ホラーナイト

せっかく楽しい動画が撮れそうだったのにスマホ持ち込み禁止とか酷い。
京治と夕が色々言ってくれたけどやっぱり動画で撮影したかったなぁ。


「んで赤葦次はどこだよ」
「音楽室だって」
「ベタ過ぎるだろそれ」
「未来?まだむくれてるの?」
『むくれてない』
「思いっきり不機嫌じゃねぇか」


京治の問いかけに返事をしたら夕が吹き出した。笑うなんて酷い。
だって面白いことはお爺ちゃん達と共有したかったんだもん。


「さっきも言ったけど未来が話すだけでも充分だと思うよ」
『証拠が無いと』
「お前なぁ、お前のじーちゃんはお前の言ったこと証拠が無いと信用しねぇのか?違うだろ?」
『信じてくれると思う』
「なら別にいいでしょ」
「それより後五ヶ所もあるんだからちゃーんと覚えとけよ!全部話してやるんだろ」
『うん』


確かにお爺ちゃんは私の言うことを証拠が無いからって疑ったりはしない。
刑事物のドラマをこないだ観たせいかな?
ちゃんと本当に人体模型が動いたよって証明したかったのかもしれない。
そんなことを考えながら歩いてたら音楽室へと辿り着いた。


「音楽室の七不思議ってなんだ?」
『ベートーベンが血の涙を流すとか?』
「それは無いと思うけど」
「じゃなんだろな?」
「さぁ」


人体模型に対しては二人とも驚いてたみたいだけど音楽室を前に結構平気そうだ。
さっきのは気のせいだったのかな?
夕が勢いよく音楽室の扉をガラガラと開けている。


『静か?』
「だな」
「ベートーベンもいつも通りですね」


京治の言うように壁にかけられた作曲家達の肖像には何にも変化は無さそうだ。
あれ?音楽室は何にも無いのかな?
ひっそりと静まりかえっている。


「さっさと次行こうぜ」
「そうだね」
『何にも無いのか』
「未来って怖いの平気なんだな」
『害が無ければ大丈夫』
「肝試しで害があったら困るよ未来」


夕に引っ張られて三人で音楽室の中に足を踏み入れた瞬間バァンと大きな音がして入ってきた扉が閉まった。
あまりに大きな音だったので肩を竦めてしまう。これはちょっとだけびっくりしたかもしれない。


「なんだよびっくりすんな」
「そうだ、」


京治が夕の言葉に相槌を打とうとした瞬間だったいきなりピアノが激しく鳴りだしたのだ。
これってベートーベンの運命だっけ?
音量にまたもや肩を竦めてしまう。


「なぁ赤葦」
「何」
「シール貼っても扉が開かないとか無いよな?」
「多分」
『ピアノ何で鳴ってるの?』
「ラジカセとかだろきっと」
「未来、細かいとこ気にしないでほらさっさと次に行くよ」
『うん』


夕が引っ張るのでそれに大人しく着いていきながらもピアノから目が離せない。
ラジカセどこにあるんだろ?
あれ?でもあれってもしかして。


「さ、貼ったし次だ次」
「扉もすんなり開いてくれて良かったね」
『さっきのピアノ鍵盤動いてたよ。誰も居なかったのに』
「「は」」
『何でだろ?』
「未来の気のせいでしょ」
「そうだぞ。暗かったし気のせいだろ」
『え、でも』
「ほらいいから次!」
「あー次が花子さんだよ未来」
『花子さんいるかな?』
「いないだろ」
「俺もそう思う」


絶対に気のせいじゃないはずなのに。
京治と夕が真剣に気のせいだって訴えてくるからそれ以上は何も言わなかった。
夜目はきくんだけどな。
でもそのことは夕には言えないし黙っておくことにした。
もうすんなりと京治も手を繋いでくれるからこれ以上怖がらせたら駄目だよね?
次は三階の女子トイレだ。
花子さん見れたらいいなぁ。


