続々・脳内常時君色

今日は久しぶりに部活が休みじゃしなまえとデートすることになった。
丸一日休みとは幸村に感謝せんとな。
なまえが横浜に出来た新しいショッピングモールに行きたいと駄々を捏ねたので二人でやってきたのだ。
正直人混みはあんまり好かん。
けれど隣で案内板を見ながら何処から回ろうか楽しそうにはしゃいでいるなまえを見れたから良しとするかの。


『雅治ー何処から回る?』
「俺は何処からでも構わんぜよ」
『んーどうしよっかなー?』


俺の腕に手を回して案内板を隅から隅まで眺めとるなまえが可愛くて仕方無い。
しかしいつまでも行先が決めれそうに無かったのでさっさと歩き出すことにした。


『まだ何処に行くか決めてないよ?』
「順番に見てけばえぇじゃろ」
『確かに!』
「そういえばブン太が台湾風かき氷のお店が入ったって言っておったのう」
『え!何それ!食べたい!』
「一階にあるからそこから行くとするか」
『うん!』


なまえの好きそうな店はざっとピックアップ出来たから其処らを重点的に回れば大丈夫だろう。
これも付き合いが長いからこそ分かることだった。
「彼女が行きたい店なんて普通わかんねぇよ」とブン太と赤也がぼやいておったが俺からしたら分からないことが理解不能じゃ。


『雅治!どれにする?沢山あるー!全部美味しそうだよ!』
「オススメはマンゴーらしいぞ」
『じゃあそれにするー。雅治は?』
「俺はなまえちゃんのを一口貰うぜよ」
『あー雅治には一個全部は多いかぁ』
「全部はいらん」
『だよねぇ』


俺の答えに相槌を打ちながらも少し残念そうにしとるなまえがまたもや可愛え。
他にも違う味が食べたかったんだろう。


「また来年の夏にでも来ればいいじゃろ」
『一年後なの?』
「じゃあ次の休みもここじゃな」
『雅治ありがと』
「なまえのためだからな」


マンゴーのかき氷を美味しそうに食べている。
時折思い出したかのようにスプーンを此方に差し出すがそんなに沢山くれんでも俺は大丈夫ぜよ。
断ってもあれじゃし食べるけどな。


『雅治次はー?』
「なまえは行きたい店見付からんかったのか?」
『んー何処も見てみたいけど雅治とならどこでもいいかなって』
「困ったのう」
『全然困ったって顔してないでしょ?』
「お前さんには敵わんの。じゃ次はあっこじゃ」
『おお!何あれ?』
「手品用品のお店じゃ」
『マジシャンにでもなるの雅治?』
「まぁ見てみんしゃい。きっと面白いぜよ」


手品用品のお店には個人的に行きたかっただけなんだがなまえも気に入ると思って提案してみた。
いつも俺の手品紛いの悪戯に最初に引っ掛かるのはなまえだから。
怒りつつも笑ってるから嫌いではないはずじゃ。


『雅治今のタネ分かった!?』
「今のは分からんかったのう」
『え?さっきのは』
「あれは簡単なタネじゃ」


その店では売ってる商品を使って店主が手品を見せてくれた。
よーく見てみれば素人でも分かりそうなタネの手品でもなまえの反応が良いからか店主があれもこれもと手品を見せてくれたのだ。
なまえの反応が良すぎてその店を出る頃には人集りが出来ていた。
なまえも赤也を引っ掻けるための手品を買って満足そうだ。
勿論俺もブン太と赤也のために新しく仕入れたぜよ。


『赤也驚いてくれるかなー?』
「その前に俺と練習じゃな」
『え』
「マジシャンへの道は遠いぜよ」
『こんな簡単なタネでも練習するの?』
「本番で失敗したら意味が無いからのう」
『雅治もいつも練習してたり?』
「それは企業秘密じゃ」
『隠し事ですか!?』
「そんな目をしなさんな。俺だって練習くらいはする。内緒じゃぞ」
『雅治でも練習するなら私もしなくちゃなぁ』


なまえじゃなかったらこんなことは絶対に言わない。本当はこんな気恥ずかしいこと他人なんて絶対に知られたくない。
なまえだから許せるんだから不思議な話じゃ。


ふらふらとウィンドウショッピングをしながらなまえが見たい店や俺が寄りたい店をあちこち回る。
神奈川一のショッピングモールなだけあって今日一日で全部回るのは難しそうだ。
まぁまた来ればいいだけだがの。
隣でなまえも終始楽しそうにしてるから連れてきて良かったかもしれん。


