三日目

夕飯のバーベキューは賑やかでとっても楽しかった。
前も試験勉強の時にみんなでバーベキューしたけどお爺ちゃんお婆ちゃんが居なくてのバーベキューは色々大変で皆でわーわー騒ぎながら楽しんだと思う。
後片付けもかなり大変だった。
バーベキューのコンロを洗う段階で何故か夜久さんと研磨とリエーフと走がびしょ濡れになったりしたし。
リエーフが悪のりしてホースを振り回したのが原因だけど。
今はそれで四人一緒にお風呂に入ってる所だ。
うちのお風呂が広くて良かったよね。
うちを建てる時にお爺ちゃんが拘ったって言ってたもんなぁ。


「未来」
『何ですかー?』
「今のうちにアイス買いに行っておいで」
『分かった!』
「福永と山本と行っておいで」
『はーい!』
「福永、ちゃんとコンビニまでの道分かるか?」
「多分」
「俺が分かってますって!」
「山本が分かってんなら大丈夫だな」
『じゃあ行ってきます!』
「ちゃんと人数分買ってこいよ」
『はーい』
「「っす」」


てことで猛虎さんと福永さんとアイスを買いに行くことになった。
二人と出掛けるのは初めてだ!


「お前フラフラすんなよ」
『しませんよ』
「未来、既にフラフラしてるよ」
『福永さんまで』
「手貸して」
『はーい』
「福永お前!」
「山本も繋いであげたらいい」
『それなら絶対迷子ならないですね』


福永さんが手を繋いででくれたから促されるまま猛虎さんにも手を差し出したのにその手を見て猛虎さんは固まった。
手を繋いではくれないのだろうか?


「山本、あかねちゃんだと思えばいいんだよ」
「あぁ、そうか」
「そうだよ」
「分かったよ」
『わ、ありがとうございます』


お財布をショルダーポーチに入れてきて良かった。
おかげで両手が空いてるのだ。
そう言えば両手を繋いで貰うのは初めてだ。


『両手繋いで貰うの初めて』
「嬉しいの?」
『初めては何でも嬉しいです』
「それは良かったな」
『アイス何にします?』
「人数分だから箱買いしてこいってよ」
『ガリガリ君あるかな?』
「1つはガリガリ君にしようか」
「後はまぁあるやつでいいだろ」


コンビニでガリガリ君のパーティパックなるものを発見してテンションが上がった。
7本入ってるんだけど全部味が違うのだ。
それを三つ買うことにした。
そしたら一人二本ずつになるもんね。


「なぁ未来」
『何ですかー?』
「お前の好きなタイプって夜久さんってことにしとけばいいんだろ?」
『ん?』
「俺のクラスのヤツ。お前に告白したヤツがしつこいんだよ」
『ちゃんとお断りしたよ?』
「山本、未来は断ったんだから放っておきなよ」
「うるせーんだって」
「自分が同じことされたら嫌だろ」
「それは」
「想像つかないか。なんかごめん」
『何か迷惑かけててごめんなさい』
「や、お前が悪いんじゃないから謝るな。適当に言っておくわ」
「それがいい」


二人とこんなに話したのも初めてで何かそれが楽しかった。
今度部活の買い出しは2年生と一緒に行こう。研磨も一緒に。


『帰ってアイス食べたら花火だよ』
「その前に風呂入れよ」
『あ』
「朝はきっと入る時間無いからね」
「明日学校だもんなー。誘うなら昨日誘えよお前も」
『すみません』


まさか昨日はお試しだったから呼べなかったとは言えない。
言ったら黒尾さん達に怒られてしまう。
帰ったらお風呂に入ってそれからアイスにしよう。
お風呂上がりのアイス美味しいもんね。
それから皆で花火。
楽しみでワクワクした。


『ただいまー!』
「おーおかえり」
「山本と福永ありがとな」
「「っす」」
『お風呂入ってくるー』
「おー行ってこい」
「未来、アイス何食べんの?」
『ソーダ!後は何でもいいー』
「取っとくな」
『お願いしますー』


