夜の心配をしなくていいから嬉しいな。
ちゃんと今日の分のカプセルも飲んだからバッチリだ。
今日は梟谷だけじゃなくて他の高校も集まるみたいだし。
烏野も来るから研磨が嬉しそうだ。
翔陽元気かな?
「翔陽は遅れてくるよ」
『そうなの?』
「影山と仲良く赤点取ったんだと」
「1つだけだから遅れてくるって連絡あった」
『それなら良かったね研磨』
「別に」
「ちびちゃんと試合すんの楽しみだろお前」
「そんなんじゃないし」
「未来は大丈夫か?」
『何が?』
「知らない人沢山いるぞ」
『頑張るから大丈夫』
意気込んでそうやって言ったら皆がびっくりしてた。
だって人見知りなんてしてたらマネージャーの仕事にならないし。
雀田先輩と白福先輩もいるし清水先輩もいるからきっと大丈夫だ。
「ま、あんまり無理すんなよ」
「虎の言う通り頑張り過ぎて熱出されても困るんだからね」
『うん。それは気を付ける』
「ならよし」
『夜久さん!頭ぐちゃぐちゃになるー』
犬を撫でるみたいに頭をぐしゃしぐしゃにしないでほしい。
犬を撫でたことないけど。
「未来の髪の毛猫っ毛だもんね」
『からまっちゃうんだよ』
「結んであげようか?」
『出来るの?』
「姉ちゃんのたまにしてあげるから」
『じゃあはいこれ髪の毛止めるゴム』
「後ろで編み込みにしちゃうよ?」
『何でもいいー』
「芝山器用だな」
「姉ちゃんのリクエストが年々難しくなってくんですよね」
「お前がやってあげるからだろ」
「断ったら雷落ちますよ」
「俺それ分かる気がする」
「アリサさんはそんなことないだろ」
「や!どこのねーちゃんも怒ると怖いですって!」
「ほらこれで大丈夫だよ」
『優生ありがとう』
「お前らほんと兄妹みたいだよな!」
「灰羽君が長男なんだからもう少ししっかりしてよ」
「俺はしっかりしてるだろ!」
リエーフが自信満々に言った言葉は皆に全力スルーされてた。
しつこくしてたら夜久さんに蹴られてたし。
リエーフって長男じゃなくて末っ子なんじゃないかと思う。
結局走に慰められてるし。
あ、お姉ちゃんがいるみたいだからやっぱり末っ子なのか。
バスを降りた所で烏野面々と一緒になった。
2ヶ月ぶり?GWぶりだ。
翔陽はやっぱり居ないみたいだった。
あ、菅原さん?と目が合った。
ぺこりと頭を下げると笑顔で手招きをされたので近付いていってみる。
あんまり話した覚えはないけど菅原さんは優しいよね。
なんとなくだけど。夜久さんと京治と話が合いそうだ。
「えぇと」
『一ノ瀬未来です』
「じゃあ一ノ瀬さん?」
「スガ君、未来でいいよ。あんまり名字で呼ばれなれてないし」
「じゃあ未来ちゃんかな?」
『はい』
「清水とやっちゃんー!」
「はひ!」
「何?」
夜久さんも一緒に後ろからついてきてくれたみたいだ。
私が返事する前に菅原さんに返事してくれた。
菅原さんに呼ばれて女子二人が現れた。
清水先輩ともう一人はこないだ居なかった気がする。
あ、きっと烏野はマネージャーが増えたんだ。
「未来ちゃん、清水は分かるよね」
『はい』
「もう一人は新しいマネージャーなんだ。同じ1年だよ」
『一ノ瀬未来です』
「は!谷地仁花であります!」
「やっちゃんそんなに緊張しなくても」
「菅原さんそんな笑わないでくださいよー」
「未来ちゃん今日も宜しくね」
『はい』
「やっちゃんとも仲良くしてやってな」
『宜しくお願いします』
「こ、こちらこそ」
『仁花ちゃん?』