「意外とびっくりすんな」
「そうだね」
『優生と仁花ちゃん大丈夫かなぁ?』
「芝山のとこはスガさんいるから大丈夫だろ」
「谷地さんは…木兎さんだからなぁ」
『研磨頑張ってるかなぁ?』
「孤爪に二人してすがり付いてそうだよな!」
「西谷それ笑えない」
『研磨大変だねぇ』


そうこうしてるうちに女子トイレに到着した。
あれ?でもこれって三人で入ってってもいいのかな?
両側を確認してみても二人ともなんだか迷ってるみたいだった。女子トイレに男子は入っちゃいけないもんね。
勿論男子トイレに女子が入っても駄目だけど。


『シール貼ってくる?』
「「え」」
『ここ女子トイレだし』
「や、未来一人に行かせんのも駄目だろ」
「そうですね」


中に入って三番目のトイレの中にシールを貼ってこいとここだけ何故か細かく指令が書いてあるから私が行こうかと提案したら観念したかのように二人が同時に息を吐いた。
あ、一緒に行ってくれるんだ。
それはちょっと嬉しい。


『じゃあ行こ』
「未来一応声かけてから行こうぜ」
『え』
「誰か居たら問題ですから」
『なるほど。誰か居ますかー?肝試しの最中なので入りますよー』


入り口から中を覗きこみながら声をかける。
女子トイレもひっそりと静まりかえっていた。
これなら誰も居なさそうだ。
てことは花子さんも居ないのだろうか?


「大丈夫そうだな」
「ですね」
『じゃあ行こう』


さすがに二人を先頭に行かせるのも良くないかなと一番に中に入っていく。
女子トイレだからね私が最初じゃないと駄目でしょ。


『三番目?』
「ここですね」
「つーか何でここだけ扉が閉まってんだよ」
『ほんとだ。もしかして花子さん?』
「さっきは誰の返事も無かったけどね」
「ここ開けたくねぇな」


とりあえずその扉をノックすることにした。
コンコンと二回叩いてみる。


『返事無い』
「あったら怖いよ未来」
「未来の言うことが一番怖い気がしてきた俺」
『何でさ二人とも』


「キャハハ」と笑い声が聞こえた気がした。
二人とも聞こえたみたいで耳を澄ませている。
何処から聞こえるんだろ?キョロキョロと音源を探ってみる。
もう一度「キャハハ」と小さな女の子の笑い声が聞こえた。
それは目の前の閉まったトイレの中から聞こえた気がする。


『この中だ』
「マジかよ」
「それは…」


二人ともさすがにこの扉を開けたくないみたいだった。
と言うか開くのかな?もう一度ノックをしようとしてその手を京治に止められた。


『え?』
「未来それはさすがに怖いから止めて」
「返事がきたら怖いだろ」
『でも』
「鍵はかかってないみたいだから開けてみようか」
「だな」
『分かった』


鍵がかかって無いのに何でこの扉は閉まってるんだろう?
内開きの扉なのにさっきノックをしても開かなかったのになぁ。
どうやら夕も京治もすっかり怖くなってるみたいだ。
これはみんな大変かもしれない。
ゆっくりとトイレの扉を開くとそこは普通の洋式のトイレだった。
何にも無さすぎて拍子抜けしちゃったし。


『誰も居ない』
「それでいいんだって」
「未来、シール早く貼っちゃってよ」
『分かった』


花子さんが居たら初めましてって挨拶するつもりだったのになぁ。
二人が急かすからさっさとシールを貼って次の場所に移動することとなった。
これで残りは後三ヶ所だ。


『結構怖い?』
「思ってたより怖いなこれ」
「そうだね、意外でした」
『そっか』
「何でお前は怖くないんだよ」
「普通は女子の方が怖がるはずなんだけど」
『害無いよ?』
「分かっててもリアルっぽくて怖くね?」
「うん」
『そうか』


リアルっぽいって何だろ?
学校の怪談って害あったっけな?
あ!でも蜘蛛みたいなやつは怖かった気がする。あ、そういうこと?