帰ったら海さんと夜久さんが居間で寛いでいた。
研磨は走達とゲームしてる。
さて、お風呂に入りますかね。
パジャマと下着の準備をして洗面所へと向かう。


「未来!ちょっと待て!」


夜久さんの声が廊下に響いた時にはもう洗面所の扉を開いた所だった。
お風呂上がりであろう黒尾さんが素っ裸でガシガシと頭を拭いていた。


「おー未来おかえり」
『ただいまです』
「お前も黒尾!少しは焦ろ!」
「や、俺も少しは焦ってますよ?」
「んなことより前を隠せ。未来もそこに突っ立ってないでこっち」


グイっと腕を引かれて黒尾さんが見えない位置まで移動させられた。
お爺ちゃん以外の男の人の裸初めて見たなぁ。


「俺風呂入る前にちゃんとやっくんに言った気がするんだけど」
「こう人数多いと誰が何処にいるとか忘れるだろ」
『えーとごめんなさい?』
「あんまり照れてませんね」
「未来に普通の女の子の感覚求めても無駄だろ」
「確かにな」
「お前も次からはちゃんとノックくらいしろよ」
『自分のうちだもん』
「誰かが泊まりに来てたらノックはしろ」
『はい』
「あちー。未来風呂入っていいぞ」
『はーい』


上半身裸のままの黒尾さんと交代で洗面所へと入る。
夜久さんに怒られたけど何か理不尽だと思う。
私ちゃんとお風呂に入るって夜久さん達に言ったのに。
誰か黒尾さんが入ってるって教えてくれたら良かったのになぁ。


お風呂から上がって真っ先に冷凍庫に直行した。
黒尾さん達がうちに来る様になってから冷凍庫をお婆ちゃんが買ったのだ。
そこにガリガリ君が入っている。
ソーダがちゃんと残ってたのでそれを持って縁側へと向かう。
どうやら花火が始まってるみたいだ。


「未来、ちゃんと髪の毛拭きなよ」
『アイス食べたら乾かす』
「もー風邪引くよ」
『アイス優先なの』
「仕方ないなぁ。ドライヤーは?」
『洗面所にある』
「分かった」


リエーフと走が花火をしながらはしゃいでいる。
それを海さんと夜久さんが遠巻きに窘めている。
アイス食べたら花火に参加しなくちゃと思ってたら優生が隣に座った。
髪の毛は確かに濡れたままだ。
でも乾かすよりもお風呂上がりに食べるアイスの方が優先なんだもん。
そしたら優生がドライヤーを取りに行ってくれたみたいだった。
きっと乾かしてくれるんだろう。


「未来、熱くない?」
『大丈夫ー』


私と入れ違いで猛虎さんがお風呂に入ってるはずだけど優生は良いのだろうか?
四人一緒にお風呂に入れちゃうくらいだから男同士だとそういうのは気にしなくていいのか。
何かそれってズルい。
男同士っていいなぁ。
優生がドライヤーで髪の毛を乾かしてくれている。
人に髪の毛乾かして貰うのって気持ち良いんだよね。
眠くなってきたかも。


「未来、寝たら花火出来なくなるよ」
『それは困る』
「じゃ起きて。終わったから」
『優生ありがとう』
「どういたしまして」


うとうとしてたらドライヤーの音が止まった。
髪の毛が乾いてしまったらしい。
ドライヤーの温風が気持ち良かったのに。


『花火してくる』
「うん、やっておいでよ」
『優生は?』
「僕は福永さんの後にお風呂に入るからその後で」
『分かった。じゃあまた後でね』
「うん、後でね」


優生を縁側に残してリエーフ達に合流することにした。
手持ち花火じゃなくて打上花火をやるみたいだ。


「未来、これすげーんだぞ」
『そうなの?』
「見てれば分かるぞ」
『分かった』


リエーフが打上花火を点火する。
それを遠巻きに見ていると打上花火が上がった。
わぁ!本当に凄い!


