初デート?

デートって男女二人じゃなくてもいいんだなぁ。
木兎さん達と合流して最初はプリクラ。
初めてゲーセンって言うやつに連れてってもらった。
皆で撮ってその後で白福先輩と雀田先輩と撮る。
楽しかったなぁ。他にも楽しそうなやつが沢山あったから今度音駒のみんなで行こう。


その後カラオケに移動した。
テストを頑張った打ち上げって木兎さんが言ってた。
今は木兎さんと木葉さんがノリノリで歌ってる所。


「未来ちゃん何歌うー?」
「一緒に歌おう?」
『はい、えぇと』
「こっから歌いたい曲を探すんだよ〜」
『これにする』
「あ、未来ちゃんAKBとか歌うの?」
『お爺ちゃんが好きなんです』
「面白いお爺ちゃんだね」
『研磨と一緒にゲームしたりもする』
「「ちょっと見たいかも」」


白福先輩と雀田先輩にでんもく?ってやつの使い方を教えてもらう。
お爺ちゃんと一緒に行く所は手動なのにな。


「未来ちゃん」
『はい』
「尾長1年だから仲良くしてやってよ」
『はい、是非』
「尾長渉です」
『身長大きいね。リエーフと同じくらい?』
「灰羽のがちょっと大きいかも」
『渉って呼んでも大丈夫?』
「あ、大丈夫っす」
「何で同い年なのに敬語なんだよお前」


猿杙さんが尾長君を連れてやってきた。
1年生だとは思ってなかったからちょっとびっくり。
渉って呼んでも大丈夫なら良かった。
猿杙さんは渉の反応を見てニヤニヤ楽しそうだ。
渉は照れた様に笑ってコンビニの袋からプリンを取り出した。
あ、ちょっと嬉しそうな顔をしてる。
ペリペリと蓋をゆっくり剥がしている。


『プリン好きなの?』
「大好きっす」
「だから何でお前敬語なのさ」
『プリン美味しいよねぇ』
「一口食いますか?」
『食べたい』


プリンにスプーンをさした所をじぃっと見てたからか渉が一口くれるって言ってくれた。
甘いものは好きなのだ。
あーんと口を開けて待ってみた。


あれ?プリン来ない?
渉は顔を赤くしてプリンと私を交互に見ている。
猿杙さんは何も言わずに相変わらずのニヤニヤ顔だ。
やっぱりプリン惜しくなっちゃったかな?


『渉?』
「尾長、ごめんな。そのまま食わしてやればいいから」
「え、いやそれは」
「大丈夫だから。ごめんな」
「分かりました。じゃあ失礼します」
『はい!』
「ウケる。めっちゃウケる!」


黒尾さんが渉に声をかけてくれたおかげでやっとプリンが目の前に差し出された。
手がちょっと震えてる。
プリンを落としては大変だ。
慌ててそのプリンをぱくりと食べた。
それを猿杙さんがスマホをこちらに向けてカシャリと撮っている。
そんなに面白いことしてないのに。


『あ、このプリン美味しい』
「コンビニのだけど濃厚なんですよ」
『うん、それ!美味しいね。今度買ってみる』
「面白い写メ撮れたー!」


猿杙さんがその写メを見せに鷲尾さん達の方へと行ってしまった。
渉は食べないのかな?食べるのを戸惑ってるように見える。


「尾長、俺にも一口頂戴」
「っす。どうぞ」


猿杙さんと入れ違いに京治がきた。
そして渉からスプーンを手渡されプリンを一口食べる。
眉間に皺が寄ったように見えたのは気のせいだろうか?


「甘い」
「すんません」
『京治、プリンは甘いものだよ』
「そうなんだけどね、後輩が色々戸惑ってましたから」
『そうなの?』
「あ、いえ」
『ん?』
「未来は分かんなくて大丈夫」
『じゃあ気にしないどく』
「素直なんすね」
「未来の良い所らしいよ。細かいとこ気にしないって黒尾さんが言ってたから。だから尾長もあんまり気にしないように」
「分かりました」


私とは反対の渉の隣に座って京治が何やら話している。
意味が分かんないけど気にしなくていいのならいいか。


「未来、尾長が困ってたろ」
『え?困ってたの?』
「赤葦もこいつを甘やかすなって。黒尾も!お前面白がっただろ!」
「ちょっと尾長がどうするか見てみたかったんだって」


夜久さんが隣に移動してきたと思ったら頬っぺたつねられた。
いつもより軽めだけど今日は何がいけなかったのだろう?


