バレーボールレクリエーション

「これはまぁなんというか」
「凄いメンバーが揃ったな」
「主将三人集まるとはなぁ」
「黒尾!澤村!絶対に優勝すんぞ!未来とやっちゃんも頑張るぞ!」
『はい!』
「ひゃい!頑張ります!」
「あー木兎ノリノリだなぁ」
「だなぁ」
「影山楽しそうだね」
「あ?木兎さんにトス上げれるんだぞ。楽しみに決まってんだろ」


五日目のレクリエーションはくじ引きで分けられたチームでのバレーボールだ。
「1番から6番チームごとに分かれてね〜」との白福先輩の声で分かれてみたらびっくり。
チームEのメンバーは私と黒尾さんと澤村さんと忠と飛雄と仁花ちゃんと木兎さんと小見さんと木葉さんだった。


「一緒のチームだったね未来ちゃん」
『びっくりしたね。頑張ろうね!』
「う、うん。吐きそうだけど」
「谷地さん大丈夫?」
「山口君、全然大丈夫じゃない」
「だよね。俺もだよ」
『二人とも大丈夫だよ。黒尾さん達いるから!』


ルールは変則だ。
サーブ権が自分チームに代わると同時に必ずコート上のメンバーを交代すること。
交代する人数に制限はかけないこと。
マネージャーもどこかで必ず一戦につき一回は参加すること。ポジションは固定でも可能。
これがレクバレーのルールだった。
30分の作戦タイムの後に試合が始まる。


黒尾さんと澤村さんと小見さん木葉さんが何やら話し合っている。
私は忠と仁花ちゃんとバレーボールで練習タイム。
影山は木兎さんに既にトスを上げていた。
あ、二人ともなんだか楽しそう。


「一ノ瀬さんて以外と運動神経良いんだね」
『多分?』
「いいなぁ」
「谷地さんはい」
「ひゃ!」
『仁花ちゃんナイス』


三人でのんびりとバレーボールのトス練をしてるけど仁花ちゃんが既に死にそうな顔をしてる。
けどちゃんとボールは拾えてるから落ち着いたら大丈夫だと思うんだけどな。


「サーブ取れる気がしない」
「女の子だもんね」
『腕もげるかも』
「もげたらどうしよう山口君!」
「や、痛いだろうけど大丈夫だよ。腕はもげないよ」


痛いのは嫌だなぁ。と言うか前衛なんて出来る気がしないんだけど大丈夫かな?
そもそもネットに手が届く気がしない。


「未来!やっちゃん!」
『はーい』
「ひゃ、はい!」
「ちょっといいかー」
「山口もな」
「はい」


黒尾さん達に呼ばれて四人のいる場所へと戻る。木兎さんと飛雄はいいのかな?


「とりあえずお前らの隣には小見がいるようにするから無茶はしないように」
「ま、俺リベロだしな」
「どこのチームもそんな感じになるとは思うけど」
『はーい』
「はい」
「山口はサーブ頑張れよ」
「分かりました」
「後はまぁ」
「うちの木兎次第ってとこだよな」
「後は影山だなー」


私達のチームだけ9人で他のチームはみんな8人だ。
三人休憩出来るのは良いことかもしれない。
あ、でもその代わり私達のチームだけマネージャー枠が二人だから結局一緒なのかな?
残りの時間私と仁花ちゃんと忠と小見さんでサーブとレシーブの練習をした。
他の五人は飛雄とあれこれ合わせている。


『忠!それ取れない!』
「おー今のよく曲がったな!」
「未来ちゃん取れない方がいいんだよ」
「あざっス!」


練習なんだから普通のサーブでいいのに酷い。
小見さんに褒められて忠は嬉しそうだけれど。
今のあんなに曲がるなんてびっくりだ。
真っ直ぐこっちに飛んできたと思ったのになぁ。


「どことやるのがキツいだろな」
「あかぁーしのとこじゃね?」
「あーリベロが西谷だな」
「あと研磨のとこもなぁ」
「旭がいるな」
「ツッキーもいるぞ」
「菅原のとこもじゃね?」
「日向がいます」
「チビちゃん菅原と一緒なのかー」
「菅原さんとの速攻も速いっスよ」
「ま、どことやっても勝てばいいだけだ!」
「俺もそう思います」
「それは分かってんだけどな」
「どう勝つかって話をしてんだよお前ら」
「影山も木兎もワクワクしてんなー」