『雅治あーん』
「そっちのロコモコも旨いな」
『でしょー?』
「なまえもほれ?俺のも旨いぞ」
『食べる!』


昼メシはロコモコ専門店に入った。
自分が頼んだロコモコのハンバーグをなまえへと食べさせるも返事を聞かんでも感想は分かる。
かき氷といい本当に何でも美味しそうに食べるのう。


『雅治どした?』
「なまえちゃんは何しても可愛えのう」
『雅治は何をしてても格好良いよ』
「知っとる」
『私が一番知ってるんだからねー』
「それも知っとるよ」


お互いがお互いのことをこんなにも分かりあってるカップルってのは意外と少ないのかもしれん。
俺達はこれが当たり前になっとるけどブン太も赤也もそれを話すと怪訝そうな顔をするし柳生も「貴方達のようなカップルは少ないですよ」と言っておった。
常に相手のことを考えとったらいい話なのにのう。


『あー楽しかった!』
「また二人で来るとするか」
『勿論!』
「今日はもうえぇのか?」
『うーん、あ!雅治!プリクラ撮ろうよ』
「そうじゃの」
『記念だからねー!』


朝にかき氷を食べたのになまえの手にはアイスクリームが握られている。
腹を壊さんか心配なとこじゃがまぁこれくらいなら大丈夫か。
プリクラももう二人で何枚撮ったか分からん。
それでも飽きないからこれまた不思議だった。


『んじゃスタートするよ!』
「いつでもいいぜよ」
『どれにしよっかなー?これかなー?』
「おまんアイスが頬についてるぞ」
『え?あ、ほんとだ。雅治撮って』
「任せんしゃい」


パシャりとシャッターの音が鳴ってるがそんなものはいちいち気にせん。
確実に一枚はなまえの頬を舐めてる構図になったがまぁいいか。
似たようなプリクラ今までにも沢山あるだろうしな。


『普通のが一枚しかない』
「すまん」
『さすがにチュープリは他人にはあげれないよね』
「赤也にあげればいいじゃろ」
『あ、そうしよ』
「これで赤也も彼女と円満になるはずじゃ」
『御利益ありそうだよねー!』
「ブンちゃんにもあげるぜよ」
『教室のロッカーの内側に貼っといてあげようか?』
「それはきっと喜ぶのう」


結局なまえはブン太の教室のロッカーにも部室のロッカーの内側にも今日のプリクラを貼ったみたいだった。
ロッカーを開けるたびにうんざり顔なブンちゃんが面白い。


「なぁ、これ剥がしたもいいだろい?」
『別にいいけど剥がしたらバチが当たるよ』
「はぁ?何だよそれ」
『恋人同士円満の御利益があるから剥がすと彼女と別れるよ』
「それでもいいなら剥がしんしゃい」
「お前らが言うと本当にそうなりそうで怖いんだけど」


このプリクラ効果なのか赤也とブン太が彼女と喧嘩する回数がぐっと減った。
そのおかげかなまえのところに俺達のプリクラを貰いに来る女子が増えたとか増えないとか。
沢山余ってるからなまえは惜しげもなく配ってるらしい。


「お前達変な宗教とか始めてないよね?」
『へ?』
「いきなり何を言うんじゃ幸村」
「クラスの女子にお前達のチュープリを頼まれたんだよ」
『あぁ!ついに幸村のとこまでその話回ったの?』
「俺も耳に挟んだぞ」
「参謀もか」
「そう言えば俺も頼まれたぞ」
『へぇ』
「で、何でこんな話になってるのかな?」
「俺達のチュープリロッカーの内側に貼ると別れないって話になっとるんか?」
『喧嘩しないじゃなかった?』
「その代わり剥がすと別れるって言う怖いお守りなんスよ幸村先輩!」
「そのうち学校中のロッカーがそうなるかもしれんな」


レイラの初恋様より
優衣様リクエスト。
三万打リクエストの続きでショッピングモールデートとのリクエストでした。
仁王目線はやっぱり難しいなぁ。
リクエストありがとうございました!
2018/08/24

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