られている。
先生も生徒に付き合って大変なんだなぁ。


「なぁ」
『へ?』
「その制服って氷帝だろい?」
『そうですけど』


氷帝学園の最寄りの駅で降りて改札から出た所で先程の運動部だと思われる団体さんの一人に話しかけられた。まさか同じ駅で降りるとは。
彼の持ってるバッグに何となく見覚えがある。もしかしてこの形ってジロー君が持ってるテニスバッグと似てる気がするし彼らもテニス部なのかな?


『あ、もしかして氷帝に行くんですか?』
「お、そうそう。いつもはバスなんだけど今日バスが故障してよ。電車になっちまったもんだから氷帝までの道案内してくんね?」
『私もちょうど学校に行く所なんで大丈夫ですよ』
「助かったー!ありがとな!幸村!案内役見付かったぜ!」


そうか、今日は練習試合だから人手が足りなかったのか。
あれ?でもマネージャーって三人くらい居なかったっけ?何かあったのかな?
私に話しかけてきた彼は爽やかに頬笑むと後ろの同じジャージを着た人達へと声をかけた。


「良かった、ちょっと困ってたんだよ」
「何故か地図アプリが機能しなくてな」
『あ、それ確か検索されないようにしてると思います』
「相変わらずやることがぶっ飛んでんな」
「跡部らしいのう」
「そんなことするなら迎え寄越せってんですよ!」
「切原君、そんな風に言ってはいけませんよ」
「そろそろ行かねぇと」
「では、案内を宜しく頼む」
『はい、じゃあ行きますね』


うちのテニス部も人気があるけど彼らも同じように何だかそこにいるだけできらびやかだ。
きっと学校で人気があるんだろなぁ。
私が歩き始めるとその隣に最初に話しかけてくれた赤髪の彼が並んだ。


「俺、丸井ブン太っつーの。立海3年!シクヨロ!」
『私は氷帝3年のみょうじなまえです』
「お、んじゃ同い年だしタメ口でいいからさ。仲良くしよーぜ!」
『分かった。丸井君はテニス部なの?』
「そっからかよ。氷帝もテニス部人気あるんじゃねぇの?」
『人気はあるけどテニスのルールとかあんまり知らなくて』
「跡部とかは知ってんだろ?」
『跡部君は目立つからねー。でも話したことは無いかも。ジロー君は同じクラスだけど』
「は?お前ジロ君と同じクラスなのかよ」
『うん、そうだよ』
「マジか。俺さ、氷帝だとジロ君と一番仲良いんだよ!」
『そうなんだ!私もテニス部だとジロー君と一番仲良いかも』
「なーんだ、奇遇だよなー」
『そうだねぇ』


確かに前にジロー君が丸井君のことを話していた気がする。
テニスに興味無かったし丸井君のことを知らなかったからちゃんと真剣に聞いてなかったけど彼がその丸井君なのか。
ジロー君丸井君の話をしてる時キラキラしてたなぁ。


「急に黙ってどうしたんだよ」
『ちょっと思い出しちゃって』
「何を?」
『ジロー君から丸井君のこと聞いてたから』
「あージロ君俺のこと大好きだからなぁ」
『うんうん、まさにそんな感じ!』


やっぱりちゃんと丸井君もジロー君のこと分かってるんだなぁ。
学校が違っても仲良しとか羨ましいよね。
私にはそんな風な友達居ないから。
中学の時の友達ともすっかり疎遠になっちゃったしなぁ。


『いいなぁ』
「は?」


思ったことが口に出ていたらしい。
いきなり何言ってんだみたいな顔を隣で丸井君がしている。
初対面なのに恥ずかしい所を見せてしまった!