ピィーとホイッスルの音が体育館に鳴った。
試合が始まるみたいだ。


「チーム@とAがAコートBとCがBコートDとEがCコートで試合だよ〜」


白福先輩の声でそれぞれがコートへと移動し始める。


「やっちゃんと未来どっちが先に出る?」
「わ、私ですか!?」
「やっちゃん緊張してるなぁ」
「私なんかが出て足を引っ張らないか不安で心臓止まりそう」
『心臓止まったら駄目だよ仁花ちゃん!』
「あーじゃあ未来から行くか?」
『うん、頑張る!』
「じゃ、とりあえず影山と木兎と黒尾と俺と小見と未来ちゃんでやってみますか」
「うっす!」
「ヘイヘーイ!勝つぞお前ら!」
「熱くなってんな木兎」
「木葉もそれでいいか?」
「あー俺は適当で大丈夫」
「25点の1セットマッチだからぐるぐる代えてくからな。山口もちゃんと準備しとけよ」
「はい!」
「やっちゃんも気負わなくていいから。小見が全部取ってくれるぞ」
「はい!小見さん宜しくお願いします!」
「俺!?」


チームDは烏野の田中さんとリエーフと白福先輩がいる。
後は森然と生川のヒト達だ。


「お前ら集まりすぎだろ」
「くじ運良すぎだよなー」
「黒尾さん負けないっスからね!」
「おーせいぜい頑張れよリエーフ」
「大地さんと影山がいるのかよ。しかも木兎さんまで」
「お前らには負けーん!」


前衛は左から木兎さん黒尾さん飛雄の順で後衛は澤村さん小見さん私の順になった。
サーブきたらどうしようかな?
腕もげたら嫌だなと思ったら向こうのサーバーはリエーフだった。
あ、リエーフならきっと大丈夫。


「一ノ瀬」
『なにー?』
「サーブ取るならなるべく高く上げろよ」
『頑張る』
「小見さんはこっちにボールください」
「おお、分かった」
「影山もやる気満々だなぁ」
「未来!無茶すんなよ!」
『リエーフだから大丈夫!』
「こら未来ちゃん、リエーフに聞こえますよ」
「未来ー!ちゃんとレシーブしろよ!」


審判や得点係りは監督やコーチがやってくれるらしい。
あ、てことは私がリエーフに狙われるのか。
ドキドキするけどチームスポーツを楽しむのって初めてかもしれない。
リエーフのサーブなら取れると思ってたのに何故かそのボールは綺麗に小見さんの方に飛んでった。
向こうのコートから「あっ!?」って声が聞こえる。サーブ失敗したんだろなぁ。
私、ボールに触りたかったのにー。
小見さんが拾ったボールは綺麗に飛雄のとこに飛んでいく。


「影山こっちー!」
「ウス」


木兎さんが意気揚々とトスを呼んだ。
わ、飛雄のトスも綺麗だなー。
そんなこと考えてるうちにさくっと木兎さんのスパイクが決まる。
あ、もう一点入っちゃった。


「んじゃ未来交代な」
『えぇ』
「また出してやるから。な?やっちゃん!おいでおいでー」
「は、はい!」


こっちの点が入ると交代しなきゃいけなかったのか。
じゃあしょうがないよね。
渋々コートを出ることにする。


『仁花ちゃん頑張ってね?』
「うん、死なないように頑張ってくる!」


仁花ちゃんと入れ違いに手を合わせてコートを出た。忠と木葉さんの隣へと並ぶ。


『ボール触れなかった』
「灰羽のボールなら取れそうだったもんな」
「灰羽君ってサーブ苦手なの?」
『あんまり得意では無いと思う』
「やっちゃんガチガチだな」
「主将が真ん中ですね」
「小見よりはやっちゃんが気を遣わなくていいんだろ」
『んー』
「主将はそのつもりでしょうけど谷地さんは変わらない気がする」
『私もそう思う』


澤村さんのサーブで試合が始まる。
あ、自分のチームからのサーブのが怖いかも。
スパイクがこっちに飛んでくるってことだもんね?
ドッジボールと違って避けたら点が入っちゃうしなぁ。
でもあのスパイクに手を出したら腕もげると思う。


上がったトスを田中さんがスパイクしてそれを澤村さんが拾う。
澤村さんもレシーブ上手なんだなぁ。
普段他のチームのヒト達ってこんなにちゃんと見ないから新鮮だ。


「つーかさ」
『何ですか』
「はい」
「このままずっとこっちが点入れてたらやっちゃんあのままだよな」
「あー」
『確かに』
「ま、そんなことバレーはあんまり無いけどさ」
「谷地さん大丈夫かな」
『仁花ちゃん頑張って!』
「未来ちゃんそれやっちゃんにプレッシャーになるよ」
「俺もそう思う」