「はい!えぇとじゃあ未来ちゃんでいいですか?」
『うん、大丈夫』
「良かった!」
顔合わせが終わった所で3年生はさっさと居なくなってしまった。
後は二人で仲良くなりなさいってことなんだと思う。多分。
仲良くなれたらいいな。
『翔陽は何時頃来る?』
「どうかな?今日中には来れると思うけど。日向と知りあいなの?」
『GWの合宿の時に練習試合したの。そこで研磨と翔陽が仲良くなって』
「研磨?」
『あ、研磨は音駒のセッターで2年生だよ』
「わ!先輩なんですね」
『うん。でも面倒って言うから研磨って呼んでるの』
「ふわぁ、音駒は皆仲良しなんだねえ」
『烏野もそうじゃないの?』
「仲が悪いとかじゃないとは思うけど時々心配になっちゃって。心臓に悪いと言うか」
『そんな風には見えなかったけどなぁ』
仁花ちゃんと二人で先輩達の後を追いながらゆっくりと歩く。
そんなに仲が悪そうには見えなかったんだけどなぁ。
「谷地さん」
「あ、月島君と山口君」
『あ』
仁花ちゃんを呼ぶ声に二人で振り向くとそこには見覚えのある二人。
でもどっちがどっちの名前なのかちょっとよく分からない。
「何その難しそうな顔」
「ツッキー!ちょっと音駒のマネージャーさんにいきなりそんなこと言わないでよ!」
『えぇと、名前分かんなくて。でも分かった。ツッキーと山口君?』
「は?何でいきなり初対面でツッキーって呼ばれなきゃいけないわけ?」
「ツッキー!そんな風に言わなくても」
「そうだよ月島君!同じ1年生なんだから仲良くしなくちゃ!」
どうやらツッキーって呼ばれたくなかったみたいだ。
元々不機嫌そうな表情がさらに歪んでいる。
山口君はツッキーって呼んでるのに?何で私は駄目なんだろ?
「はーい、ツッキーうちのこ苛めないでもらえますかー?」
「黒尾さん、苛めてないですしツッキーって呼ばないでください。後、肩も組まないでください」
「いいじゃんいいじゃん。気にすんなって」
『苛められてないよ?』
「そうなの?」
『ツッキーが不機嫌になってただけ』
「だから、ツッキーって…もういいや」
「ちょっと待ってよツッキー!」
どうやら許されたみたいだ。
スタスタと行ってしまった。
その後を山口君が追いかけて行った。
残されたのは私と黒尾さんと仁花ちゃんだ。
「えぇと私達も行きましょうか」
『うん』
「烏野の新しいマネージャーさん?」
「はい」
「うちのこちょっと箱入り娘みたいなとこあって知らないことも多々あるけど仲良くしてやってね」
「はい!任せてください!」
「宜しく頼むな」
私と仁花ちゃんの頭にそれぞれ両手をポンと乗せて黒尾さんもさっさと行ってしまったのでそれに遅れないように続いた。
「未来ちゃんこないだぶりー!」
「今日は髪の毛1つに結ってるんだね〜」
『雀田先輩白福先輩こんにちは』
「はい、こんにちは〜」
「隣にいるのが烏野のもう一人のマネちゃんかな?」
「はい!」
「じゃあ先に荷物置きに行っちゃおうか〜」
学校に到着したら二人が出迎えてくれた。
どうやら他の高校のマネさん達はもう到着したみたいだ。
マネージャーが使う部屋へと案内されたらそこにはもう皆揃っていた。
それぞれ挨拶を交わすとマネージャーの仕事へと取りかかる。
5校での合宿だから人が沢山だ。
迷子にならない様にしなくちゃな。
こないだ来ておいて良かったかもしれない。
空いてる水道でさくさくとドリンクを作っていく。
「未来」
『あ、京治』