『えぇと、学校が違っても仲良い友達とかいいなぁと思って』
「そんなことかよ。俺とみょうじももう友達みたいなもんだろい?ジロ君って言う共通の友達いるんだからさ」
『え』
「なんだよ。俺じゃ不満なのかよ」
『そんなことない!丸井君と友達になれて嬉しいよ!』
「だろい?ジロ君に話しとくから連絡先聞いておけよ」
『分かった』


わ、羨ましいと思ってたらさくさくと話が進んじゃった。
これはジロー君に感謝しなくちゃなぁ。


『氷帝到着です』
「意外と駅から距離あるんだなー」
「助かったよ。みょうじさんありがとう」
『いえ、私もちょうどテニス部に用事があったので』
「は?みょうじってマネージャーでもやってんのか?」
『マネージャーはしてないんだけど榊先生が私のピアノの先生で。人手が足りないからって今日借り出されたの』
「珍しいこともあるものだな」
「ふむ、氷帝はマネージャーの数揃っていると思っていたのだがな」
『そうなんだよねー。私もそれは不思議』


学校に着く頃には丸井君を通して他のみんなともはなせるようになっていた。
真田君が顧問の先生じゃないことに私は内心かなり驚いた。
何とかそれを態度に出すのは堪えたけどどこからどう見ても顧問の先生にしか見えない。


「あー!丸井君となまえちゃん何で一緒にいるのー?珍しCー!」
「駅で一緒になって案内してもらったんだよ」
『ジロー君今日は元気だね』
「丸井君に会えるからねー!眠気なんて冷めちゃったよ!」
「あ、ジロ君みょうじに俺の連絡先教えといてよ」
「なまえちゃんも丸井君と仲良くなったの?俺超嬉Cんだけど!じゃあ後から丸井君の連絡先送っとくからねー」
『うん、ありがとう』


そこで彼らと分かれて榊先生の元へと向かう。
話を聞く所によるとどうやらマネージャー同士でいざこざがあってその結果全員をクビにしたらしい。
先生、それ今日が終わってからで良かったと思う。どうして練習試合の前日にそんなことをするのか。
テニス部の練習試合が終わった後に少しレッスンをしてくれるらしいから余計なことはもう言わないでおいた。


『つ、疲れた』
「体力ねぇなあ」
『宍戸君!?私は文化部なんだよ!体力あんまり無いんだよ!』
「なまえちゃんお疲れ様ー!」
『テニス部って化け物の集りなの?もうヘトヘトなんだけど』
「大袈裟やなぁ」
「意外と真面目に働いてたのは偉いんじゃね?」
『や、そこは普通に働くでしょ。向日君は何を言ってるの?』
「なまえちゃんは真面目だもんねー」
『真面目じゃなくて普通ね!普通!』
「もっとミーハーなヤツが来るかと思ってたんだよ俺達は」
『は?』
「せやのう。昨日あない感じでマネージャー達が揉めてクビになっから余計にな」
『みんなも色々大変なんだねぇ』


練習が終わった頃には私のライフポイントはゼロに近かったと思う。
後輩の子達が手伝ってくれたけどそれでも大変だったのだ。


「みょうじ、今日はここまででいい」
『あ、はい』
「先に行ってなさい」
『分かりました』
「なまえちゃんまたねー」
「みょうじならいつでも部活手伝いにきていいからな!」
「また人足らん時は頼むで」
『鬼がいるー』


ジロー君以外のテニス部の方達とは今まで話したことが無かったけど意外とみんな普通の男の子だった。
跡部君はやっぱり別格だったけど。
さて、体力が削られているけど今からはピアノの時間だ!張り切らなくちゃ!