『夜久さん夜久さん』
「どうした?」
『本物の打上花火もこんな感じ?』
「本物?あ、花火大会のヤツか?」
『うん』
「花火大会のはもっとすげーよ」
『そうなんですか?』
「あぁそうか。見たこと無いか」
『夜だから』
「んじゃ花火大会も皆で見に行こうな」
『本当に?』
「おお、いいぞ」
『約束ですよ!』
「絶対に連れてってやるから」


花火大会には行ったことがない。
22時に猫に戻っちゃうから出掛けれなかったのだ。
ヒトのままだったらその心配もない。
花火大会も皆で行けるんだ。
そう思ったら凄い凄い嬉しくなった。


色んな花火を散々楽しんで最後は皆で線香花火をすることになった。
今日も一日楽しかったなぁ。


「線香花火って地味っすよね」
『リエーフ酷い』
「まぁ確かに他の花火に比べたらな」
「灰羽君、確かに地味だけど線香花火には線香花火の良さがあるんだよ」
『パチパチしてて綺麗だよ』
「夏って感じするよな」
「夏そのものっつーか夏の終わりの寂しい感じに似てるかもな」
「山本が珍しいこと言った」
「虎に寂しいとか似合わないよね」
「皆で勝負しましょうよ!」
『勝負?』
「誰が最後まで落とさずに出来るかって?」
「俺負けないっすよ!」
『リエーフは最初に落としそう』
「確かに」
「夜久さんも未来もひでー!」
「んで犬岡、何を勝負すんだ?」
「あ」
『そこ考えてなかったの?』
「どうすっかな?」
『明日の朝ごはんのメニュー決めれるとかは?』
「お、それいいな」
『うちに材料があるやつだけね』
「んじゃ勝負してみるか」


皆で輪になってしゃがみ「せーの」で火をつけた。
わざわざこの勝負のためだけに蝋燭を四本に増やしたのだ。
小さくパチパチとはじける線香花火はずっと見てても飽きない。


勝負は予測通りリエーフが最初に負けた。
大きい声を出したからそれにびっくりした優生が次に落とした。
その後に走が落として猛虎さんと研磨が続いた。
それに海さん黒尾さん夜久さんの順に続く。
最後に残ったのは私と福永さん。
これは勝てるかもしれないって思ったのに鼻がムズムズしてくしゃみが出たからそこで勝負が決まった。


「後少しだったのにそこでくしゃみするとか」
『鼻がムズムズした』
「福永の勝ちなー」
『何食べたいですか?』
「カレー」
「朝からカレーとか重っ!?」
「福永、カレーは嫌だ」
「研磨、福永が決める権利があるんだから我慢しろ」
「えぇ」
「朝からカレーとか良いっすね!」
「俺も食べれます!」
『寸胴で作らないとだなぁ』
「明日早起きして頑張るか」
『海さん宜しくです』


居間と和室を繋げてそこに布団を敷いていく。
賑やかそうでいいなぁ。
でも今日はきっと駄目だろなぁ。


「未来、布団10組あったから大丈夫だよ」
『研磨いいの?』
「海君と俺の間なら」
「未来も一緒に寝るのかよ!?」
「虎、煩い」
「あんな顔してたら駄目って言えないよな」
「今日だけだからな」
「未来の正面は芝山な」
「え」
「そうだね芝山が一番適役かな」
「分かりました」


研磨と海さんでテキパキと寝る場所を決めていく。
別に誰が何処でも良さそうなのにな。
私側は端っこから夜久さん海さん私で研磨黒尾さんの順番だ。
反対側は猛虎さん福永さん優生で走リエーフの順に決められてた。
何の意味があるんだろ?


また皆で寝れるのって嬉しいってワクワクしてたのにはしゃぎ過ぎて疲れてたのか布団に入ったら直ぐに眠くなってしまった。
布団に入って皆でわいわい話したかったのに。
でも今日も本当に楽しかった。


2018.01.13
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