「こないだぶりだね」
『うん』
「俺もちゃんとこれ黒尾さんから預かったから」
『あ、カプセルのやつ?』
「そう。今日はちゃんと飲んだ?」
『うん、大丈夫』
「なら良かった。うちの高校だから何かあったら誰かに聞きなよ」
『梟谷の皆は知ってるから大丈夫』
「それなら良かった。じゃあ俺行くね」
『うん。京治ありがとう』
カプセルのストラップを受け取ったよって報告だったみたいだ。
作り終わったスクイズボトルを籠へと並べて体育館へと持っていく。
重労働だけど結構慣れたよね。
最初の頃は腕が筋肉痛になったし。
「未来」
『何?研磨』
「そろそろ暑い時期だからバテない様にね」
『うん』
「ちゃんと水分補給もしてよ」
『分かった』
「研磨が他人を心配するの珍しいな」
「未来は言っておかないと水分補給忘れそうでしょ」
「確かにな」
『そんなことないもん』
「さーて、今日も頑張りますかね」
ちゃんと研磨に言われなくても水分補給したよ…多分。
円陣を組んで皆はコートへと行ってしまった。
さて私もちゃんと自分の仕事をしなくちゃ。
ひたすらにぐるぐると練習試合をしていく。
5校いるからたまに合間の休憩を挟むけど怒涛の忙しさだ。
皆よくこのペースで試合出来てるよね。
お昼ご飯の時間にはぐったりだった。
「未来、ちゃんとメシ食わねえと」
『疲れた』
「全部食べないとうちに送り返すからな」
『えっ』
「最初から少なめにしてあるんだからな」
「夜久君の言う通りだよ。だからゆっくりでいいからちゃんと食べなよ」
「研磨もだからな」
「俺は別にいつもと同じだよ」
「もう少し食べなよ研磨」
正直、あんまり食欲は無い。
でも食べなくて倒れたり猫の姿になってしまったらそれこそ皆に迷惑かけちゃうから黒尾さん達に言われるがままなんとか昼ご飯を食べきった。
私最近色々前より頑張れてる気がする。
お腹がかなり苦しいけど。
「まだ食べてるの」
『あ、ツッキー。今終わった所だよ』
「ねえ、僕そうやって呼ばれるの嫌なんだけど」
『呼びやすいよ?』
「そういう意味じゃないんだけどね」
『?』
ゆっくり食べてたから黒尾さん達には先に体育館に戻ってもらった。
食べ終わったら写メ撮る様にって約束させられたけど。
黒尾さん抜け目が無いな。
写メを撮った所でツッキーが食堂にやってきたのだ。
『ツッキーは何してるの?』
「ちょっと忘れ物」
食器を返却して食堂のおばちゃんに『ごちそうさまでした』と告げてツッキーと一緒に食堂を後にする。
『翔陽何時に来る?』
「さぁ?午後には間に合うんじゃない?と言うか日向とそんなに仲良いの?」
『研磨が翔陽って呼ぶから』
「へえ、孤爪さんとは付き合ってるの?」
『違うよ?』
「君って変わってるよね」
『少しだけ?』
「自覚あるんだ」
『ツッキー今少しバカにした?』
「面白いなって思っただけだよ。ドリンク作りに行かなくていいの?」
『あ!そうだ!じゃあツッキーまたね!』
「僕のことそうやって呼ぶなら僕も未来って呼ばせてもらうからね」
『うん!大丈夫!』
ご飯を食べきった達成感で自分の仕事すっかり忘れてた。
気を抜いたら駄目だなぁ。
ツッキーにバイバイして午後の練習の準備をすることにした。
友達増えてるみたいで嬉しいな。
山口君とも仲良くしてもらおう。
後は…えぇと影山君?だっけ?
そしたら同い年の友達が音駒で3人でしょ?梟谷には渉がいて烏野いれたら全部で9人になる!