仁花ちゃんが戻ってくる頃には両チームともそこそこ点が入っていた。
今は小見さんと仁花ちゃんと試合を観戦中だ。


「死ぬかと思いました」
「やっちゃん頑張ってたよ」
『うん、頑張ってた』
「足引っ張ってなかったですか?大丈夫でしたか!?」
「未来ちゃんとやっちゃんが多少足引っ張った所で負けねーから大丈夫だぞ!ほら、木兎がいるんだからな」
「木兎さん凄いですね」
『あ、またスパイク決まった』
「俺達とやってる時より楽しそうだもんなー」


木兎さんが元気なうちはいいけどしょぼくれたらどうするんだろ?
小見さんが何とかするのかな?
結局一試合目は木兎さんがしょぼくれることなく私がコートに戻ることなくチームEの勝ちで終わった。
え、酷い。結局一回もボール触ってない。


「直ぐに次の試合始まるからねー」
「チーム@とCがAコート。AとDがBコート。BとEがCコートだよ〜」


次の試合もCコートってことはこのままでいいのか。
黒尾さん達はさっきの試合の反省会をしてるみたいだ。


「未来ちゃん」
『どうしたの仁花ちゃん』
「次は私からでもいい?」
『うん、大丈夫』
「その方が早く抜けれるもんね」
「山口君!?ちちち違うよ!そうじゃないよ!」
『大丈夫だよ。さっき結局最初だけだったからもう少しちゃんと試合出たい』
「一ノ瀬さん気をつけてよ?」
『うん。腕もげないように頑張る』
「あ、顔面でボール受けたりしないようにね」
『うん!』
「腕はもげないよ。大丈夫だよ」


チームBは海さんがいる。
後は京治と渉と清水先輩と西谷さんと縁下さんと成田さんがいる。


「あかぁーし!負けないからな!」
「はい」
「赤葦冷めてんなー」
「大地さん!俺達が勝ちますからね!ほら、力も大地さんに一言言えよ!成田も!」
「俺は別に」
「俺もそういうのはちょっといいかな」
「はいはい、頑張りなさいよ」
『黒尾さん、勝てるかな?』
「木兎がこのまま元気なら大丈夫だろ」
「谷地さんがひたすら心配です俺は」
『仁花ちゃんファイトー!』
「だから谷地さんにはそれ駄目だよ一ノ瀬さん」
『えぇ』


二回戦は黒尾さんの代わりに木葉さんが入った。
何でだろ?黒尾さんブロックしなくていいのかな?


「俺は二回戦は後衛やんの。澤村とやっちゃんがワンセットで俺と未来がワンセットな?」
『なるほど』
「木兎と影山は交代する気無さそうだしなー。んで山口は小見と適度に交代な」
「え!?」
「サーブ期待してんぞ山口」
『木葉さんは?』
「ん?アイツは二回戦は交代無し」


「聞こえてんぞ黒尾!」とコートから木葉さんの声が飛んでくる。
木兎さんと飛雄の間で木葉さん頑張るのか。


『木葉さんファイトです!』
「未来!俺は俺は!」
『木兎さんもファイトです!』
「おー頑張る俺!」
「おい!余所見すんなよ木兎!」
「谷地さん!リラックスして!息してよ息!」


京治やっぱり凄いなぁ。
チームBは梟谷って渉しか居ないのにそつなく他のメンバーにもトスを上げている。
それは飛雄も一緒だけど。
あ、木兎さんがスパイク失敗した。


「クソー!やっぱり日向用のトス難しい!影山やっぱりお前凄いな!」
「うす」
「試合中にチャレンジするの止めろよ木兎」
「そうですよ木兎さん。あれは打ちづらいって言ったじゃないですか」
「あかぁーし!今は敵同士なんだから気安く話しかけるなって!」


しょぼくれるかなと思ったら普通だった。
どうやら影山に翔陽用のトスをお願いしたらしい。澤村さんが呆れ顔で「だから無理だって言っただろ」とぼやいている。


「んじゃ黒尾交代なー」
「ついでに山口も交代でいいだろ」
「俺もですか?」
「サーブあるしな」
『仁花ちゃん大丈夫?』
「な、何とか乗りきったよ未来ちゃん!」
「黒尾ー俺が未来ちゃん見るから前衛と交代してくれよ。木兎と影山の間疲れるんだよ」
「何でだよ、ブロックの練習になるだろ」
「や、俺は後衛がいい」
「んじゃ未来のこと頼むぞ木葉」
「おー任せとけ」


真ん中で木葉さんと黒尾さんの場所が入れ替わったらしい。
私の左側に木葉さんがいる。
さっきは全然触れなかったから今度はボールに触れたらいいな。
忠のサーブで始まるってことはスパイクこっちのコートに来るってことだよね?
気合いを入れなくちゃ!