「あれ?みょうじは帰らねぇの?」
『あ、丸井君』
「神奈川ならば俺達と一緒に帰るのが得策だろう」
「その方がブンちゃんも喜ぶぜよ」
「は?何言ってんだよ仁王」
『今から榊先生のピアノレッスン受けるから無理かなぁ』
「は?今からそんなことやるんスか?」
『うん、だからまたね!』
「みょうじ!」
『ん?』
「ジロ君から連絡先いってると思うから連絡しろよ!」
『分かった!』


帰り際の立海の面々とちょうど出会してそれぞれが挨拶してくれた。
氷帝に負け時劣らず立海のみんなも個性的でキラキラしてたけど話してみたらジロー君達と似たようなものだった。
アイドルなわけじゃないもんね。
外から見るのと実際に彼らと話すのとでは印象が全然違う。
丸井君に連絡することを約束して彼らとは別れた。
よし、今からはピアノの時間だ!
全部先生の良いとこ吸収して帰らなくちゃ!


その日は榊先生にみっちりとピアノレッスンをしてもらったおかげで帰る頃にはそれこそ死にそうだった。
先生がわざわざうちまで送ってくれたからいいんだけどね。
その代わり「また練習試合の時は宜しく頼む」と言われてしまった。
先生、私一応先生の秘蔵っ子だよね?
この人使いの荒さは何なの!
あぁ、逆か。秘蔵っ子だからこそ人使い荒くてもいいとか思ってる気がする。


「みょうじ?」
『丸井君!?』
「おーやっぱ東京まで通うのは朝早いんだなー」
『まさか昨日の今日で会うとは』
「だよな。俺も一瞬見間違えたかと思ったぜ」
『同じ電車なんて知らなかったー!丸井君は朝練?』
「そそ、まだかなりねみぃ」


翌日、何時もの時間の電車に揺られながら楽譜とにらめっこしてたら頭上から声が落ちてきた。
私に声をかけてから丸井君が隣へと座る。
まさか毎日同じ電車に乗ってるなんて全然知らなかった。
あぁでもいつも駅に着くまで楽譜見てるから気付かなかったのかもしれない。
丸井君は眠そうに欠伸を噛み殺している。


『じゃあちょっと寝る?駅に着いたら起こすし』
「んー」
『私は寝ないから安心して寝ても大丈夫だよ』
「んじゃそうするー。肩借りるなみょうじ」
『え』


今にも寝そうな丸井君に起こそうかと提案してみたら素直に寝ることに決めたらしい。
私の肩にこつんと頭が乗った。
えぇと、そこまでは提案していない。
視界の直ぐ側に丸井君の頭があってなんだかドキドキする。
それから立海の最寄り駅に着くまでは楽譜が全く頭に入ってこなかった。
シャンプーの香りなのかな?良い匂いしたし。


『丸井君、次着くよ』
「んー、あーもう着いちゃったのかよ」
『朝練頑張ってね』
「おお、ジロ君に宜しくな!後、連絡ちゃんと返せよ」
『分かってる!』


私ってそんな連絡返さないような人間に見えるのかな?
昨日だってちゃんと直ぐに連絡したのに。
せっかく出来た他校の友達だもんちゃんと大事にするよ?そんな薄情な人間じゃないよ?


「なまえちゃんおはよー」
『ジロー君おはよう。今日は眠そうだねぇ』
「んー今日の朝練試合無かったからー」
『あ、そうそう私って薄情な人間に見えたりする?』
「えーどうしてー?なまえちゃんはとっても優Cよー」
『あのね』


ジロー君とは席が隣なので先程の疑問を早速ぶつけてみた。
放っておいたら寝ちゃうから我がクラスの教訓の一つに「芥川の席の隣のやつが面倒をみる」ってのがあるのだ。
ジロー君は廊下側の一番後ろでその隣が私。
なので今のお世話係りは私しか居ない。
一限から寝られても困るから一石二鳥だよね!