友達が少しずつ増えてることが本当に嬉しい。
午後の練習が始まって少したった時だった。
ふいに正面の扉が開いて見知らぬ女のヒトが顔を出した。
誰だろう?って思ったのも束の間でその後ろから翔陽と影山君の姿が見えた。
良かった、ちゃんと合宿に間に合ったみたいだ。
「未来ー!今からあかぁーしと自主練すっから見にこいよ!」
『自主練ですか?』
「黒尾も来るからさ!」
「木兎さん、未来にもやることあると思うんですけど」
『ボトル洗った後なら大丈夫ー!』
「じゃあまた後でな!」
『はーい』
今日の練習試合の予定が一段落した直ぐ後なのに木兎さんは相変わらず元気だなぁ。
あ、明日のタオルも洗って乾燥機に入れなくちゃ。
スクイズボトルを洗って洗濯機を回して待ってる合間に体育館へと顔を出す。
そこには木兎さんと黒尾さんと京治しか居ない。
『他の皆は?』
「木兎さんの自主練うちは皆嫌がるんですよ」
「キリが無いもんな」
「アイツらが根性無しなんだって!」
『黒尾さんは?』
「俺はブロックの練習になるからな。可哀相な木兎に付き合ってあげるんだよ」
『優しいですね』
「俺はいつでも優しいですよ」
黒尾さんの言葉に木兎さんと京治から返事が無い。
じとっとした目で黒尾さんを見ている。
「お前ら何か言えよ」
「いつでもってのが」
「少し引っ掛かっただけです」
「未来、お前はやること終わったのか?」
『後はタオルを乾燥機に入れるだけ』
「それなら大丈夫だな」
「よし!んじゃ始めるぞ!」
「夕飯まだなんですからそこそこにしておいてくださいよ」
「おう!」
「またギリギリまでやると思うぞ俺」
「奇遇ですね黒尾さん。俺もです」
「未来!安全な所で見てろよ!」
『はーい』
邪魔にならなさそうな所に座って木兎さんの自主練の見学をする。
相変わらず木兎さんのスパイクは凄いなぁ。
「未来こんなとこに居たのかよ」
『あ、夜久さん』
「探したんだよー」
「優生も?」
「海さんが夕飯食べるぞって探してたから」
『まだお腹空いて無いよ?』
「お前メシ食うの時間かかるんだからさっさと行ってこい」
『えぇ』
「芝山、未来連れてってやれ」
『夜久さんは?』
「俺はリエーフのレシーブ練今からするから」
「俺も黒尾さん達に混ざりたいっす!」
「犬岡が行ったからあっちは大丈夫だ」
「ほら未来行くよ」
『うーん』
優生が私の手を取って引っ張るから渋々立ち上がった。
確かにこのままここに居てもそのうち寝ちゃいそうだしな。
大人しくご飯を食べに行くのが良さそうだ。
木兎さん達に挨拶して優生と体育館を後にする。
木兎さんは名残惜しそうだったけど京治が何とか宥めてくれた。
『あ、タオル乾燥機に入れてからでもいい?』
「いいよ。海さんは未来が来るまで待ってるって言ってたし」
『先に食べててくれて良かったのに』
「そしたら未来全部食べないでしょ」
『んー昼は食べたよ!』
「夜も食べないと。今日一日で結構疲れてたって皆心配してたよ」
『そんなこと』
「なくないでしょ。終わりがけ口数減ってたし」
『ごめん』
「謝らなくてもいいからちゃんとご飯食べてね。頑張ってもバテたら意味無いよ」
あぁ、そうか。
ご飯をちゃんと食べなさいって皆がキツく言うのはそういうことなのか。
せっかく頑張ってもご飯食べなくてバテたらその頑張りが無駄になっちゃうのか。
時間かかってもちゃんと全部食べる様にしなくちゃな。
タオルを乾燥機に入れて食堂に行くとそこには海さんと研磨の姿もあった。
研磨もきっと見張られるんだろうな。
『遅くなってごめんなさい』
「ちゃんと全部食べれたらアイス買いに行くぞ」
『アイス!?』
「全部食べれたらな」
『食べる!』
「未来って単純だよね」
「俺もそう思うよ芝山」
海さんの隣に研磨が座ってたからその対面に優生と一緒に座った。
ご飯は少なめにしてもらったけど今日も量が多いなぁ。
「未来のはおかずも少なめに頼んだからちゃんと全部食べること」
『が、頑張ります』
「研磨もな」
「孤爪さん、顔に出てますよ」
「そんな露骨に嫌な顔すんなよ」
「人には出来ること出来ないことあると思うんだけど」
「お前のも未来と同じで全部少な目だからな。頑張れ」
夕飯を食べるのも一苦労した。
私が食べてる間に何人のヒトが食べ始めて食べ終わっていったことか。
終わりがけに木兎さん達が来ちゃったくらいだ。
『食べた』
「ん、ちゃんと全部食べたな」
『御馳走様でした』
「んじゃアイス買いに行くか」
『はい』
既に研磨も優生も食べ終わって食堂から出てっちゃったから海さんと二人きりだ。
GWの夜のお散歩以来な気がする。
お腹いっぱいで苦しいけどアイスのために頑張る。
ガリガリ君のために頑張る。
「友達増えた?」
『仁花ちゃんとツッキーとは仲良くなれたと思う』
「後は日向?」
『はい!あ、今日はまだ話してないけど』
「これからもっと友達増えるといいな」
『うん、頑張る』
「人見知りもだいぶ直ったんじゃないか?」
『そうかな?』
「見てるには大丈夫そうだぞ。梟谷と烏野以外のマネさん達ともちゃんと仲良くやれてるだろ?」
『多分』
「その調子だぞ」
海さんに褒められるのは嬉しい。
あ、誰に褒められても嬉しいけど。
あんまり褒められたこと無いからかな?
コンビニまで行って帰り道にガリガリ君は食べてしまった。
溶けちゃうと食べにくいもんね。
しかも海さんが御褒美って奢ってくれたのだ。
戻って乾燥機に入れてあったタオルを回収して畳んだ所で今日の私の仕事は終わった。
後はお風呂に入って寝るだけだ。
湯船に浸かった時にどっと自分が疲れてるってことを自覚した。
一気に疲れがやってきたみたいだ。
梟谷との合宿の時もこんなに疲れなかった気がするんだけどなぁ。
逆上せる前にお風呂から出ると合宿所の一角が盛り上がっていることに気付いた。
せっかくだしちょっとだけ覗きに行こう。
ひょいと覗いてみるとそこには音駒と梟谷の面々の姿。
どうやらお風呂上がりに卓球で盛り上がってるみたいだった。
昼間にあれだけ動いたのにしかもその後に自主練だってあったはずなのに皆ほんと元気だよね。
「あ!未来だ!」
「ちゃんと寝る前に風呂入れたんだな」
『うん。逆上せないように気を付けたよ』
「未来ー!俺と卓球ダブルスやろーぜ!」
『嫌だ』
木兎さんに誘われたけど私には卓球をする体力は残っていない。
即答で断ったらずーんと落ち込んでたけどこればっかりはお誘いに乗れない。
「木兎さん、未来は体力無いから無理ですよ」
「俺!木兎さんとダブルスやりたいっす!」
「灰羽と?じゃあ未来の代わりに頑張れよ!」
「んじゃ俺が赤葦と相手してやるよ!」
「俺ですか?」
「あかぁーし!容赦しないからな!」
「木兎もこう言ってることだしな」
「これ断ったら木兎さんがしょぼくれるの分かっててやってますよね」
「あかぁーし!早くしろって!」
卓球場の隅で座り込んでゲームしてる研磨を見付けたからその隣に座って卓球を見学することにした。
『何のゲームしてるの?』
「RPGだよ」
『面白い?』
「ぼちぼちかな」
研磨のゲーム音と卓球で盛り上がる声がぼんやり遠くなっていく。
あーお風呂上がりだから眠たいのかもしれない。
「未来、寝たら駄目だよ」
『んー』
研磨の言葉に曖昧な返事をした所で私の意識はぷっつりと途絶えた。
ここで寝たらいけないのは分かってるけど眠たいものは眠たいのだ。
誰かきっと起こしてくれるはずだ。
きっと大丈夫。だいじょうぶ。ダイジョウブ…。
2018.02.25