「未来、いきなり黙ってどうしたの」
『女郎蜘蛛出てきたら怖いかも』
「映画の観すぎなそれ」
「さすがに女郎蜘蛛は居ないよ」
『かなぁ?』
「大丈夫だろ」


私の言葉に二人が笑った。
それは不本意だったけどさっきまでピリピリしてた気がするから良かったのかもしれない。
緊張しすぎるのはきっと良くない。


『京治次はどこ?』
「あー次から外みたい」
「マジか」
『そと?』
「そう外だね」


三ヶ所も外なのか。あ、でも外の方が明るいかもしれない。
と、思っていたのに。
何故か今日に限って月に雲がかかっていた。
え、昼間は晴天だったのに今は真っ暗だ。


『真っ暗だね』
「うわー肝試し日和だな」
「これ何組がクリア出来るのか心配になってきました」
「だよな。やっちゃん大丈夫か心配になってきた。ついでに翔陽も」
『翔陽も怖いの苦手なの?』
「あーアイツGWの合宿で風呂上がりの俺のこと幽霊だと勘違いしたんだよ。んで本気でビビってたからな!」
「風呂上がりの西谷ね」
「お前赤葦!今良からぬこと考えただろ!」
「少しだけ?」
「背が縮んだんじゃねぇからな!」


両側で京治と夕が言い合いをしている。
二人がこんなに仲が良いなんて意外だった。
同い年だから気が合うのかな?


「あ、あれじゃない?」
「なんだあれ」
『二宮金次郎像?』
「二宮金次郎って小学校にあったやつだろ?何で高校にもあんだよ」
「さぁ、俺に聞かれても」
『あ!シール貼るとこあった!』


暗闇の中、夕が懐中電灯で照らすとそこには銅像が佇んでいる。
有名なやつだよね。でも高校にあるのは珍しい気がする。音駒には無かったよね?


『シール貼って早く次に行かなくちゃ!』
「あ、おい未来!」
「相変わらず自由ですね」


あんまり二人を怖い目に合わすのも良くないからさっさと肝試しを終わらせてしまおう。
そう思って繋いだ手を離して京治の手からシールを貰うと二宮金次郎像へと近付いた。
ペタリとシールを目的の場所に貼り付けて二人の方へと戻ろうとした時だった。
何やら二人の様子が変だ。顔面蒼白と言ってもいいかもしれない。
どうしたんだろうと二人に声をかけようとした瞬間だった。


「遊んで」


ハッキリと背後からそう聞こえたのだ。
あ、これさっきの女子トイレと同じ声だ。
呑気にそんなことを考えて振り返ろうとしたら二人が猛ダッシュでこちらへと近付いてきた。


『え?』
「未来走れ」
『何で?』
「いいから次に行くよ未来!」


二人の焦った顔に驚きつつも引きずられるように走らされて二宮金次郎像から一目散に離れた。つ、疲れたよ。
昼間だってレクバレーで散々体力使ったのに二人とも酷い。
校舎の陰に入って二宮金次郎像が見えなくなった所でやっと二人は立ち止まってくれたのだ。
私も二人も息切れしている。
体力は私より全然あるはずなのに意外だった。


『何で急に走ったの』
「お前がシール貼って振り向いた瞬間に動いたんだよ」
『え』
「本に視線を落としてるはずの二宮金次郎が顔を上げたの」
『二人ともそれ見たの』
「あれはかなり怖かったよな赤葦」
「うん。その後未来の方に視線を落とそうになったから慌てて迎えにいったの」
『ズルい』
「「は」」
『私も見たかった』
「何でそんなこと言うかな未来」
「何だよそれ。ふっ!あははっ!」
『また二人して笑うー』


座り込んでた二人が私の言葉にきょとんとした後で吹き出した。
またもや笑われてしまった。
動く二宮金次郎像とか動く人体模型より面白いと思うのに。
大事なネタを一つ見そびれてしまった。


「な、赤葦。俺ら未来と一緒で良かったかもな」
「俺もそう思う」
『笑うなんて酷い』
「肝試しで怖がらない女子は未来くらいだぞ」
「そうだね」
『嘘だぁ』
「や、絶対にお前だけ」
「肝試し終わったら後から雀田さん達に聞いてみなよ」
『えー』


清水先輩とかも涼しい顔して大丈夫だったって言いそうなのになぁ。
仁花ちゃんは昨日の夜の感じからして駄目そうだけど。
とりあえず後二ヶ所三人で頑張ろう!