「あのなぁ、まだ仲良くなって間もない人に一口貰う時はさっきの赤葦みたいに自分でスプーンを持って食べんの」
『なるほど』
「夜久さん過保護なんですね」
「赤葦、こいつが知らないことが多すぎんの」


あれ?いつの間にか夜久さんと京治が険悪な雰囲気だ。
何でだろ?


『喧嘩駄目ですよ』
「喧嘩はしてねぇよ」
「未来に喧嘩すんなって言われてやんの!ぶひゃひゃひゃ!」
「喧嘩じゃないですよ。教育方針の違いみたいなものです」
『教育方針?』
「お前のな」
『喧嘩じゃないならいいけど』


喧嘩かと思ったら違ったらしい。
その間に渉はそそくさと逃げて行った。
あ、もうちょっと話したかったのにー。


「未来ちゃーん、次だよー」
『はーい』


自分の歌の順番が来たらしい。
呼ばれて白福先輩の元へと向かう。
え、ステージで歌うの?
手を引かれて連れてかれたのはさっきまで木兎さんと木葉さんが居たステージだ。
これ恥ずかしいやつだ。


「先に雪絵と歌ってねー。その次に私と歌おうね?」
『はい』
「白福雪絵と未来ちゃん歌います〜」


雀田先輩にマイクを渡される。
先輩はそのまま席に戻って行った。
白福先輩は楽しそうだ。
黒尾さんから盛り上げるためのヤジが飛んできた。
恥ずかしい。でも白福先輩楽しそうだから一緒に楽しみたい。
よし、頑張ってみる。


カラオケは大盛り上がりだったと思う。
その後に雀田先輩と歌ってそれから木兎さんとも歌った。
ステージは恥ずかしかったけど慣れたかもしれない。
カラオケ音駒のみんなとも行ってみたいなぁ。


今からみんなでご飯を食べに行くらしい。
駅にあるファミレス。
隣には何故か木兎さんがいる。


「カラオケも楽しかったなぁ!」
『はい!誘ってくれてありがとうございました!』
「また行こうなー!」
『今度は音駒のみんなも連れてきます!』
「おお!大勢だと楽しいかんな!」


木兎さんは繋いだ手をゆらゆら振りながら楽しそうに歩いている。
うん、今日一日で木兎さんにもだいぶ慣れた。


「木兎さん、はしゃぎすぎは駄目ですよ」
「なんだよあかぁーし!冷てぇな」
「未来がまた熱出しますよ」
「それは困る」
『あ、多分もう大丈夫です』
「だって赤葦!」
「多分って言ってますよ。気を付けてください」
「ちぇ、分かったよ」


木兎さんの方が年上なのに京治には頭が上がらないみたいだ。
二人のやり取りを見て思わず笑ってしまった。
それを見て二人が固まる。
あれ何かしたかな?


『笑ってごめんなさい?』
「お前そんな風に笑えるんだな!もっといつもそうやって笑えばいいのに!」
『いつもそんな変な顔してる?』
「木兎さんの言うことはあんまり気にしなくていいですよ」
『京治って夜久さんみたいだね』
「似てるかぁ?」
『お母さんみたいです』
「赤葦がお母さん!ウケる!」
「面倒見が良いってことですよね?」
『そうそれ』


木兎さんが爆笑してる隣で京治は難しい顔をしていた。
やっぱりお母さんみたいって言うの嬉しくないのかな?
ふと烏野のスガさんを思い出した。
今度会うことがあったら聞いてみよう。