「海と西谷が後衛だとやりづれー!」
「ぽんぽん拾うからなアイツら!」
「影山!もう一本俺に寄越せ!」
「木兎さん!」


ボールにあんまり触れないまま試合が進んでいく。
木葉さんが広めに守ってくれてるおかげだけどちょっとつまんない。
あの強烈なスパイクに手を出したら腕もげるとは思うけどちょっとでいいからボール触りたい。
飛雄は素直に木兎さんにトス上げてるなぁ。
木兎さんにトス上げるのが嬉しくてしょうがないんだろうけどそのせいでさっきからブロックに捕まってるような気がするのは気のせいかな?
ほら、京治と渉が木兎さんを待ちかねていたかのようにブロック飛んだよ?


「未来ちゃん!ボール!」
『ふ、ぎゃっ!』


ブロックされたボールが真っ直ぐ私の方に飛んできた。レシーブの体勢にはなってたけど思いっきり腕じゃなくて胸に当たったよ!
変な音を立ててボールは何とか上がったみたいだった。
衝撃で私後ろにひっくり返ったけど。


「未来!大丈夫か?」
「木兎!試合中な!」


何故か木兎さんが私を起こしてくれた。
あれ?ボールは?って思ったら飛雄がストレートにスパイクを決めてる所だった。


『点入った?』
「未来が頑張ったから点入ったぞ」
『わ、良かったです』
「お前木兎!試合中だぞ!影山が打ってくれたから良かったものの」
「すまーん!俺のスパイクがブロックされたから未来のとこにボール飛んでったと思ったら心配だったんだよ!」
「未来が上げたボール木葉が繋いでくれたんだぞ」
『木葉さんありがとう』
「おう。お前凄い音したけど痛くなかったか?」
『少しだけ』
「んじゃ小見と交代な」
『はい』


胸はまだジンジンと痛かったけどちゃんとバレーに参加出来たから良かった。


「お前頑張ったな」
『ありがとうございます』
「さくっと勝ってくるからやっちゃんと応援しとけなー」
『はい!』


小見さんにすれ違い様に褒められた!
ヒトに褒められるのはやっぱり嬉しい。


「未来ちゃん!大丈夫だった?」
『ちょっと痛かった』
「かなり痛くなかったか?もろに胸に当たっただろ」
『んークッションになったから大丈夫?』
「それはう、羨ましい」
「クッションって」


私の言葉に澤村さんは苦笑いだった。
胸って脂肪の塊だからクッションって間違ってないよね?何でだろ?
その後は澤村さんと忠が交代したりして私と仁花ちゃんはのんびりと応援した。
接戦だったけど勝てたから良かったぁ。


「今日って何試合するんですか?」
「後二試合あんぞ」
「レクリエーションでバレーとか疲れるだけだと思ったけど意外と面白いな」
「普段敵なやつが味方って楽しいだろ?な?な?」
『バレー参加出来て良かった!』
「俺も楽しいッス」
「一ノ瀬さんと影山と木兎さんはほんと楽しそうだよね」
「山口、言ってやるな」
「木兎がやりたくて言い出したんだからなこれ」


10分の休憩を取って後二試合やるらしい。
優勝出来たらいいな。そしたら美味しいお肉をみんなで食べられる。


『サーブ打ちたい』
「お、んじゃ次やってみるか」
『はい!忠練習しよ!』
「一ノ瀬さんって体力無いイメージだったんだけど」
「体力無いと言うかやりたくないこととやりたいことの差がハッキリしてんだよ」
『仁花ちゃんもしよー』
「えぇ!?」
「やっちゃんも一緒に練習しておいでよ」
「澤村先輩本気ですか!?」
「未来ちゃんがサーブ打つならやっちゃんもやらないとなぁ」
「そうだぞやっちゃん頑張るんだ!」
「あ、影山。お前は木兎の言うこと聞きすぎな」
「そうそう。おかげでブロックに捕まったんだぞ」
「俺そんなに木兎さんばっかにトス上げてました!?」
「かなり」
「すんません!」
「ちゃんと周りを見なさいよ影山」
「うす」


バレーボールレクリエーション長くなりすぎてしまった(゚Д゚≡゚Д゚)
おかげで前編後編に分けますよ!
こっちの合宿も後3日で終わっちゃうなぁ。
2018/06/25
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