『次は?』
「校舎裏の焼却炉だって」
「げ」
『反対側?』
「二宮金次郎がグラウンドの向こうだからそうだね、ちょうど反対側だね」
「ま、半分は走ってきたから残り半分だな」
『焼却炉何があるんだろ?』
「俺もう何来ても大丈夫な気がしてきた」
「未来がいるしね」


息を整えた所で焼却炉へと三人で向かう。
七不思議で焼却炉って珍しい気がする。


「何か空気が悪くねぇ?」
「校舎裏だしね」
『あ!あった!』


再び手を繋いで校舎裏へと黙々と歩く。
そこは薄暗くて夕の言った通り空気がどんよりしているみたいだった。


「これは」
「結構怖いな」


二人がそう言ったのも今回だけは何となく分かる気がする。
焼却炉の横の壁にぼんやりと人型のようなシミがあったのだ。
これはホラー映画とかにありそうな展開だ!
ちょっとワクワクしてきた!初日のかくれんぼのことを思い出したのだ。


『シール何処に貼るのかな?』
「焼却炉に何かあんな」


その人型から無理矢理視線を反らすように夕が私達をグイグイと引っ張っていく。
焼却炉の横にシールを貼るプリントを見付けて二人はホッとしたみたいだった。


「よしこれで残り一ヶ所!」
「やっと終わるね」
『最後は何処?』
「プールだって」
「プール?」
『それなら怖くないね』
「どうして?」
『何回もお昼に行ってるし』
「夜のプールはまた昼とは違うと思うぞ未来」
『そうかなぁ?』


ここにはもう何も無いだろうと安心して次のプールに向かおうと焼却炉に背を向けた瞬間だった。ガシャンと大きな音が聞こえたのだ。
その物音に思わず足が止まってしまった。
それは二人も同じみたいだった。


『なんだろ?』
「未来見んな」
『え』
「そうですね。見ない方が懸命です」
『でも気になる』
「俺と赤葦は」
「そんなことよりここを離れる方が先決です」
『また走るの!?』


さっきよりはゆっくりだけどまた走らされるとは思ってなかった。
しかもプールの前まで走らされるなんて!
さっき歩いた分丸々走らされたせいで私の体力はゼロに近付いている。


『疲れた』
「ごめんな未来」
「焼却炉の扉が開いた音なんだろうけどね」
「音の正体は確かめたく無かったんだよ」
「音だけならいいんだけど」
「何かそこに居たら怖いだろ?」
『うーん』


焼却炉の扉が開いてそこから何かが出てきたとしたら…確かに怖いかもしれない。


『死亡フラグが立っちゃうもんね』
「はぁ?」
「映画の観すぎだねやっぱり。でもそんな感じで間違ってないよ」
『死んじゃうのは困る』
「肝試しだから死にはしないだろうけどな」
「西谷、未来にはそう思わせといた方がいいよ多分」
「あー」
『何が?』
「「何でもない」」


息ぴったりだからやっぱり仲良しだなぁ。
2年ってみんな仲良しなのかもしれない。
後から研磨に聞いてみよっと。


「じゃあ最後のプール行くか」
「そうだね」
『何がいるかな?』
「俺としては何にも起きてほしくないですけど」
「そういうわけにはいかないかもなぁ」
『殺人鬼とか?』
「「それはない」」
『二人とも仲良しだね』


私の言葉に何言ってんだみたいな顔をしてるけど事実だよね?
こういうのを阿吽の呼吸って言うのかもしれない。
私も同じくらい仲良くなれたらいいんだけどなぁ。
呼吸を整えてプールに直接繋がってる入り口から入っていくことにする。
初日のかくれんぼで私と飛雄が入ったとこだ。