「あーそれー」
『ジロー君は何か知ってるの?』
「んー内緒」
『えっ』
「なまえちゃんは薄情じゃないから安心しとけばいいよー。それは丸井君も知ってるから」
『丸井君と仲良しのジロー君が言うなら間違いないか』
「そうそうー。あ、そう言えば昼に跡部から呼び出しあるからねー」
『ジロー君が?』
「んーん、俺となまえちゃん」
『えっ!?』
「だから一緒に生徒会室行こーね」


跡部君からの呼び出し?
私、何か昨日やらかしてしまっただろうか?
その辺マネージャー初心者なんだから大目に見てほしいのに。
昼休み、案の定跡部君に呼び出されたことを忘れてお昼寝スポットに行こうとしていたジロー君を止めて二人で生徒会室へと向かう。
跡部君に怒られたらどうしよう。
何かをやらかした覚えはさっぱり無いんだけど。


『し、失礼します』
「跡部ーお話何だったー?」
「おお、すげぇ。ジローがちゃんと来た!」
「ほんまやな。いっつも跡部の呼び出しなんて聞かへんのに」
「みょうじお前凄いな」
『へ?』
「若、お前はどう思う」
「そうですね、昨日の働きぶりを見てもいいんじゃないですか」
「鳳、お前は」
「俺もみょうじさんなら大丈夫だと思います」
「樺地」
「俺も、大丈夫だと思います」


生徒会室へと入ったら氷帝テニス部のレギュラーのみんなが勢揃いしていた。
えぇと話の流れがサッパリなんですけど。


「お嬢ちゃんその顔は何も分かっとらんなぁ」
「跡部ーどういうことー?」
「俺達も夏が終わったら引退だからな。それまでは新しいマネージャーは取らない。前回みたいなことがあったら邪魔にしかならねぇ」
「あーその代わりなまえちゃんをマネージャーにするのー?」
『えぇ!?』
「俺達とも普通に話せるから適役なんだよお前」
「監督から許可は取ってある」
『でも朝練はさすがに無理だよ』
「あぁ、朝練は出なくていい。その代わりテニス部を手伝ったら監督からの個人レッスンを増やしてくれるそうだ」
『それは、個人レッスンの時間増えるのは嬉しい!』
「じゃあ決まりですね」
「良かったですね跡部さん」
「このお嬢ちゃんとこならクラスの雰囲気もえぇしジローもおるしついでに監督の秘蔵っ子って有名やから大丈夫やろ」
「なまえちゃんマネージャーになるのー?それは嬉Cかもー」
『あ』
「もう決まっちまったぞ。ドンマイみょうじ」
「あーでもなまえちゃんは駄目だからね跡部ー」
「何言ってんだよジロー」
『ジロー君?』
「アーン?俺様が気付いてないと思うか?だからこそ余計に都合がいいんだろうが」
「確かにー」
「ジローも跡部も何言ってんだ?」
『私に聞かれても分かんないよ向日君』


榊先生との個人レッスンの時間が増えるって言う言葉に飛び付いた結果私は夏までテニス部の仮のマネージャーに決まってしまったらしい。
体力持つかな?日焼け止め必須だよなぁ。


「は?氷帝のマネージャー?」
『そうなんだよね。朝練はさすがに免除してもらったけど』
「大丈夫なのかよ。体力無さそうだっただろい」
『うん、全然足らない。なのにピアニストにも体力は必要だとか榊先生が言うから』
「そーか」
『丸井君?』
「や、何でもねぇ。あんま無理すんなよ」
『大丈夫。後輩達が手伝ってくれるし』
「それって日吉とか鳳とかか?」
『さすがにレギュラーの人達には手伝ってもらわないよー』
「まぁそうだよな」


その翌日に丸井君へと報告したら凄い驚いていた。それはそうなるよね。
立海は女子が揉めると面倒だからってマネージャーいないみたいだし。
氷帝も部員多いんだからそうしてくれたらいいのに。


「なぁ」
『どうしたの?』
「みょうじって氷帝に好きなやつとかいんの?」
『へ?』
「や、ちょっと気になったっつーか」
『んーどうだろ?』
「ジロ君とは仲良いんだろい?」
『ジロー君は友達だよー』
「だよな。ジロ君もそう言ってた」
『え?』