ファミレスに着いてみんなでご飯を食べる。
こうやってわいわいとみんなで外食するのも初めてだ。
白福先輩と雀田先輩と渉と同じテーブルにいる。
木兎さんが隣に座るのを先輩二人が阻止して「1年同士だから尾長おいで」との雀田先輩の一言で席が決まった。
鷲尾さんと小見さんと木葉さんと猿杙さんが同じテーブル。
夜久さんと黒尾さんと木兎さんと京治が同じテーブルだ。
黒尾さんが雀田先輩にちゃんとメシ食べ終わるまで見てやってなと言ってるのを聞いてしまった。


「未来ちゃん未来ちゃん」
『はい』
「未来ちゃんは誰が好み〜?」
「女子トークってやつっすね」
「尾長は黙って聞いててね。んでこの話は内緒だよ」
「っす」


ご飯を食べてる最中に突然先輩達に聞かれる。
好み?好みってなんだろう?
食べ物じゃないよね?誰がって言ってたし。うーん。


「ありゃ難しい顔しちゃった」
「どんな男の子が好きなのか聞きたかったんだよ〜」
『好きな男の子ですか?』
「そうそう。ちょーっと気になったの」
『レンアイの好きですよね?』
「うんうん」
『うーん』


先輩達二人も渉も興味津々な顔をしている。
レンアイの好きのことはなんとなく理解出来てるけどかと言ってトクベツって思える様なヒトはまだ居ない。


『レンアイってまだよく分かんなくて』
「そうなのか」
「可愛いのに勿体無い」
『すみません』
「いや大丈夫だよ〜」
「気になっただけだからね」
『先輩達は好きなヒトいるんですか?』
「おっと!逆襲されちゃった!」
「彼氏いるって木葉さん達が言ってましたよ」
「尾長、その話は後からじっくり聞かせてもらうね」
「はい?」


どうやら先輩達にはカレシなるものがいるらしい。
話を聞くに去年卒業してった梟谷のバレー部のOBだってことが分かった。
夜久さんにレンアイのことを教えてもらった時のことを説明する。


「特別ねぇ」
「まぁ間違ってないけどわかりづらいよねぇ」
「夜久は恋愛経験豊富そうなのにね」
「意外とうぶだったね」
『もっと分かりやすく教えてください』
「そうだなぁ。一緒に居て楽しい幸せって思えるのは当たり前だけど」
『はい』
「一緒に居ない時に寂しいなぁって早く会いたいなぁって今何してるのかなぁって気付いたら考えちゃうのが恋愛の好きなんじゃない?」
『なるほど』
「先輩乙女っすね」
「尾長、ここで聞いたことは」
「誰にも言いません」
「ならよし〜」
「いつでもさ、何か迷ったり困ったことあったら連絡頂戴ね」
「大歓迎だから〜」
『ありがとうございます』
「さ、残りもちゃんと食べちゃおうね」
「黒尾に怒られちゃうよ」
『う』


忘れてくれたと思ったのに。
二人はちゃんと黒尾さんに言われたことを覚えて居たようだ。
全部食べれるかな?頑張ってみよう。


何とか二人が納得してくれる所まで食べると時間も時間ということでお開きになった。
駅で梟谷のメンバーに見送られて電車に乗る。
一日本当に楽しかったなぁ。
がたんごとんと揺れる電車の振動が眠りを誘う。


「未来、寝るなよ」
「黒尾、多分無理じゃね?」
「今にも寝そうだなこれ」
『楽しかった』
「ん、良かったな」
『二人ともありがとうございました』
「なんだよいきなり」
「保護者だからな。当たり前だ」
『音駒のみんなとも今度遊びたいです』
「また今度な」
「おい、寝るなよ!」
「やっくん、もう寝たみたいだよ」
「まじかよ。俺も行くけど黒尾が運べよ」
「力仕事はお父さんにさせるんですねー」
「おうよ」


二人と話してたらいつの間にか寝てしまったらしい。
気付いたら朝でお婆ちゃんに起こされた。
あぁまた運んでもらってしまったんだなぁ。
先輩達は本当に面倒見が良いと思う。
おかげで他校にも友達が出来て色々遊んだり出来て音駒に入ってバレー部に入れてもらって本当に良かった。


もしかして幸せってこういうことを言うのかな?
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