『静かだね』
「だな」
「それよりシールどこに貼るんですかね」


確かに最後のプールにはどこにシールを貼るかのヒントが書かれて居なかった。
プールって結構広いのに不親切だ。


「探すしかないか」
「そうですね」
『あっち見てくる!』
「未来!プールにだけは落ちないでよ」
「気を付けろよ!」
『はーい』


プールサイド沿いに端まで歩いてみることにした。
暗いけど何も変わったとこは無さそうだしなぁ?
キョロキョロと周りを見渡して折り返して戻ろうとした時だった。


「お!あったぞ!赤葦!未来!」


夕がシールを貼るとこを見付けたんだろう。
声が上がったのでそっちに行こうとした瞬間のことだ。
何にもなかったはずなのに何かに足が引っ掛かった。ちゃんと下も見て歩いていたはずなのに。


「おい未来!」
「未来!」


二人が私を呼ぶと同時に耳元に「ねぇ遊ぼうよ」と女子トイレで聞いた声が響いた。
同時に二人の慌てた顔とこちらへと走ってこようとする姿がスローモーションで見える。
落ちると思った時には盛大な音を立てて私の身体はプールへと落ちていた。
一週間のうちに二度もプールに落ちるなんてついてない。
早く水面に上がらなくちゃと思ったのに身体が何だか上手く動いてくれなかった。
あれ、これってかなり不味い気がする。
肺が酸素を求めてるのが分かる。けど口を開いたところで中に入ってくるのはプールの水だ。
どうしよう?このままでは溺れてまたもや夜久さんに怒られてしまう。
けど苦しい。口を開いたら絶対に良くないのに脳が酸素を取り入れろって命令してる気がする。このままだと絶対に宜しくない。


「未来!大丈夫か!?」


腕を引かれると同時に顔が水面から外に出た。
目の前に京治の心配そうな顔が見えた。
瞬間凄い噎せてその背中を夕が撫でてくれているみたいだった。


「何があったの未来」
「変な風にプールに落ちてったよなお前」
『分かんない』
「躓いた風には見えなかったもんな」
「そうだね」
『二人ともごめんなさい』
「は」
「あぁ、大丈夫だよ未来」
「謝る必要無いだろ」
『ずぶ濡れだし』
「こんなの着替えたら大丈夫だって!な?赤葦!」
「そうだよ。未来が無事で良かった」
『助けてくれてありがとう』
「気にすんな」
「風邪ひかないようにしないとね」


それからずぶ濡れのまま三人で体育館に戻って先に戻ってた人達にかなり驚かれた。
ここに夜久さんが居なくてホッとした。
と言うか音駒の部員は誰も居なくて良かったぁ。
明日の川遊びまた禁止されるとこだった。
清水先輩が三人分のタオルを取りに行ってくれたので助かった。
風邪を引く前にお風呂に入ってきなさいと言われたので大人しく向かうことにした。


「結局何だったんだろな?」
『遊んでって声聞こえた』
「は?」
『トイレの時と同じ声。二宮金次郎のとこでも聞こえた』
「そんなの二宮金次郎のとこで聞いたか赤葦?」
「や、聞いてない」
『プールでも聞こえた』
「げ」
「未来はやっぱり明日も川遊び禁止ね」
『えっ』
「あーそれがいいかもな」
『夕まで?』
「何かあってからじゃ遅いから」


結局プールに落ちたことはあっさりバレて(清水先輩が夜久さんに報告してた。口止めお願いするの忘れてたせいだ)明日の川遊びもなくなった。
結局何で落ちたのかはほんとのことは夕も京治も周りに言わなかったみたいだった。
そのせいで夜久さんと研磨に散々怒られた。
私が悪いんじゃ無いのに。
お風呂に入ったら足首に掴まれたような痣が出来ていた。
あ、これ本当に怖いやつだったのかもしれない。
お爺ちゃんへのお話がまた一つ増えたことがなんだか嬉しかった。
とりあえず他の人には怖がらすから言うのを止めておこう。


合宿は残り二日だ。
川で泳げないのは残念だけど土産話が増えたから良かった良かった。
ついでに友達も増えたから肝試し参加出来てほんと良かった。楽しかったぁ。


唐突なホラー話(笑)
猫って人に見えないものが見えるって言うよね。夏なのでちょっと怖い話にしてみましたがこのホラー設定は続けません。
幽霊の類いは怖くない未来でした。
2018/08/27
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