丸井君と会うのは朝の電車の中だけだ。
それでも一週間たった頃にはだいぶ仲良くなれた気がする。
話が尽きないんだよね。丸井君はジロー君と違って寝ちゃったりしないし。
初日は寝ちゃったけどその日以来丸井君が電車で寝ることは無かった。
聞く所によるとあの日はうっかり夜更かしをしてしまったらしい。


「なぁみょうじ」
『うん』
「俺がお前のこと好きだって言ったらどうする?」
『え?』
「や、違え。どうする?とかじゃねぇ。俺さ、好きだったんだよずっと」
『え?……えぇ!?』
「みょうじはいっつも電車で楽譜見てたから知らないだろうけど俺はずっとお前のこと知ってたの」
『だってそんなこと一言も』
「親しくもないやつにいきなりんなこと言われても困るだろい」


一ヶ月過ぎて季節は初夏になった。
丸井君とはいつの間にかジロー君なみに仲良くなれている。
そんな時の突然の告白だった。
丸井君と電車で話すようになる以前は視線を上げたりしなかったから仕方無いのかもしれないけどずっとっていつからなの?
突然の告白に心臓がドキドキと音を立てる。


『え、それっていつからなの?』
「高校入って直ぐ」
『えぇ!?』
「声がでけぇってみょうじ」
『ご、ごめん』


もう丸々二年過ぎちゃってるよ?
まさかそんな長いこと自分のことを好きでいてくれたなんて。
丸井君は照れ臭そうにしてるけどこんな格好良い人にそんな風に告白されてときめかない女の子は居ないよね。


「んで、みょうじは?」
『わたし?』
「俺はさっきちゃんと気持ち伝えたから返事欲しいんだけど」
『丸井君に告白されてキュンキュンしない女の子なんて居ないよ』
「それってすげぇ曖昧な返事じゃね?」
『そうかな?』
「んじゃ俺のこと嫌いじゃねぇのなら付き合おうぜみょうじ」
『その言い方はズルいよ丸井君!』
「お、その反応はオッケーってことだよな?」
『う、ん』
「あーもう駅着くな。じゃあそんな感じで宜しくな!」
『こちらこそ宜しくね』
「ちゃんとジロ君にも報告しとけよなー」


押し切られた気がしなくもない。
けど丸井君に好きだって言われたら断れないよ。
電車から降りても発車するまでこっち見ててくれたし。手まで振ってくれちゃったし。
さっき好きだって言われたばっかりなのにもう何か丸井君で頭がいっぱいだよもう!


「仁王!ついに告白してきたぜ!」
「その様子じゃと上手くいったみたいだのう」
「これで丸井先輩もへたれじゃなくなりますね」
「赤也、お前こないだの赤点真田に言うぞ」
「それは丸井先輩!黙っとくって約束ですよ!」
「ほお、どういうことだ赤也」
「ゲ!俺先コート行ってるっス!」
「待たんか赤也!」
「丸井にしては随分と奥手だったよね」
「中学の時じゃ考えられなかったな」
「他校の女子とかどう仲良くなっていいか分かんなかったんだよ」
「仁王に感謝だよな」
「あの時勇気を出して話しかけたからこそ今があるからな」
「どうせお前らもへたれって思ってたんだろい?」
「いいえ、一途なことは素敵なことですよ丸井君」
「そうだよ、丸井。跡部からもきっちり監視しとくって連絡きてたからね」
「は?」
「丸井の好きな女の子に変な虫が付いたら困るだろう?」
「幸村さすがじゃのう」
「俺、幸村だけは敵に回したくねぇ」
「ジャッカル、俺もだよ」


かーぼん様リクエスト。
他校生で通学の電車が一緒で仲良くなる青春ぽいお話とのリクエストでした。
あれこれこれでもかって詰め込んでしまった(笑)
リクエストありがとうございました!
2018/09/07

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