君の声が聞きたくて、君の笑顔を見たくて、君をこの手に抱きたくて。

「んでんで、丸井は凛ちゃんの何処が好きなのさ」
「そんなこと聞くのかよ」
「いいじゃんいいじゃん!何かGWの合宿の時よりいい顔してるしさ!教えろって〜」
「あの時は俺かなり余裕無かったもんなー」


久々に会って最初に話すのがその話なのかよ。
ま、俺も菊丸の彼女の話は聞いちまったし別にコイツになら話してもいいか。


「あん時は跡部の関係でごちゃごちゃしてたんだっけ?」
「は?何で知ってんだよ」
「お前ら全員ピリピリしてたじゃん。乾が柳経由で聞いたんだよ。俺達も心配したんだからなー」
「あーね」
「丸く収まったみたいで安心したよ」
「おう。もう問題はねぇかな」
「あ、凛ちゃんの話だって!」
「お前が聞いて楽しい話か分かんねぇぞ」
「えー大丈夫だって!人の惚気話ってさ、聞いてて幸せな気持ちになれるじゃん」


そういうモンなのか?
まぁでも菊丸はそうなんだろな。
テニスコートへと向かいながら凛の話を菊丸にしてやることにした。


「何から聞きたいんだよ」
「えーっとじゃあ丸井は凛ちゃんの何処が好きなの?」
「んー。そんなの全部だろい」
「それじゃ話が終わっちゃうだろ!一個一個聞かせてよー」
「自分より俺のこと優先なとこ。あ、違うな。俺が一番だろうけどアイツは基本自分より周りのこと優先するわ。そういうとこすげぇなって思う」
「確かに見ててそんな感じだね。それでそれで」
「当たり前にアイツの頭の中では多分俺が一番優先されててそれがちゃんと分かるから嬉しいよな。GWの時とかはまだそんな余裕無かったけど」
「付き合い始めだとねー。色々不安になったりするもんね」


凛が居ないとこでアイツの話をすんのって少し気恥ずかしいけど菊丸が聞き上手なおかげかあまりそれも気にならない。
コイツも俺みたいにあれこれ悩んだりしたんだろうか?


「俺のこと中心に俺の周りのことも大事にしてくれるし、なんつーかもう凛が俺の全てかもしんねぇ」
「凛ちゃんほんとに愛されてんね」
「それもあるけど多分俺が思ってる以上に俺のがアイツから愛されてんのかも。って何言ってんだよって感じだよな」
「別にそれでいいんじゃないの?自信って大事だよ。見てても二人が幸せそうなの分かるしさ。今は余裕もあるみたいだし」
「そんなもん?」
「俺も彼女のこと大好きだけど彼女も俺のこと大好きなの知ってるしね!なかなか態度には出してくんないけどさ」


「俺の彼女ツンデレさんだから」そう言って菊丸は幸せそうに笑った。
どこもそんな感じなのかもしんねぇな。
そんな感じで菊丸の彼女の話を聞きつつ俺も凛の話をあれこれする。
たまにはこうやって凛のことを周りに話すのも良いかもしんねぇな。
おかげでアイツのことどんだけ好きか再認識出来た気がする。
つーかこの話を菊丸にしたせいで凛と二人きりになりたくなったし。
何か全然足りない気がしてきた。
今日一日バタバタするからそんな時間取れなさそうなのになー。
ついでに菊丸に凛について話したことを口止めしておいた。
第三者から凛へと俺がどう思ってるか伝わるのはすげぇ照れ臭いから嫌だったんだ。


「凛ー」
『ブン太?どうしたの?』
「お前の様子を見にきたの」
『私?元気だよ』
「嘘、俺が凛に会いたかっただけ」


練習中だけれど足りないものは足りないから充電してもらうことにした。
部員や菊丸達に対してヤキモチとかはねぇけど俺だけの凛に会いたかったんだ。
他のヤツらがいる時は立海マネージャーとしての椎名凛になっちまうから。
ベンチに座ってせっせとタオルを畳む凛を背中からのしかかるように抱きしめる。


『何かあった?』
「んー菊丸の彼女の話聞いてたらなんか凛の顔見たくなったっつーか」


声が聞きたい。笑顔が見たい。
凛のことずっと抱きしめてたい。
俺の言葉に笑ってるけどさ、お前が思ってる以上に俺は凛のこと好きなんだからな。
ちゃんと分かってんのかな?
あんまりここでサボってると真田に怒られそうだからまだ全然足らないけどこの辺にしておこう。


昼休憩、母親から急遽父方の祖父の所へと泊まりに行くことになったと連絡が来た。
俺以外の家族全員で。
御丁寧に帰ってくるのは明日だから凛を連れ込んでも大丈夫だと許可まで出してくれている。
察しが良すぎる母親を持つのもなんつーか気恥ずかしいけれどせっかく許可をいただいたんだから実行に移すことにしよう。


二人きりだって言って変に意識されるのも嫌だったから俺は嘘を吐いた。
正直に言っても良かったけどそれで断られたくなかったしどうしてももう少し凛と一緒に居たかったんだ。
俺ってこんな独占欲強かったっけな?
昔はそんなこと無かったはずなのになぁ。


うち帰ったら誰も居なくて凛はきっとびっくりするんだろな。
それで困ったように笑いながらもまた俺のお願いを聞いてくれるんだろう。
1ヶ月我慢したしそろそろ2回目貰ってもいいよな?


原生地様より
二万打七海様からのキャラリク。こちらにも掲載させてもらいます。
2018/07/12

back
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -